イベント | まち

カルチャーの場としての公共空間の可能性〜世界的にも認められた音楽都市福岡〜

2021年03月02日 11:00 by はたゆう

変革期を迎えている天神。新しいまちに必要なモノ、都市としての機能とは?そんな“まち”の在り方を考えるトークイベント「TABLE SESSION TENJIN」が開催されました。“まちづくりは人のつながりづくり”をコンセプトにした未来のまちづくりにつながる場「URBANG TABLE」で、vol.02の今回のテーマは「公共空間の活用」について。ゲストは、MUSIC CITY TENJIN運営委員会代表の松尾伸也さんと、福岡ミュージックマンス 会長 音楽プロデューサーの深町健二郎さん。音楽都市福岡のキーマンといっても過言ではない二人を迎えて、 “音楽”を通した公共空間の活用や、福岡の未来についてトークが行われました。
※緊急事態宣言中の開催に伴い今回はライブ配信のみで実施されました。

【公共空間とは?】
公園や駅前の広場、街中の空地、河川の歩道など、地域の⼈々が⽇常⽣活の中で何気なく使っている身近な場所のこと。公共空間というと市や県など⾏政の管理下にある場所だと思われがちだが、ここでは⺠間企業や個⼈の所有地であっても、地域の⼈々に開かれている場所、地域との関わりが深い場所は、公共的な空間だと捉える。

【公開空地とは?】
オープンスペースの一種。1971年に創設された総合設計制度に基づいて設置され、建物の対象敷地に設けられた空地のうち、⼀般に開放され⾃由に通⾏または利⽤できる区域のこと。福岡市の例でいえば、福岡三越1Fライオン広場、イムズスクエア、ふくぎん本店広場、岩田屋きらめき広場、旧大名小学校、ソラリアプラザ1Fゼファなどがある。


●公開空地の課題と可能性
少子高齢化による社会構造の変化や、新型コロナウイルスの影響により公共空間の在り方が注目されています。例えば三密を避けられる公園もその一つ。現在再開発中の天神でも、今後の公共空間の在り方が課題の一つとなっているようです。

ソラリアプラザ1階公開空地ゼファの活用事例<1>
SOLARIA PLAZA BEER TERRACE

エリアマネジメント団体「WeLove天神協議会」によって行われた「SOLARIA PLAZA BEER TERRACE」。コロナ禍での飲食店支援を目的にしたしたイベントで、ワンコインで館内のテナントのフードをゼファで楽しめるというものでした。

ソラリアプラザ1階公開空地ゼファの活用事例<2>
ソラリアプラザ1階公開空地ゼファの飾り山

山笠時期、ゼファに飾られる「飾り山笠」。これは今回のゲストである深町さんが“福岡らしいオリジナルな山笠を!”と企画したものなんだそう。当時、室内に「飾り山笠」を建てた前例がなく反対意見も多かったそうですが、今では30年以上も「飾り山笠」を展示する場所になっています。


音楽を通じた公開空地の活用事例~
街が全体がフェス会場と化す「MUSIC CITY TENJIN」
「MUSIC CITY TENJIN」は、2002年にスタートしたイベント。公共空間、公開空地等にステージを作り街全体をフェス会場に見立てて開催しています。福岡の音楽産業の活性化を目指し、地元のメディア、地域デベロッパー、WeLove天神協議会など、天神を盛り上げようと集まったメンバーで運営を行っています。

「メイン会場は市役所前で、市役所、新聞社、警察署、商業施設に囲まれたステージなので、初めて出演されるアーティストさんは皆驚かれる」と松尾さんは話します。コロナ禍のため昨年は、初の配信形式で実施。実施。docomoの5Gの技術を使って日本初の試みとなる、自分の好きな角度でアーティストを見る“リアルタイム自由視点映像”という取り組みを実験的に行ったのだそう。



 

●音楽イベントが9月に集中「Fukuoka Music Month」

福岡では、SUNSET LIVE、FUKUOKA ASIAN PICKS、NAKASU JAZZ、九州ゴスペルフェスティバル、MUSIC CITY TENJINの5つの音楽イベントが9月に集中しています。音楽都市福岡を国内外にアピールするための取り組みです。

6回目となった去年は、全てのフェスを配信に切り替えました。また、コロナ禍の中で疲弊したライブハウスを支援したいと、「MUSIC ACTION FUKUOKA」というプロジェクトを別に立ち上げたのです。1ヶ月間、週末の配信ライブとは別に、平日も全部ライブハウスで配信を実施。そんな中で深町さんが、一番心に残ったのは、チャリティーソングの制作だったとか。

↑チャリティーソング〜Beat goes on〜
大変なことがあっても福岡のビートは止まらないのだ、というメッセージソング。福岡に関係するタレント、ミュージシャン、アイドル、市長まで参加。


●【Music Cities Convention】で、「Fukuoka Music Month」についてアジア初プレゼン

【Music Cities Conventionとは?】
世界の各都市が音楽に止まらず文化的なことや知見を共有し考えていこうというもの。2015年から始まって、開催地は過去イギリス、アメリカ、ベルリン、メルボルンなど様々な都市。日本では開催もされておらず、しかも参加しているのは福岡だけなのです。

「まさか、Music Monthでロンドンの方に引き当ててもらえるとはと思いませんでした。」と深町さん。福岡のコンパクトシティならではの場所の有効活用。中洲Jazzの交差点を使った演奏であったり、公共空間を使ったイベントだったり、Fukuoka Music Monthの各フェスのブランディング、多様性で高評価をいただいたのだそう。

また、【Music Cities Convention】のプレゼンにあたり、祭好きな歴史、街中に音が溢れている福岡を海外へ分かりやすく伝えられないかと、「のぼせもん」というタイトルで、サウンドクリエーターの清川進也氏とコラボし映像を制作。



●もっと福岡を音楽で溢れる街にするべく「福岡⾳楽都市協議会」が設立

2021年の春に「福岡音楽都市協議会」が、街づくり、場づくり、人づくりを考えたときに、Music Monthの1ヵ月だけではなく、もっと恒常的に一年間通して活動するために設立予定です。福岡市にも相談し、民間、大学、一般の方と、産官学民参加。



●アーティストに発表の場を「FUKUOKA STREET LIVE」
【FUKUOKA STREET LIVEとは?】
福岡には、アーティストが日常的に音楽をパフォーマンスできる公開空地のようなスペースは、あまりありません。「FUKUOKA STREET LIVE」は、そんなアーティストの発表の場を提供し、応援していく取り組みです。街中に、音楽やアート、パフォーマンスが溢れ市民や観光客が楽しめる街、そして、福岡が世界に誇る文化芸能の街となるような未来型文化プロジェクトを目指しています。

現在はコロナウイルスの影響で休止していますが、音楽だけでなく大道芸やアートなど様々なエンターテイメント全般を楽しめる場所づくりになっています。


●これからコロナ禍で、どうやって音楽振興をしていくのか?
「今は種蒔きの時。後々刈り取りをする準備期間だと思っていて、やっぱり場づくりは大事。場があると、音楽をやりたい人が集いやすい。人が集えばラボになって、拠点になって、人づくりにもなる。そんな拠点づくりをやっていきたい」と深町さんは話します。

音楽は世代も国境も越えることができる。天神ビッグバンで素晴らしい施設ができてくる、ハードができれば、ソフトが必要。今までとはオフィスの在り方が変わってきています。そういう意味で、音楽やカルチャーがどう絡んでいくるのかが一つの命題です。
 

―youtube視聴者からのコメント―

・専門家同士が垣根を越えて新しいことを生み出すのは面白そう。

・商業デベロッパーもイベント誘致に苦戦していると思うので、施設を飛び出して街全体をエンタメ化するのも面白そう。

・天神ビッグバンで新しい街ができていく中で、カルチャーがどう絡んでいくかが重要だと分かった。

・お話しを聞いていて学生も、どんどんこんな活動に関わりたい。

・建物の中で完結させるのではなくて、公開空地で交わる場も必要だと思った。
 

イベントの詳細は上記youtubeからチェック!
▼Youtube
https://www.youtube.com/watch?v=EAkCayzlxys
▼Facebookページ
https://www.facebook.com/urbangtable
▼Twitter
https://twitter.com/home?lang=ja
▼公式サイト
https://tenjinsite.jp/urbangtable/

取材・文:はたゆう
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URBAN TABLE

住所 福岡市中央区天神4-3-30 天神ビル新館1階

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