天神ワーカーに密着取材

大好きな福岡の社会課題を解決したい!公務員から飛び込んだスタートアップ企業で日々奮闘中

2025年02月07日 11:00 by はたゆう

62Complex株式会社    矢野 桃子さん
【福岡市トライアル優良商品】MATIENCE(マチエンス)

2021年創業の『62Complex』で営業を担当する矢野桃子さんは、福岡市の退職手当特例制度を利用し2023年に公務員を退職、スタートアップ企業に転職しました。なんと全国で2人目の挑戦者なのだそう。あえて厳しい場に身を置き挑戦をしようと思ったきっかけや、現在の会社を選んだ理由、公務員時代との違いなど矢野さんの一日に密着をしながらお話を伺いました。

※福岡市退職手当特例制度(国家戦略区域における国家行員退職手当法の特例)とは
公務員が創業5年以内のスタートアップ企業に転職し、3年以内に再採用した場合の退職手当の算定について、退職前の期間と再採用後の期間で退職手当の算定を通算する制度。スタートアップ企業の人材確保を支援する目的で創設され、官民の人材の流動性向上を図るために設けられた制度です。
https://www.city.fukuoka.lg.jp/soki/kikaku/documents/R6_sougyosya_jinzaikakuho_jigyo.pdf (PDFが開きます)

『62Complex』が拠点を置くのは天神の真ん中、大名小学校跡地に作られたスタートアップ支援施設『Fukuoka Growth Next』 です。スタートアップカフェやコワーキングスペース、ラウンジが利用でき、ノスタルジックな小学校の雰囲気を残した館内は、立派な石造りの階段や長い廊下も当時のまま。

「日が暮れると賑やかになりますが、昼間はとても静かで仕事に集中できますね。入居しているのはスタートアップ企業ばかりなので、隣の教室の会社の方々と悩みを共有しながら励まし合い頑張っています」と矢野さん。

「第3次産業が多くを占める福岡は、渋滞、マナー、オーバーツーリズムなど多くの課題を抱えています。公務員時代は旅行好きから観光に携わっていましたが、日々目の当たりにする課題を解決するには、行政の力だけでは難しいと考えるようになりました。

また当時、民間企業に事業を委託する際にもベストな選択をしたいと思いつつも、多忙さと何を基準に選べばいいのかがわからず模索することが多かったように思います。
それならば!とまずは自分が飛び込み働いてみることで民間側、事業を受託する側の視点に立てるのでは?と5年勤めた役所を退職し、転職を決意しました」

「多くのスタートアップ企業がある中で『62Complex』を選んだのは、公務員時代に解決の道が見いだせなかった課題を、『62Complex』の技術を使えば解決できるのではないかと感じたからです。
ベースの技術はありますが、提供できるサービスは使い方や提案次第。既存の課題、未来に起こる課題を解決するために、エンジニアや上司と試行錯誤しながら少しずつ形にしていく過程がとても楽しいです。

私は、行政の営業を担当していますが、全くのゼロからスタートして、通っているうちに徐々に担当者の方と打ち解け業務が前に進んだ時はやっぱり嬉しいですね。以前は全く逆の立場でしたが、柔軟な考え方や見えないものへ挑戦する姿勢など私はこっちの方が向いているかなと思います。毎日とても楽しいです!」

同社には、週に一度共に仕事をするスタッフやエンジニアとランチをしながらオンラインで交流する「tea party 」の時間が設けられています。在宅勤務が多く、なかなか顔を合わせる機会のない人達との大切なコミュニケーションの時間です。

「今日のランチはお弁当にしました。大学時代、ホテルでのアルバイトの経験をいかして普段から自炊を心がけていますが、3ヶ月に1度は隣接する「大名ガーデンシティー」の店舗でご褒美ランチをすることもあります。昨年末から飲み会続きのため、今日は少し少なめで笑」

まちの情報を3次元データで分析
「MATIENCE」(マチエンス)

2023年、福岡市トライアル優良商品に認定された「MATIENCE」(マチエンス)は、まちなかをサイエンスで前進させるサービスです。最新のセンサー技術を活用し、AIを使って街の中の車や人の動きを可視化することができます。

地上3〜4mの高さにセンサーを設置し24時間365日、雨天や夜間を問わず交通量を計測、人が滞留している場所や渋滞が起こっている場所を分析します。駅 などの交通拠点やイベント会場、受付窓口、商業施設など、様々な空間における歩行者や自動車などの交通状況を分析、可視化することで、まちなかの賑わい計測や都市開発のDX推進が可能です。
一方で個人を識別するデータは取得しないためプライバシーに配慮した計測が可能なことも特長です。

「実際に福岡市東区役所に設置し、来庁者が停滞する場所を明らかにした後に所内のレイアウトを変更したところ、混雑が10%改善されました。行列や待ち時間が緩和されれば、役所で働く人の残業時間も減らすことができます。問題点を可視化することは、目先の混雑の解消だけでなく、さらに先の業務改善や生産性の向上につながると考えています。
他にも北九州市役所や柳川市役所など、市民サービスや賑い創出、渋滞緩和に向けたの調査のために導入をいただいています」。

「会社に入って、いい意味で思っていたのと違う!ことが多いですね。今は苦労9割、楽しさ1割を楽しんでいます。日々、公務員時代にはなかった視点やスキルが自分のものになっていく感覚もあります。毎日、頭フル回転ですが、自分自身の成長をとても感じながら過ごすことができています。
福岡が大好きなので、これからは官民が柔軟に連携し、一緒に楽しみながらまちづくりが行えるそんな風になればいいなと思っています」

「MATIENCE」(マチエンス)についてのお問い合わせは
62Complex株式会社 まで
https://62complex.com/

取材・文:はたゆう
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