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イカ好きは必見!! 今が旬のコウイカの貴重な漁獲シーンに密着取材!

2024年03月30日 11:00 by simoonu(シモーヌ)

イカ好きのみなさん、コウイカはお好きですか? 
コウイカの漁シーズンは2月中旬から5月とあって今が旬! 直売所やスーパーの鮮魚売場でもコウイカが並んでいる様子を見かけることがあるのではないでしょうか。

コウイカとは、背部が石灰質の堅い甲羅で覆われることから「甲イカ」と名付けられ、丸みを帯びたシルエットが特徴的。肉厚のもっちりとした食感で、独特の甘みを持ち、刺身や寿司、天ぷら、昆布締めなどでおいしく味わえます。

今回はそんなコウイカ漁の現場に密着!どんな道具を使ってどう引き揚げられているのか、貴重な漁獲シーンを覗いてみましょう。 

宗像市の沿岸部に位置する神湊漁港にやってきました。ずらりと並ぶ漁船のほか、たくさんの釣り人で賑わっています。

今回密着させてもらうのは、この道30年のベテラン漁師・安徳丸の川西勝利さん(写真右)。普段なかなか見ることのできないコウイカ漁に取材班も同行させてもらいます。

早速コウイカ漁へGO! 港から沖合のポイントまで船を走らせます。神湊漁港では2月10日からコウイカ漁が始まり、波が穏やかな凪の日はほぼ毎日コウイカを引き揚げているそうですよ。

イカ釣りといえば「夜焚きイカ釣り」のイメージが強いですが、沿岸性で海底近くに生息するコウイカ類は「カゴ漁」と呼ばれる昔ながらの伝統的な漁法で引き揚げることが多いとか。安徳丸・川西さんも早朝〜昼頃にカゴ漁を行っています。

カゴ漁の仕掛けとなるのが、この「イカカゴ」です!

鉄製の枠組みに網を張り、イカが卵を産み付けるイカ柴(※)を2箇所取り付けた折り畳み式の仕掛けです。

※イカ柴:コウイカは産卵期になると海藻などに卵を産み付けるので、その習性を利用し、海藻の代わりに木の枝葉を束ねた産卵床のこと。これがメスのコウイカを誘い込む漁具となります。イカ柴となる木の種類は、地域や漁師によってさまざま。


イカカゴには直径10cmほどのイカの進入口があり、その両端にイカを誘い込むイカ柴が取り付けられています。一度カゴの中に入ると抜け出しにくい仕組み。

イカカゴは水深30〜35mほどの沖合に沈めておき、凪の日に引き揚げて、捕獲後は再びイカカゴを海に沈めるという流れ。安徳丸では6つポイントでカゴ漁を行い、設置するイカカゴは合計240個にのぼるそう! 

川西さんの力強い腕っぷしでイカカゴを一つずつ船に引き揚げます。カゴ上部の網をほどき、コウイカを回収。

見てください、つぶらな瞳のコウイカを。

キュッキュッという鳴き声から活きの良さが伝わってきます。

ここで興味深かったのが、仕掛けに入ったコウイカのほとんどが、オス・メスのツガイだったこと。「おそらくイカ柴に卵を産み付けたメスイカが仕掛けに入り、メスを追うかたちでオスイカも引っかかっているんじゃないかな。だからツガイが多いんだろうね」と川西さん。

右の横縞模様がオス、左のまだら模様がメスです。

コウイカ以外に、オコゼや真鯛も仕掛けに引っかかっていました。

イカカゴの引き揚げの際、網に雑海藻や汚れが付着していたら高圧洗浄機で水洗いをします。特に春は黄砂などの影響で網が汚れやすく、網やイカ柴が汚れていたらイカも寄り付きにくくなる恐れがあるので、こうしてこまめに洗浄を行うのです。

イカ柴にびっしり付いている丸い粒が、コウイカの卵です。枝葉に産卵できるスペースがなくなったり、葉が枯れたりしたら、新しいイカ柴を追加します。

イカ柴に使用する木は漁師さんによって異なりますが、安徳丸ではキンメツゲを使用しています。毎年漁のシーズンが始まる前に朝倉市にある造園までキンメツゲを仕入れに行き、イカ柴に適したサイズに裁断して、240個分のイカカゴにイカ柴を取り付けるという下準備を行います。膨大な作業量かつ力仕事なので、津屋崎や福津など周辺の漁師さんと共同で行うそう。

イカ柴を仕掛けに取り付けるのは、単純に目先の捕獲のためだけでなく、産卵場所を設けることでコウイカにたくさん卵を産んでもらい、生物の生息と再生産に繋げる目的もあります。「また来年、たくさんのコウイカが獲れますように」という願いを込めて。
そしてコウイカの漁期を終える頃、イカカゴの撤収時にイカ柴ごと海へ戻すそうです。地球に還る天然の枝葉をイカ柴に使うのも納得!

おっと!イカ柴にシロイカの卵も発見。

これからもさまざまな生き物が住む、豊かな海に育ちますように。

仕掛けに入ったコウイカを回収したら、再び海にイカカゴを沈めます。

捕獲したコウイカは船内の生け簀で保管します。

カゴ漁を終えたら船着場へ帰港。コウイカが新鮮なうちにパックに詰めて、安徳丸・川西さんは道の駅など直売所へ出荷するそうです。

普段私たちが売り場で見るコウイカも、こうやって漁師さんたちが手間暇をかけて準備し、手作業で獲ってくれたものなのだなと実感できますね。そして天然のイカ柴を用いることでコウイカの産卵の促進と、持続可能な豊かな海づくりへの取り組みがなされていることもわかりましたね。

漁師さんと海の恵みに感謝しながら、もっちりおいしい筑前海の旬のコウイカをたくさん味わいましょう♪



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取材・文:simoonu(シモーヌ)
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