日々是食欲

お好み焼き、関西風から広島風の街に?!

2017年10月10日 18:00 by 弓削聞平

料理の名前に地域の名前がつくものがあります。まずはラーメン。博多ラーメン、札幌ラーメンはもちろん、今ではご当地ラーメンとしてカップ麺ですらさざまざまな地方のものがあります。同じ麺類で言えばうどんもそうですね。ラーメンほどではありませんが、地域による特徴はあり、讃岐はもちろん、五島、稲庭などなど。次に思い出すのはお好み焼きです。これはもうご当地ということではなく、関西風と広島風の2バージョンと言ってもよいでしょう。

しかしはたと気づいたのですが、ラーメンやうどんに比べて、このお好み焼きってその2つの差がものすごくありませんか。ラーメンやうどんはスープの味や麺の形状の違いはあれ、パッと見や作り方に大きな違いはありません。しかし関西風お好み焼きと広島風お好み焼きって、確かに材料は概ね同じですが、作り方もできあがったものも全然違いますよね。

説明するまでもありませんが、関西風は生地と具を混ぜてからそのまま鉄板に円盤状に広げ、広島風は薄いクレープ状の生地の上に具材を順に山盛りのせていって焼き上げます。こちらはひっくり返したあとは生地で蓋をしたような形になり、野菜が蒸されるのが特徴です。まずこの焼いてる途中の状態がまったく違います。まぁ、その違いの詳細はネットででも調べていただくとして、元々福岡はお好み焼きについては関西圏でした。広島の方が近いのに、私が学生の頃までは広島風が食べられる店は数えるほどしかなく、お好み焼きといえば当たり前に関西風のことでした。広島風を認識しだしたのはいつ頃からでしょうか、ぼくの記憶では大名の鉄板焼き酒場「好房」ができた2002年あたりからのような気がします。ここは鉄板焼き酒場といっても、経営は広島の名店でお好み焼き修業をした弟と福岡でバーテンダーをしていた兄という兄弟で、当然、〆には広島風お好み焼きが必食という店です。この店が瞬く間に人気店となり、その後同業態の店がいくつもできました。やがて、広島風お好み焼きの専門店もできたりして、最近では新規で関西風お好み焼きの店ができたという話はあまり聞かず、広島風の比率が増えています。それにしてもこれはぼくの個人的実感かもしれませんが、福岡において関西風というと、住宅街にある小さな店で、部活帰りの学生が食べている「昼」イメージなのですが、広島風は酒場的な「夜」の店が目立つ気がします。あくまでも福岡でということなのですが、本場の広島や関西ではどうなのでしょう。昼夜特定のイメージなどないのでしょうか。

写真は春吉の「TAMI」の広島風。

取材・文:弓削聞平
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