グルメ
天神サイト発 天神・博多メシ2013★餃子編
2013年11月14日 12:00 by 山内淳
この連載では「天神・博多に来たなら、まずはココでしょ!」の定番(テッパン)店と「今、ココがアツい!」という話題(ナウ!)のお店を2店舗ご紹介。
連載第2回のテーマは「餃子」。
福岡といえばラーメン、うどんだけではありません。餃子も専門店が多く、福岡を代表するグルメといっても過言ではないのです。その特徴として挙げられるのが、ひと口サイズの小ぶりな餃子であること。皮はもっちり系とカリッと系に分かれますが、その歴史はどちらも50年以上あります。今回、天神サイトが選んだのは老舗の2店舗。アナタはもっちり派? カリッと派? ひと口サイズに凝縮された肉と野菜の旨味を堪能してください。
【テムジン 大名本店】どこか懐かしい味わいのもっちり系餃子
1963(昭和38)年に創業した『テムジン』は、2013年で50周年を迎えました。現在では東京や大阪、長崎でも展開。その歴史の始まりとなった『テムジン 大名本店』は、大名紺屋町通りにあります。店名の由来は、モンゴル国家創建の英雄・ジンギスカン(チンギスハーン)の幼名から。それは、先代が「ジンギスカン」という店名を提案された際、自分には重すぎる名だと考えたからだそうです。看板には若き日のジンギスカンの横顔が描かれています。
さて、お目当ての「焼き餃子」をオーダー。こちらではできる限り作り置きはせず、オーダーが入ってから作り始めます。1人が皮をのばして、もう1人が餡を包む。テンポよく行われる、息の合った連携に脱帽です。餡は合挽き肉ではなく牛肉を使用し、たっぷりのタマネギ、ニラ、キャベツ、少量のニンニクが入っています。比率は7:3で野菜が多め。
鉄板に薄く油を敷き、餃子を並べて焼きます。ほどよいタイミングで鍋に水をたっぷり入れ、ジュワーッという音と共に湯気が上がったら蓋をして蒸し焼きに。そうすることで皮がもっちりした食感に仕上がるんだとか。皮の生地は小麦粉のみで、寝かさずに毎日使う分量だけをその日に仕込んでいます。水気が飛び、軽く焼き色が付いたらできあがり!
これが『テムジン 大名本店』の「焼き餃子」(10個480円)。餃子の皮は薄くてもっちりとした食感が特徴で、フワッとやわらかい口あたりが印象的です。食べると甘味を感じるのは、野菜がたっぷりだから。具材を切るときも野菜の繊維や肉の筋に気を遣いながら、すべて手作業で切っているそうです。
博多の餃子に欠かせないのが柚子胡椒。今でこそラー油も置いていますが、昔は柚子胡椒しか薬味は置いていませんでした。こちらでは香り高く熟した赤唐辛子で作る柚子胡椒を使用しています。酢を控えめにした餃子のタレでいただきます。
あっさりヘルシーな餃子はひと口サイズなので、軽く2〜3人前は食べられます。店内には餃子番付が掲げられており、名前が刻まれた札がズラリ。大食い自慢の方は、まずは前頭(60個以上)を目指してみては?
メニューは「焼き餃子」のほか、「水餃子」(10個600円)や「スープ餃子」(10個700円)、「にらとじ」(550円)、「焼きめし」(600円)など家庭的なメニューが多く、地元の常連客から愛されています。
●住所:福岡市中央区大名1丁目11-2
●電話:092-751-5870
●営業:17:00〜翌1:00、土曜11:00〜翌1:00、日祝日11:00〜24:00
●定休:なし
●URL:http://www.gyouzaya.net/
【鉄なべ であい橋店】家庭では真似できないカリッと系餃子
『天神・博多メシ』なので、博多エリアのお店も紹介。極厚の鉄鍋で餃子をカリッと焼き上げる『鉄なべ』は、奇しくも『テムジン 大名本店』と同じ1963(昭和38)年に当時の博多駅前(現在の祇園町)に屋台としてオープンしたのが始まりです。ここ『鉄なべ であい橋店』は博多区といっても、中央区と博多区を繋ぐ福博であい橋を渡ってすぐの場所にあります。
店名にもなっている鉄鍋こそが、こちらの餃子の決め手となる重要なアイテム。長年使い込んで年季が入った鉄鍋は、創業当初から使用しているものもあるとか。鉄鍋に餃子を並べたら、粉を落とすように餃子に水をかけます。
水を入れたら蓋をします。この木製の蓋が蒸気を吸うことで、鉄鍋内の水分を無くしていくそうです。そのため、皮の内側はモチッとしていながら、表面はカリッとなっています。
コンロの微妙な火力の違いに合わせ、鉄鍋を回しながら温度を調整。時々、鉄鍋を持ち上げて残った水が偏らないように蒸発させます。カリッと系の餃子が家庭でなかなか真似できないのは、この火力と極厚の鉄鍋の成せる業といえるでしょう。
こんがり焼き色が付いたら、ひっくり返してできあがり。今まで鍋に触れていなかった反対側を鉄鍋の余熱で焼きます。
これが『鉄なべ であい橋店』の「焼き餃子」(8個450円)。鉄鍋のままテーブルに運ぶのは、創業当時の喫茶店で流行っていた鉄板にのせたナポリタンがヒント。餡の肉は鹿児島のブランド豚〈茶美豚〉、野菜はタマネギ、ニラ、ネギ、キャベツを細かく刻んで使用し、ニンニクは控えめです。餡は豚肉や調味料と合せる前に野菜を絞り、サラサラになるまで脱水します。そうすることで肉汁や旨味などが染みこんで、ジューシーな餃子になるそうです。タレは九州産の甘口醤に酢をブレンド。こちらでは柚子胡椒ではなく、一味唐辛子とラー油を調合したオリジナルの薬味でいただきます。
創業以来、継ぎ足してきたタレで煮込んだ「手羽先甘辛煮」(1本250円)。昔ながらの素朴な味わいの「昭和のポテトサラダ」(550円)のほか、「花街ちゃんぽん」(850円)、「ごまさば」(750円〜)、「霜降り馬刺し」(1300円〜)、「くじら料理三種盛り」(990円)など、観光客に喜ばれそうなメニューも揃っています。
店内は今回は博多区の『であい橋店』を紹介しましたが、西中洲の国体通り沿いに「中洲本店」、福岡パルコ地下1階に「パルコ店」もありますよ。
●住所:福岡市博多区中洲4丁目5-9
●電話:092-262-0488
●営業:17:00〜翌1:00(OS24:00)
●定休:日祝日
●URL:http://www.tetsunabe.jp/
★★天神・博多メシ2013 定番VS話題の店★★
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取材・文:山内淳
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