日々是食欲

夏だ、カレーだ、カレーの本だ!!

2013年07月11日 08:00 by 弓削聞平

カレーって好きですか?
ラーメンは苦手という人もいるが、カレーを嫌いという人は滅多にいない。もちろん、いるけどね。確かにぼくも1人だけ会ったことはあるけどね。ま、ともかく数ある料理のなかでもこれだけ日本人の胃袋に浸透しているものもそうそうない。家庭の食卓でもカレー。給食でもカレー。アウトドアでもカレー。カフェや居酒屋のランチもカレー。最近は朝カレーなるものも少し流行っている。あらゆるシーンにカレーはつきものだ。そして作るのも食べるのもとかくハマってる人が多い。これはスパイスのおもしろさのせいだろうか。

夏になるとカレー気分が高まるという人は多い。暑いからこそ汗を流しながら食べるものに惹かれるのか? それは韓国料理とかタイ料理なども同様で、暑さと辛さの因果関係はなにかしらあるように思える。そしてそれはメディアによってさらに後押しされる。夏になるとテレビや雑誌をみていても、やたらとカレーの企画が多くなる。実際、5月に発売になった飲食専門誌「dancyu」もカレー特集だったし、6月に発売になった「シティ情報ふくおか」もカレー特集、そして7月発売の「福岡ウォーカー」もカレーの特集だ。また、6月には福岡で初めてのカレーのガイドブック「福岡のハマるカレー」も発売になった。なんて、さりげなく(さりげなくないか)書いたけど、これはぼくの事務所「聞平堂」から出した本だ。

事務所っていっても、1人でやってるわけだから正真正銘の個人出版。いわゆる自費出版ってやつだ。実は昨年「ぐる〜り糸島」という糸島のガイドブックを個人出版したのだが、昨年の春夏あたりは、糸島に行くとこの本をもっている人を目にすることがとても多かったし、掲載したお店の方々にもすごく喜んでいただけたので(もちろん掲載にあたってお店からお金は一切いただいていない)ぼくとしても出してよかったなあと感慨深かった。

なんでそんなギャンブルを打ったかというと(出版ってかなりギャンブル性が強いのです)、3年ほど前から、糸島をテーマにした企画は毎年雑誌やテレビであるけど、いずれもページ数や放送時間の関係で、ごく一部しか紹介されないから、糸島の魅力を丸ごと伝えてくれるような本があったらいいのに、という思いが強くなったのだ。最初は「シティ情報ふくおか」や「福岡ウォーカー」がそのうち出すかもしれないな、と思っていたので様子をみていたんだけど、どうやら出す気配がなかったので、じゃ、自分で出してみようかと思った次第だ(「ウォーカー」はつい先日出したけど)。今回のカレーも同じ考え方で、特集で部分的な情報は出てくるけど、福岡の集大成的なものがあったらいいのになあと思い、でかい博打を打ってみたわけだ。

この本を見たほとんどの人の第一声は「福岡にカレー屋さんってこんなにあったんですね」という驚きのことばだ。全部で176軒掲載しているのだが、カフェのカレーだったり、居酒屋のカレーなども掲載しているから、すべてがカレー屋さんというわけではない。しかし、ちょっと考えてみてもらうとわかるが、カレーランチをやってる店だけでも周りにとんでもない数あるはずだ。だから、本当はまだまだ福岡にカレーを出している店はあるわけだが、ひとまず編集スタッフで調べられるだけ調べ、食べるだけ食べて美味しいカレーだけをチョイスしたつもりだ。

さて前文が長すぎたが、最近カレー好きの間でもっとも話題に上るのは高砂の「GARAM」と渡辺通(ほとんど天神といっていい)の「Tiki」だ。いずれもできてまだ1年も経たない新しい店だが、早くも多くのファンをつかんでいる。あと、福岡のカレー好き、あるいはカレー屋さんの店主からも崇拝されているのが高砂の「スパイスロード」だ。実はここは取材が叶わず「ハマるカレー」には載っていない。ここ以外にもおいしいけど取材できなかった店は何軒かある。これはもうメディアにはつきものなのでいかんともしがたい。実際、「ソワニエ」を作っていても、毎号数軒は取材できない店が必ずある。

あとこの本のなかで唯一4ページを割いて紹介したのが赤坂の「ゼリージュ」だ。ここは3年半ほど前にできたモロッコ料理のお店なのだが、いくつかあるカレーもおいしいし、夜出している様々なモロッコ料理も最高だ。実は「ハマるカレー」の打ち上げもここでやったのだが、スタッフのなかには初めて来た人も多く、その美味しさに驚いていた。

カレーと一言で言っても、インド、タイ、ネパールなどのエスニック系もあれば、欧風とか和風、はたまた札幌スープカレーとかバリエーションが豊富だ。今回、本を作ってみて、人によっていろいろな好みがあるのはもちろんだし、作る人の好みもさまざまなので、当たり前だけど店の数だけカレーはあるっていうのを実感した。
 この本を見てると間違いなくカレーが食べたく1冊です。空腹時にはご注意を。




【1】6/20に発売になった福岡のカレーガイドブック。 【2】老舗タイ料理店「サラリムナム」の牛肉のマッサマンカレー。 【3】白金にある「なす豚や」のカツカレー。

取材・文:弓削聞平
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