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家族・暮らしとまちづくり【TABLE SESSION TENJIN vol.03】

2021年03月07日 11:00 by 深江久美子

“まちづくりは人のつながりづくり”をコンセプトにした未来のまちづくりにつながる場「URBANG TABLE」。変革期を迎えている天神で、新しいまちに必要なモノ、都市としての機能とは?そんな“まち”の在り方を考えるトークイベント「TABLE SESSION TENJIN vol.03」が開催されました。
 

●STAY HOMEで人とまちが離れている?
新型コロナの影響や昨今のトレンドとして、働き方やワーケーション、移住、多拠点移住という言葉をよく聞くようになりました。三世代同居から単独世代へと家族構成や暮らしも変わり、結びつきが減少し地域の関り方に変化が出てきたようです。

今回は「家族・暮らしとまちづくり」をテーマに、筑紫女学園大学 准教授の橋本嘉代さんと九州大学 副理事・教授である田上健一さんをゲストに迎えました。多様化していく家族や地域・まちの機能について、福岡テンジン大学の学長 岩永真一さんが話を伺いました。
※緊急事態宣言中の開催に伴い今回はライブ配信のみで実施されました


●多様化する家族のあり方
「MORE」など雑誌の編集者としても活躍された橋本さんによると、晩婚化や共働きの増加からイクメン文化が定着し家族像は多様化。家族構成の変化は、雑誌を通してみると手に取るように分かるんだそう。昔は4人分だったレシピが今では2人分に、父親の子育て雑誌も刊行。特に母というアイデンティティが加わった主婦向けの雑誌はバラエティに富んでいるといいます。男性の役割は家に、女性は多様化している方向性が示されていました。

また、ときめきの対象がモノから空間に変わったことも指摘。「所有」から「シェア」にトレンドが移行し、ミニマリズム(最小限主義)な暮らしを志向する人も増えています。

一方、社会不安が高まっている昨今では“家族の絆”が強まってきており、様々な家族構成が増える中で大事なのはコミュニティなんだとか。家族だと小さく、社会だと巨大。その中間にあたるコミュニティの充実を目指すと“家族”も“まち”も良くなるのではとヒントがありました。

 

●今の家族像にピッタリな住宅(ハコ)は?
食寝分離を図った標準設計の誕生から70年。建築計画を専門としている田上さんは、家族を有する住宅において、リモートワークが増え、職住一体型の暮らしが見直されていると話します。

首都圏では転出が増加し、福岡・地方は微増している人口ですが、身近な問題として空き家についても言及。一部では進んでいるものの、コワーキングスペースやゲストハウスなどとしてボーダレスに活用していくことが重要だとか。もちろんメンテナンスは必要です。住まいが融解し、ネットワーク化されれば何か面白いことが起こりそうですよね?

熊本地震の支援をしながら、公民館や仮設住宅にコミュニティスペースを作り将来の復興再建も行っている田上さん。その上で住人や地元の人と一緒に考えていこうと参加と複合についても提案されてました。参加することはもちろん、複合・融合化していくことが大事だといいます。

※上の写真は田上さんが設計した新松原みんなの家
http://kenichitanoue.main.jp/archives/370



●参加することで生まれるつながり。つながりにより高まる幸福度。
とにかく住民が意見を言うこと。3.11から意識が変わり、自分たちで考えるのが浸透してきました。これは居場所や地域・空間に愛着がわき大事にしようという思いが芽生えるそう。

住民主体のまちづくりの1つとして、日の里団地(宗像市)が挙げられていました。共用空間をうまく活用すると資産価値が上がります。高齢者社会が進む中、その高齢者が地域に溶けていくのが重要だと。人の繋がりがあればあるほど、健康度と幸福度は上がるそうです。

※住棟活用によるコミュニティー拠点を核とした「日の里団地」
https://www.ur-net.go.jp/aboutus/publication/web-urpress63/danchi_saizensen.html

 

●これからの家族・暮らし・まちづくりに必要なのは?
▼橋本さん
今は働き方、暮らし方をこれまでとは違うものに変えることが求められる時期。快適な場所をみんなで作っていこうという意識を持つ人が増えれば、地域の魅力が増して、そこに住みたいという人も増え、地域の資産価値も高まるのではないでしょうか。

▼田上さん
ハコは大きな方が共有できるので、大きな住宅を作りたい。コミュニティスペースから交流が生まれ、人が移動して発展していく。今こそ、住宅を大きく作る良い機会かなと思う。


URBAN TABLEのコンセプトにもあるように“つどう”“つながる”というのは、進化するためのテーマだと改めて実感した今回。家族機能の拡張と、住まいが融解することで、暮らしが豊かになることが分かりました。まずは積極的に参加することが大事。フラットになって地域活動やまちづくりに参加するのもいいのかもしれません。


●youtube視聴者からのコメント・質問
・住宅のアップサイジング、ダウンサイジングで、空きスペースの活用、空き家の活用はとても興味深かった。シェアする時代になってきていて可能性があると思う。
・これまで以上に住まいに機能が求められていると思った。
・今後、ニューノーマルな家での融合やボーダレス化はどのようにあるべきか考えていきたい。


イベントの詳細は下記youtubeからチェック!
▼Youtube
https://www.youtube.com/watch?v=OqVxuBGE2Hc&feature=emb_rel_err
▼Facebookページ
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▼Twitter
https://twitter.com/home?lang=ja
▼公式サイト
https://tenjinsite.jp/urbangtable/

 

 

取材・文:深江久美子
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