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専属の管理栄養士が 目標に合わせたオーダーメイドの食習慣を提案

2026年03月28日 09:00 by はたゆう

eatas株式会社 代表取締役CEO 手嶋 英津子さん
【福岡市トライアル優良商品】eat+(イータス)

「痩せたい、体を変えたい、健康になりたい」。年齢や世代によって、体に関する悩みはさまざま。一方で、間違った情報から無理なダイエットを行い、かえって健康を害してしまったり、思うような成果が出ないまま挫折してしまったりするケースも少なくありません。

そんな人に向けて、eatas株式会社が提供しているのが、管理栄養士によるオンライン栄養指導コーチングサービス「eat+(イータス)」です。アプリを使い、専属の管理栄養士が一人ひとりの目標やライフスタイルに寄り添い、無理なく続けられる“オーダーメイドの食習慣”を提案してくれます。

管理栄養士でもある 代表取締役の手嶋英津子さんは、長年、大学の講師として、また企業の中で「食」に携わってきました。現在は、食事改善をしたくてもどうすればいいのか分からない、管理栄養士の存在すら知らないという人に食習慣のサポートをしながら、管理栄養士の働く環境整備とコミュニティづくりにも奮闘中です。

経済産業省によるスタートアップ支援プログラム「J-Startup KYUSHU」に選出され、九州最大級のピッチイベント「StartupGo!Go! x 10th The Pitch」で福岡県ITスタートアップビジネス賞を受賞した同社。チームでステップアップを続ける手嶋さんに、これまでの歩みや事業のやりがい、そしてその根底にある思いについて伺いました。

管理栄養士を目指した原点

(手嶋)私は、幼い頃から野球が大好きで、選手を紹介している「プロ野球選手名鑑」が愛読書だったんです。巻末に、サポートスタッフが紹介されているのですが、そこで「管理栄養士」という職業を知りました。選手の活躍の裏には食を支えるプロがいて、「こういう仕事があるんだ」と初めて意識しました。

その後、高校でソフトボール部のマネージャーに誘われて、スポーツと食の関係により興味を持つようになり、食を学べる大学に進学しました。卒業後は一度、管理栄養士の道から離れて、高校の家庭科の先生になったんですが、改めて、自分は何をやりたいのかを自問した時に、「やっぱり食に関わりたい!」という気持ちが強く、管理栄養士の仕事に戻ってきました。

母校の大学に戻り、助手として研究に関わっていた頃に大きな病気をして「食べたくても食べられない」経験をしたことも、食と健康を“自分ごと”として捉えるようになったきっかけだったと思います。丁度この頃に今の会社の理念でもある「食べたいものを美味しく食べながら健康でいられる世界を当たり前にする」という考えが、自身の軸として形づくられていったように思います。

本格的にアプリを使ったサービスを考え始めたのは、大学で教員をしていた時。教育現場ではICT化が進み始めていて、「食や栄養の分野で、デジタルを活用した教材や仕組みはまだ誰も参入していないな」と可能性を感じていました。研究の一環で、日本初の食育アプリを開発したら、それが、なんと管理栄養士で唯一、AppleのApple Distinguished Educator※1に選出され、もうびっくり!※1Apple Distinguished Educator(ADE)は、Apple製品の革新的な使い方によって学習を変革しようとする世界中の教育界のリーダー達を広く知ってもらうためのプログラム。

ADEに選出されて、オーストラリアの研修に参加した時、そこには世界中から「教育をテクノロジーの力で変えてやるぜ!」と希望に満ち溢れた人がたくさん集まっていて、驚いたと同時にビシビシ影響を受けたんです。大学は安定した職場でしたが、オーストラリアで感じた衝動とワクワクがずっと心の中に残っていて…。すぐにエンジニアスクールに入学して、起業にむけて動き出しました。ここまでが、eatasのエピソードゼロ。改めて振り返ると、これまでの経験の全てが今に繋がっているんだなと感じます。

今日のお昼ご飯は、オフィスで作ってスタッフと一緒に。毎日は難しくても、時々はこういう時間をもつようにしています。今日は、銀鱈の西京焼き、サラダ、納豆、お味噌汁に麦ごはん。周りにいいお店はたくさんありますが、こうやってみんなで食べるのが楽しいですね。食事をしながらだと、仕事のアイデアもどんどん出てきたりして、いつも賑やかにワイワイやっています。

食事から何を汲み取るか
人の背景に向き合う栄養指導コーチング

2026年、福岡市トライアル優良商品に認定された「eat+」(イータス)。管理栄養士によるオーダーメイドの栄養管理と丁寧なコミュニケーションを通して、習慣の改善を目指すサービスです。ユーザーは日々の食事を撮影し、アプリから送信するだけ。シンプルな仕組みですが、その裏側には、食のプロとしての確かな知見と、ユーザー一人ひとりの健康を思う、温かな心使いが溢れています。

(手嶋)ユーザーには、まずアプリを使って日々の食事を報告していただきます。その内容をもとに、私たち管理栄養士が一人ひとりに合わせたアドバイスを行っていく、というのが基本の流れです。

現在は、企業の健康管理として使用していただいていたり、クリニックからのご紹介でお申し込みいただくことが多いです。人によっては、自分で課題を整理して進められる方もいますし、誰かと一緒に考えながら進めたい方もいます。大事なのは、その人がどんな状態にいるのかを見極めて、その方に合ったサポートをすること。課題を整理できれば、そこから前に進める方も多いです。

ただ、アプリを介しているとはいえ、「食事を人に見せる」という行為はとてもセンシティブなもの。「怒られるんじゃないか」とか、「嫌なことを言われたらどうしよう」と感じるのは当然ですね。勇気を出して送ってくださった内容に対して、ただダメ出しをしたり、正論だけを突きつけたりしてしまうと、続けること自体が嫌になってしまいます。大切なのは、「この人にはさらけ出しても大丈夫」と思って貰える信頼関係を築くこと。細やかなコミュニケーションと、言葉の使い方や伝え方にはとても心を配っています。

また、私達は単に「何を食べたか」だけを見ているのではなく、「なぜこの人はこれを選んだのか」という背景を常に考えています。ただの好き嫌いだけではなく、体質もあれば、過去の嫌な経験が影響していることもあります。食事を知ることは、その人の生活を知り、人生を知ること。私達は、その全てを受け止める覚悟が必要だと思っていますし、一緒に考え、悩みながら伴走することが大切だと考えています。

最終的に大切なのは、「この人なら任せてもいい」と思ってもらえるかどうか。その部分が一番難しくもあり、同時に、この仕事の一番のやりがいかもしれません。

こうした寄り添い方は、AIでは難しいですし、新人管理栄養士にも簡単にできることではありません。だからこそ、ユーザーの背景や揺れ動く感情まで含めて理解し、伴走できる経験豊富な管理栄養士の存在は、「eat+」を続ける上で必要不可欠です。私が管理栄養士のコミュニティ「eat⁺ community 」の運営に力をいれているのも、そのためなんです。

経験豊かな管理栄養士が活躍できる場を

現在、全国に30万人の管理栄養士がいますが、その中の20万人の人が資格を使っていないと言われています。それ位、管理栄養士は活躍する場所が少ない職業なんです。資格を取った後も「自分で学んで、自分で道を切り開いていく」ことが求められますし、現場での苦労も多い上に学び続ける環境も限られている。また、結婚、出産後に復帰をしたくても復帰する場所がないという話もよく聞きます。

そんなことから、自分がこれまで学んできた経験を共有しながら、管理栄養士が活躍できる場所を作りたいと思うようになりました。それが、今運営している「eat⁺ community 」です。現在、全国の約500名ほどの管理栄養士が参加し、それぞれの知識や経験を共有しながら、新しい働き方や可能性を見つけていく学びの場として機能しています。

活動内容としては、「eat+」の仕事を手伝っていただくことはもちろん、情報交換や、専門家をお呼びしてのセミナー開催、経験豊富な管理栄養士のノウハウや知見を若い管理栄養士に伝える講習会など、多岐にわたります。今一緒に働いているスタッフは、元コミュニティのメンバー。経験もやる気もある管理栄養士さんとの出会いは本当に嬉しいです。

誰もが気軽に管理栄養士に相談できる社会を

夢は「食で困ったことがあれば、管理栄養士に相談」が当たり前になる社会。「eat+」を通して、老若男女が気軽に専門的なサポートを受けられる状態をつくっていきたいですね。同時に、管理栄養士の働く環境ももっともっと整え、限られた場所だけでなく、オンラインを通じて、多くの人に価値を届けられるような仕組みづくりができればと思っています。

また、管理栄養士の力とテクノロジーを融合することで、これまで出来なかったことも可能になると思っています。データを蓄積していった先には、福祉や介護といった社会課題を解決できるんじゃないかと思っていますし、より一人ひとりに合った食習慣を提案することができるようになります。これまで通り、人との関係性を大事にしながら、うまく掛け合わせていきたいと考えています。

「我慢する健康」ではなく、「楽しく美味しく食べることで健康になることを当たり前にするセカイを」の実現のため、管理栄養士のトップランナー集団として知恵と知見をより多くの人に届けていきたいと思っています。

eat+(イータス) についてのお問い合わせは
eatas株式会社 まで
https://eatas-inc.com/

取材・文:はたゆう
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