グルメ | イベント | まち

連続アジフライ小説~アジフライに恋して~第1話「人気者の彼女とアジフライ」

2018年08月22日 10:00

Photo by takahiro taguchi on Unsplas

女「ねえ、松浦に行きたい!」

車の免許を取ったばかりの彼女が僕にそう言った

男「松浦って長崎の松浦?」
女「そう。おばあちゃんちがあってね昔よく行ってたの。私が運転するから!天神からでも1時間半くらいで着くんだもん。レンタカー借りて、それで松浦で一泊して帰るの」

一度言い出したら止まらないのが彼女だ

男「松浦って行ったことないなあ」
女「いいとこよー海があって景色が綺麗だし、おいしいものたくさんあるし、私が案内するから!」
男「免許取ったばかりだから運転したいんだろ?」
女「ふふ、バレた?笑」

けれど僕もまんざらではなかった。彼女とドライブデートなんて初めてだったし、ましてやお泊りデートというのも初めてだった。

彼女とは大学の同級生で、学部が一緒で、授業がいくつか一緒で、お互いの下宿先も近くで帰りが一緒になることが何度かあって、なんとなく話すようになって、僕はいつの間にか惹かれていて、いや最初から惹かれていて、だって彼女はとてもきれいでつまり大学の人気者で、それを考えると僕にはとても無理だ、友達としか思われてないだろうと思っていたのだけど、何度かごはんを食べに行ったりして、家まで送って帰るというのを何度かしたとき、その日も夜に家まで送っているとき、もう我慢できずに彼女の家の前の公園で『好きです付き合ってください』と告白をしたら彼女は『いつも家まで送ってくれてすぐ帰っちゃうから、私のことなんも興味ないのかと思ってた。なんならゲイなのかな、ってくらい思ってた。私も好きだから付き合おう』と言われ付き合うことになった。
そしてその夜、酔いに任せて月光の下キスをした。

つまり付き合って3ヶ月ほど経った大学3年の夏休みに、僕らは松浦に行くことにした。そして僕はすでに、彼女の運転する松浦に向かう車の助手席に座っていた。

女「ねえ、アジフライ好き?」
男「大好き。アジフライが居酒屋とかにあったら絶対頼むってくらいアジフライ好きかも」
女「アジフライっておいしいよねえ。とくに出来たてのアッツアツのアジフライ!ちょっとレモン絞ってちょっとソースかけて」
男「大根おろしとお醤油でもいいよね」
女「いい!タルタルソースも」
男「ああそれもいい。居酒屋の人気者ってイメージかな」
女「サクッと揚がった衣の中に、ふっくらでホクホクのたっぷり肉厚でジューシーなアジ。アジフライがあったら私あとは何にもいらない。アジフライとビールだけでいい!あ、ごはんとお味噌汁でもいいなあ、お漬物がちょこっとあって、アジフライ定食も最高!」
男「いや結構いろいろ必要じゃん(笑)」
女「ふふふ」
男「うわ、アジフライの口になったなあ。なんで?急にアジフライの話?」
女「松浦市ってアジの水揚げ量日本一で、アジフライの聖地なの」
男「へーそうなんだ」
女「おばあちゃんちに行ったときよく作ってくれてたのアジフライ。おいしかったなあ」
男「新鮮なアジを使ったアジフライってなんか贅沢でいいなあ」
女「だから松浦にはアジフライの美味しいお店がいっぱいあるんだって」
男「今日はアジフライで決まりだ。ちょっとお店探すよ!」

そういって僕はスマホを取り出して【松浦 アジフライ】で検索をした。
そして彼女が運転してくれてるのを尻目に、僕はアジフライを画像検索して、おいしそうなアジフライの画像をただただ見てしまっていた。


続く

連続アジフライ小説~アジフライに恋して~第2話「彼女とアジフライが好きな理由」はこちらから≫

ライター:石田剛太(ヨーロッパ企画)
俳優/ラジオパーソナリティ
'79年愛媛県生まれ。'99年に第2回公演よりヨーロッパ企画に参加。以降、全作品に出演。
舞台や映像作品やテレビ番組の出演に加え、ラジオパーソナリティや脚本家としても活動中。
主な出演作品:舞台「続・時をかける少女」(ニッポン放送/ぴあ/イープラス)、
「芝浦ブラウザー」(東京グローブ座+パルコPRESENT)、映画「パンク侍、斬られて候」
「鍵泥棒のメソッド」「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる野望」、テレビ「ヨーロッパ企画の暗い旅」(KBS京都/tvkテレビ神奈川)ほか

3日間限定で、梅山鉄平食堂に、松浦市のアジを使ったアジフライ定食が500円で登場!詳しくはこちらをチェック↑↑↑

特 集SPECIAL

PAGE TOP