
日々是食欲
お客の気持ちになったサービス
2017年12月07日 12:00 by 弓削聞平
先日4人で春吉の居酒屋「えぶりお」に行ったとき、4人で1人前の料理をオーダーしても、ほとんどの品を4つに取り分けて持ってきてくださいました。たとえばポテサラでさえもそうでした。もちろんただ取り分けているのではなく、1つ1つきちんと盛りつけてあります。また、同じ週に2人で清川のイタリアン「アメリア」に行ったときはも、すべての料理を2つのお皿に分けて持ってきてくださいました。皆でそれぞれが自分の分を取ると、大抵遠慮して少し少なめに取ることが多いようです。しかも最後の人は全部取らずに、少し残したりすることも多々あります。これがどうも嫌いなので、ぼくは料理が出てきたら割と皆の分を取り分けます。ただ、これにはデメリットもあって、取り分ける人は均等に分けようとするのが普通ですが、1人がその料理をあまり好きじゃなかったり、あるいは苦手な食材が入っているとき、それを考慮せずに取り分けてしまうことがあります。または、特に後半戦の場合ですが、それぞれの満腹具合がわからないので「あぁ、そんなにいらないのに」と思うことがあるかもしれません。もっとも、そんなときは取り分けているときに、「私、◎◎は苦手なんです」とか「私はもう少なめでけっこうです」と言えばいいことですね。ただ、お店側で取り分けて出される際にはそれができませんけれど。
また取り分けて小皿で提供されると、元々の大皿ならではの盛り付けの妙を見ることができないというデメリットもあります。もちろんホントにそんなときは、その料理だけは取り分けずに出てきたりもします。「えぶりお」では「アスパラのカルボナーラソース」がそうでした。テーブルの上でソースをかけ、その上からチーズを大量に削るので、これを見せないというのはありえませんから、これは4人分1つのお皿で提供されました。あと刺身盛り合わせも大皿での提供でした。4人でうかがったときは2人前ずつ2つのお皿での提供でしたが、3人でうかがったときは3人分を1つの大皿に盛って提供されました。刺身盛り合わせの場合、1人前だと貧弱に見えてしまうということもありますし、1人1魚種1切れずつと、自分の分が明確になっているのでそれぞれに分けて出す必要性もあまりないわけです。こんなふうに、見た目、食べやすさなど、お客さんの気持ちになって提供することってとても大事です。それができている店は大体他の部分でも気配りでできていて満足度が高いものです。

「アメリア」のサバのマリネ。分けられたお皿。これが人数分出てきた。
取材・文:弓削聞平
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