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DXで成長を遂げる【TABLE SESSION TENJIN vol.17】

2022年05月21日 11:00 by はたゆう

“まちづくりは人のつながりづくり”をコンセプトにした未来のまちづくりにつながる場「URBANG TABLE」。変革期を迎えている天神で、新しいまちに必要なモノ、都市としての機能とは?そんな“まち”の在り方を考えるトークイベント「TABLE SESSION TENJIN vol.17」が開催されました。
17回目となる今回は、ホームセンター・グッデイの柳瀬隆志社長を迎えトークが行われました。

”グッディ”と言えば福岡県民ならだれもが知っているホームセンター。聞いたことがある人も多い「グッディならできる~♪」の広告は、柳瀬さんが手掛けたものだそう。そして、今回はDXによる企業の成長についてお話を伺いました。全経営者、全マネージャーに聞いてもらいたい素晴らしい内容になっていましたよ。ぜひ最後までご覧ください。



●そもそもDXとは…?
デジタルトランスフォーメーションの略
「企業がビジネス環境の激しい変化に対し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルの変革をするとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
経済産業省・「DX 推進指標」とそのガイダンスより

グッディの前身は柳瀬さんの祖父が作った電気部品の販売店を行う嘉穂無線という会社でした。現在、嘉穂無線ホールディングス(株)として、ホームセンター「グッデイ」の他に、学習工作の「イーケイジャパン」、データ活用事業「カホエンタープライズ」の、3つの事業を統括しています。

柳瀬さんは、大学を卒業した後に三井物産に入社し食料本部へ配属されました。主に、マクドナルドのポテトを輸入する仕事を担当していたそう。その仕事も落ち着き、福岡に戻って嘉穂無線ホールディングス(グッディ)に入社し一年間は店舗で店員として働いていました。その時の経験は今に生きていると話します。

●グッディのDX度の変化
2008年、社員はPCやメールアドレスも与えられず、インターネットへアクセスすることもできなかったため、業務のやり取りは電話とFAXが主だったと、入社当時を振り返ります。そんな期間が7年くらいあり非効率的な仕事をしていたそう。
打って変わって、今では新入社員全員にデータサイエンスや統計についての研修なども行っており、BIツール『tableau』(データ分析を簡単に行えるツール)が扱えるのが当たり前に。
BIツール…Business Intelligence Tool(ビジネス インテリジェンス ツール)の略で、蓄積されたデータを分析、可視化することができるツール。

●BIツール『tableau』の活用
通常、店舗の人件費と売上の相関の理想的な推移は、売上と人件費が綺麗に比例します。しかし、その相関を調べようとしたら会計システムのデータと売上のデータを合わせて一つの散布図を作らねばならず、とても手間がかかります。BIツール『tableau』を使うことでその一連の作業ができ、あらゆるデータを一つにまとめることができるのです。エクセルで作っていたレポートの作成など、様々な業務効率が上がり、自社の経営状況も一目で解るようになったそう。

●経験則もデータで可視化
店舗で働いている人は経験則で知っているもの、例えば最低気温が5度を下回るとカイロの売上が急激に上がる、観葉植物は平均気温が15度の時が一番売れるといった事。それを、BIツール『tableau』によってデータで可視化すると、仕入れや店舗の陳列に根拠を持って反映する事ができるようなりました。

●データ解析ができる社員を増やす
最初、柳瀬さん一人でデータ解析をしていたが、社内でできる人を増やさないと埒が明かないと、システム部と経営企画の社員4~5人で勉強会をしたり、カンファレンスに参加したりして様々な会社の面白い事例や学んでいったそう。そこから少しづつ解析できる人数を増やし社内で広めていきました。中には『tableau』のグローバルのカンファレンスでアンバサダーに表彰されるなど、めきめきと頭角を現す社員が出てきたりと、環境さえあれば開花する人材を発掘できるのだと新鮮な驚きがあったと話します。

●DXが浸透していく中で、社員の働き方、店舗・顧客の変化は?
昔はエクセルさえ使えない社員が多かったが、今では『tableau』を開いて売上を確認したり、Google Workspaceでオンライン会議をするように。使うと便利という価値観が社内で広がり、「新しい事をどんどんやりたい」「次は何をする?」と、社員の意識に変化があり抵抗がなくたってきたと話します。
最近できたグッデイ姪浜店では、販売する商品の選定や店内デザインなど、会社の方向性に沿ったものを社員自らが考えて進めていくようになってきたそう。社員を信頼し、しっかりとした仕事を任せられるようになったと話します。

●社長は何をする人?
何か行動を起こすことで売上が上がる、その“行動”を社員に示すのが社長の役割。大切なのは、売上を上げる行動の因子をデータ分析して探すことで、単に売上を上げろと言うのは誰でもできるのだと話します。


●売上が上がる行動を他の63店舗へ展開する
ある店舗で売上を上げるための行動をしているスタッフがいたら、その取り組みを他の63店舗へ広げる。1店舗の良い事例が64倍されるので、それだけ売上が上がる。小さくてもいいから売上を上げる成功事例を作る、上手くいけば広める。上手くいかなかったら辞める、そうやって成功パターンを社内で広める事が大切だといいます。

●日本社会がDXを進めるにはどうしたらいいか?
世の中の動きや環境が変わった時、人はそれに対応しないといけない。そのためには新しい事やスキルを学ぶ必要があります。ただ、学ぶことが目的なのではなく、問題解決策のための学びが必要で、自分の中に答えはなく、外にこそ答えがあり、外に意識を向けることも重要だと語ります。

●天神ビッグバンとDX
天神ビッグバンどDXを絡める事はできるか?の問いに、まちづくりをする人が何をしたいか、まちがどうありたいかを定義すると、データで検証することは可能だと話します。

IT企業や東京のオフィスではよく見かけるようになったオフィスグリーン。天神西通りの一角にそんなオフィスグリーンのショールームを実験的に期間限定でオープンしています。これから増えるであろう天神ビッグバンのオフィス需要にフィットするのではと期待しているのだそう。

社員の成長が楽しいと話す柳瀬さん。自分が思いつかない事を思いつくのは社員の成長が鍵。社長の立場で見えるものと、現場の社員から見えるもの解像度は全然違う。
社員研修をすると、細かい問題点の発見と取り組みを提案してくれたり、フォローアップの発表の場で、その事例を発表する事できめが細かくなり、まだまだ良くなる余地が見えてくる。DXの仕組みを取り入れた事で、社員が成長する仕組み作りへ繋がっていると話してくれました。


●参加者からの質問
・行政がDXを取り入れるには、まずどこから始めたらいい?
⇒まずは職員向けに人材教育を始めてみては?使うスキルは全然難しくなく、やり方さえ覚えれば誰でもできます。



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取材・文:はたゆう
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