まち

天神・博多が掲げるまちづくり【TABLE SESSION TENJIN vol.07】

2021年08月04日 11:00

“まちづくりは人のつながりづくり”をコンセプトにした未来のまちづくりにつながる場「URBANG TABLE」。変革期を迎えている天神で、新しいまちに必要なモノ、都市としての機能とは?そんな“まち”の在り方を考えるトークイベント「TABLE SESSION TENJIN vol.07」が開催されました。

今回のテーマは“天神・博多のまちづくり”。ゲストには福岡を代表する天神と博多の、まちのエリアマネジメント団体の代表(事務局長)が登場!そして、15年ほど天神のまちづくりに携わっている福岡テンジン大学の学長 岩永真一さんが話を伺いました。まちづくりと深い関係のあるお二人と一緒に福岡のリアルとこれからの未来について考えます。

●GUEST:WeLove天神協議会事務局長/荒牧正道さん(写真右)
●GUEST:博多まちづくり推進協議会事務局長/郷原裕季さん(写真左)


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●福岡を代表する2つのエリマネ
みなさん、エリアマネジメント団体(以下、エリマネ)ってご存知でしょうか?一般的にまだ浸透しておらず、認知している人は少ないと思います。ただ、クリスマスシーズンのイルミネーションなど街の賑わい、街中の清掃や防犯と聞くと、グッと身近にある存在だと思いませんか?主に都心部での地域の価値を維持・向上させる団体で、公共空間、集客、景観、空室率、交通事情など多岐に渡る取り組みを行っています。

福岡での発足は1948年に天神一帯を将来的に都心にしたいと都心界という団体より、周辺の商業施設が寄り合い、賑わい・集客づくりをしました。その後、2006年にWeLove天神協議会(以下、WLT)が設立され今に至ります。そして、博多にも博多まちづくり推進協議会(以下、博多まち協)が2008年に誕生しました。
 


↑2019年のMUSIC CITY TENJIN

【WeLove天神協議会】
●横のネットワークが強い天神
目標は“歩いて楽しいまち、心地よく快適に過ごせるまち、持続的に発展するまち”。昨年の取り組みとしては、旧大名小学校跡地にテラス席を設けた社会実験や、警固公園のキャンドルナイトなどが挙げられます。

2020年10月には天神ビッグバンに伴う休業や、コロナ禍においても天神に来て欲しいという思いを込め「お願いドミノ」という来街促進の動画を制作。各商業施設が連携した映像は話題になりました。このように商業施設の横の繋がりが強く、天神コアと天神VIVREが閉店するときにも、それぞれが懸垂幕で感謝を表明。共同バーゲンを開催したりと国内でも珍しい文化があるといいます。

ほかにも、公開空地を用いた飲食支援の取り組みだったり、LINE Fukuokaや博多まちづくり推進協議会との共同でオンライン防災訓練、那珂川河畔オープンカフェ事業などに取り組んでいます。
 

●WLTが将来描くまちづくり
ガイドラインが制定されたのが2008年。そこから13年経ち、天神を取り巻く環境は大きく変化しました。2023年に新ガイドラインを発表すべく、改定までの期間、「WLTアクションプラン2020」を打ち出し、新たな天神ふさわしいエリマネ団体に向けた基盤の構築していくそう。

例えば、国家戦略特区を活用した「福岡ストリートパーティー」を一過性のものでなく、恒常的な歩行者天国として実施したり、日常的に利用しやすい空間を作りたいそう。荒牧さんは「来街者やオフィスワーカー問わず多様な人たちが個性を尊重して、安心・快適に過ごせるまちづくりを進めていきたい」と話します。

WeLove天神協議会HP:https://welovetenjin.com/


↑過去のイルミネーション

【博多まちづくり推進協議会】
●デジタル技術を活用したまちづくり

博多駅を含めた都心部のビルの建替え、九州新幹線全線開業で、開発を超えて博多というエリアを管理・運営する「博多まち協」。2008年に住民・企業・行政の共働によるまちづくりを目指し発足しました。

コンセプトは“駅からまちへ、まちから駅へ、歩いて楽しいまちをめざして”。2020年のコロナ禍では、本来は実際にスタンプを押していた「和の博多デジタルスタンプラリー」を二次元コードを活用した非接触型で実施したり、公開空地でテイクアウトランチイベント「えきまえどおりdeお弁当マルシェ」を開催しました。

毎年行ってきた明治公園で開催された博多星空映画館においては、座席指定によりソーシャルディスタンスを確保し検温も。「博多まちづくりミートアップ」や「はかた大学」は、コロナの感染拡大防止の観点からオンライン配信に切り替えたそう。今までのコンテンツをデジタル技術を用いてまちづくりを行っている印象を受けました。
 

●博多が抱える今後の課題と展望
2010年から地元の自治協議会とワークショップなどを通して明治公園のありかたやレイアウト、将来の公園像を検討してきたという「博多まち協」。2025年には公園整備の一部を完了させ、行く行くは博多のシンボリックな公園にする計画も。

博多コネクティッドにより生み出された公開空地・公園・歩道の有効活用や賑わいの創出はもちろん、マルシェやキッチンカーの新たな利活用を検討していくといいます。「2022年の開業に向け進められている地下鉄七隈線の延伸もあるので、天神・博多の回遊性が生まれる仕掛けや、あまり知られていない神社・寺が多く残る博多旧市街を広めるまち歩きマップを作成したい。」と郷原さんは話してくれました。

▼博多まちづくり推進協議会:https://hakata-machi.jp/


●天神ビッグバンと博多コネクティッド、再開発による変化は?
<WLT>
公開空地が今後増えていく。作って終わるではなく、まちの賑わいの一部として活用できるように行政と話し合っていく。開発事業者と一緒に考えて将来の活用方法を見出だしていきたい。
<博多まち協>
2022年夏に竣工予定の博多スターレーン跡地開発やその後の東総合庁舎跡地開発については、新たに生み出される公開空地について事業主とエリマネで具体的にこう使ったらいいのでは?などある程度話ができている。西日本シティ銀行のビルについてはもっと大きな公開空地ができる予定があり、視認性も良い場所なので大きなことができれば……。


●再開発がされないビル、エリアとの掛け算は?
<WLT>

空地や将来に何ができるか、通りの役割と機能、イメージを見直す必要性がある。
<博多まち協>
筑紫口もリニューアル、ビル開発があるので、筑紫口にスポットを当てた回遊性を高める仕掛けをしていきたい。


●SDGsにおけるまちづくり
<WLT>

天神・博多で行われている月イチで開催されている“クリーンデイ”で自分が拾ったゴミの量を可視化できたら、来月頑張ろうと意識改革ができるのでは?移動にかかわるサービス、MaaSの観点からはフリンジパーキングなどチャレンジしている。
<博多まち協>
SDGsについては今の僕らの活動と照らし合わせた中で、こうしたら当てはまるというのをディスカッションして目標を立て前向きに発展させていきたい。

 

●今後、どんなまちを手掛けていきたい?
▼荒牧さん

色んな方が携わって、こんな場でリビング・ラボ的な新たな共創活動ができ自ら創造するまちになればと思います。
▼郷原さん
博多も商業施設が充実してきてイメージが変わって来たと思うが、県内の人にもっと博多の魅力(昔からある寺社仏閣やお店など)に気づいてもらえるようなマネジメントを心がけていきたい。
 


エリマネの役割って来街と活動(消費・ビジネス)。天神・博多に行きたくなる意味を作り、集約するのが大事だと感じたと、最後に岩永さん。今後も一緒に活動していきたいと語っていました。


余談ですが、この御二方。まちづくり組織の事務局長を務めていますが、荒牧さんは西日本鉄道株式会社に、郷原さんは九州旅客鉄道株式会社に所属しているというれっきとしたサラリーマン!天神と博多、西鉄とJR、と相反しているようなお二人ですが(?)情報交換を兼ねて飲みに行ったこともある間柄なんだとか。

福岡を代表する2都市のかつてない再開発は今も進行中。行政・財界・民間と一緒になり、取り組んでいく必要性があります。それは地域の中心であるエリマネの手腕にかかっていると言っても過言ではありません。福岡の未来を紡ぐまちづくりは、遠くにあるようで、意外にも近くに感じたのではないでしょうか? まちの魅力向上を担うエリマネに乞うご期待!
 

●youtube視聴者からのコメント
・西通りは歩行者天国にしてほしいです!
・天神と博多は福岡のツインドライブ。この二つがより密に連携してアジアの玄関口_福岡を大いに盛り上げて欲しいです。
・天神の街作りのためならクラウドファウンディングのように投資するのもよし。リターンはメルマガでの活動報告で構いません。天神も博多も好きですよ!
・美術館・博物館のミュージアムショップの別館みたいのが欲しいですね
・天神ファン、博多ファンをいかに増やしていくかが、福岡の魅力的なまちづくりに繋がる、一つの課題だと感じます。


★TABLE SESSION TENJIN vol.07の動画
https://youtu.be/-LtC7__X4pQ



イベントの詳細は下記youtubeからチェック!
▼Youtube
https://www.youtube.com/watch?v=OqVxuBGE2Hc&feature=emb_rel_err
▼Facebookページ
https://www.facebook.com/urbangtable
▼Twitter
https://twitter.com/home?lang=ja
▼公式サイト
https://tenjinsite.jp/urbangtable/

 

 


プレイス情報PLACE

URBAN TABLE

住所 福岡市中央区天神4-3-30 天神ビル新館1階

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