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“感じがイイ”独身アラフォー カナエさん(仮名)38歳の場合 vo.1

2018年08月12日 21:00 by 千葉ユウ

福岡アラフォー女子のライフスタイル
 恋愛は人並みに経験し、容姿は申し分ない。気立ても良く、面倒見だっていい。友人たちは、誰もがカナエさんは“いい奥さん” “いい母親”になると信じている。
 カナエさんは、福岡の某TV局で働く派遣社員。一見華やかに見えるマスコミでも、イチ地方局の派遣スタッフともなれば、ひとり暮らしはギリギリの生活を強いられる薄給が現状だ。でも福岡は案外この層が分厚い。増え続ける人口に対して、まだまだ企業の数が追いついておらず、30代以降は契約や派遣雇用が多い。


 自転車通勤でひとり暮らしをしているカナエさんは、彼氏いない歴4年。彼女の働く職場は、他のマスコミと同様、とにかく独身女性で溢れている。もちろん中には結婚願望や恋愛に興味を持たない人もいるが、長年彼氏がいない恋愛渇望中の人はいっぱいいる。ただ、その環境にも慣れてくると、恋愛休止に危機感を抱かなくなる人も少なくはない。
 それでも3姉妹で“未婚は自分だけ”というカナエさんは、40歳を目前に本当に焦り始めていた。仲のいい妹の結婚でさえ、素直に喜べない自分に嫌気がさした時期もあった。好きな人が欲しいし、彼氏が欲しいし、結婚もしたいし、子どもだって産みたい。ちょっと前なら、ささやかな夢に聞こえたかもしれないが、40代の先輩女性からすれば、もはや“好きな人が欲しい”ですら、贅沢な悩みに聞こえるらしい。「前は彼氏ができて“おめでとう”だったけど、ココ何年かは気になる人ができただけで祝い合うの。それくらい出会いがない」と、ため息をつく。その表情に深刻さが滲むのも、彼女は出会いに対してちゃんと努力をしているからだ。

努力で乗り越えられない壁
 そもそもカナエさんは、彼が堂々と実家に連れていけるタイプの、“感じがイイ”女性だ。毎月限られた生活費の中で慎ましく自炊生活を送りながら、マツエクや、福利厚生を利用したジム通いなど、自分磨きは怠らない。カジュアルなコンサバファッションを纏い、ふだんはVIOROで買ったバッグを愛用し、身につけるハイブランドはお財布程度。流行を追うアンテナはいたって健全で、映画鑑賞やBIGBANGが好きだ。好き嫌いはハッキリしているが、相手に合わせ、柔軟に受け入れる器量はある。だから当然友人にも恵まれ、街コン情報が入れば友人と気合を入れて足を運び、時には柳川のバスツアー合コンに参加したこともあった。その場で声をかけてくれた男性と別日に飲み直したり、取引先のクライアントにバツイチ男性を紹介もらったり、“タイプじゃない”というだけでシャッターを降ろすことなく、その相手の男友だちの縁まで期待しながら、どんな小さな可能性でも拾い上げてきた。
話下手な人、太った人、こだわりが強すぎる人、とにかく自分が大好きな人、目を合わさない人など、諦めることなくどんどん接触を試みた。それでわかったことは、生理的な嫌悪感は、努力で埋められないということだ。
 「頭の中で盛りまくって、どんなに良いイメージを作り上げようとしても、結局チューできないって思ったら決定的。そこはどうしようもできないんだよね」。人には、残念ながら歩み寄れない範囲がある。そうすれば数を打って、人間的に愛することができる人を探すほかない。ただ、数を打っていけばやっぱり疲れは出てくる。

突然できた好きな人
 多くの女性がそうやって恋愛に期待することをやめていく中、カナエさんに好きな人ができた。しかも「スゴく好きになってしまった」と言う。これまで、告白されてから好きになるタイプだった彼女にしてみたら、自分から好きになった人は小学生以来。周りは恋愛ターゲットの登場にお祝いムードだが、久々の恋に臆病になる本人の表情は晴れない。
次週は、動き出したアラフォー女子の片思いをレポートします。

 

“感じがいい”独身アラフォー カナエさん(仮名)38歳の場合

vol.2を見るhttps://tenjinsite.jp/topics/topics/67708
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職場のお客さんと結婚した優さん(仮名)39歳の場合 

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【イラスト】
諫山直矢/福岡在住のイラストレーター。自治体や企業の広告や販促物、また店舗やオフィスの壁画を担当するなど幅広い分野で活躍中。大人の強さと色気をまとった女性をモチーフとしたオリジナル作品制作にも力を入れる。

取材・文:千葉ユウ
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