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【小曽根真さん インタビュー】福岡シンフォニーホールで一夜限りのプログラムを開催

※このイベントは2024年2月29日(木)をもって終了しました。

2023年11月03日 11:00 by 深江久美子

頻繁に来福することもあり福岡を“第二の故郷”と話してくれたのは、クラシック界でも注目を集める世界的ジャズピアニストの小曽根真(おぞね・まこと)さん。バークリー音楽院を首席で卒業後、カーネギーホールで本格的プロデビューを果たし、世界規模で活躍。ジャズ、クラシック、映画音楽などジャンルを超えて活動し、意欲的に取り組んでいます。

そんな小曽根さんが日本を代表するトロンボーン奏者 中川英二郎さんとのジャンルを超えた、一夜限りのプログラムを2024年2月29日(火)に開催。昨年11月以来の福岡シンフォニーホールでの演奏となるそうで、先日それに向け合同記者会見が行われました。


――異色なコンビネーションですが、どのような編成になりますか?
世界的なトロンボニストになって、レジェンドになりつつある彼と一緒にできるのが今回とても楽しみです。しばらくデュエットをしていなかったので、その間にどれだけ成長したのか劣化したのか(笑)。自分たちの音楽を深めてきたものを届けたいと思います。


――小曽根さんから見たトロンボーン奏者 中川さんはどんな方でしょう?
ジャズはリズムが何より大事でそれがないと決まらない音楽。メトロノームより正確な管楽器奏者は世界中を探してもいないくらいすばらしい音楽家です。すごいだけでなく、楽しくて優しくて、そんな音を奏でる英二郎とやることに意味があるコンサート。二人で向き合う音楽なので隠すことができない、濃い音楽になるんじゃないかな?


――クラシックだとトロンボーンとピアノでソナタになるが、リズムセッションのないジャズは想像がつきません。
ピアノソロを弾いていたときに僕がピアノ1台で弾いているのに「小曽根さん、今日ピアノだけですよね?バンドネオンが聞こえた」と言ったお客さんがいたんですよ。それは皆さんがいろんな音楽を知っていて、僕がそういう風に弾けばそう聴こえるというミラクルで・・・・・・。英二郎の音を聴くと、ドラムが鳴っているようにリズムが聴こえてきます。


――そして、活動の拠点をNYに移す予定があると伺いました。
僕自身が2003年に札響でモーツァルトを弾いてクラシック人生がはじまりました。新しいコンチェルトを弾き、テクニックを向上させクラシックに時間を費やしてきました。ジャズにおいてはインプットがなく行き詰っていました。無名の若いミュージシャンたちが何か新しいモノを作っているNYという環境にもう一度身を置きたい。それが自分にとっての良いインプットになると考えています。


――クラシックをさらに深めつつ、新しいジャズに連携させていくということですか。
クラシックは譜面通りに弾くことを大事にしていますが、この間行ったコンサートでは先方の要求でめちゃくちゃジャズにして弾きました。単にクラシックの曲をジャズにアレンジして弾くだけでなく、たとえば「僕にはラフマエノフがこう聞こえます」というのを提示していく。それがクラシックの世界で小曽根真というピアニストが演奏させてもらっている意味じゃないかなと。自分も作曲家なので簡単に変えることは好きじゃなかったけれど、これから僕がやっていくクラシックを弾くことの意味、もう一度自分を信じていくという作業なのかもしれません。ジャズ魂磨きは僕の人生の最終学習と思っています。


――逆にジャズと真剣に向き合う中で、これまでのクラシックの経験はどう活かされていきますか?
コンチェルトをするときはスコアを勉強してからやるので、作曲家としてもいろんなハーモニーの構築を作曲家から無意識に盗んでいます。アドリブをやるときにクラシック側からきている音楽の紡ぎ方がジャズに表れますが、もう一度ジャズしかやってこなかったやり方を自分でもリバイブさせて極めていきたいと思います。

どんな形でもスイングというリズムと、ブルースが聞こえてくればジャズ。英二郎という人は前世アメリカ人じゃないかと思うほど、見事なスイングとブルースが彼の中にある。そういう人たちと一緒に演奏するときは説明しなくていいし幸せになる。方言があるようにジャズにも訛りがある。訛りが聞こえると幸せになるんですよ。


――ジャズに訛りがあるということですが、中川さんとの訛りが共通しているということですか?
ジャズ語っていうのがあって、英二郎に聞いても同じことを言うと思います。曲想によってノリ方、運び方、色、香りとかいろいろある。音楽が創り上げていく温度というか匂いというか、スピード感というか、力強さ。ジャズの場合は即興だからその曲にしかできない話し方とテンポがあります。それぞれの言語の話し方があって、その場で演奏したときに「こいつは知っているな、感じるな」というのは特に海外で感じます。


――今回のコンサートは福岡だけですよね。どんなプログラムになりますか?
はい、ここでしかしない単独コンサート。大変意味のあるコンサートなので、僕自身も気持ちをそこに向けて持って行っています。プログラムはこれからです。彼の演奏を聞いてこんな曲をやってみたいなって。脚本でいう当て書きをして・・・・・・。英二郎だと普通のトロンボーンには書かないことも書いちゃう。あの人吹いちゃうからね(笑)。


――異色のデュオになりますが、どんな小曽根さんが聴けますか?
ぼくが大事にしていることって触発されること。何かに向かって全力で走っているエネルギーを感じてもらえたらいいですね。見て聞いた時に「よし」っと駒が前に進むようにできたら。即興で演奏するから真正面から自分と向き合ってやるしかなくて、それが素敵なコンサートになればいいと思っています。


「目指すところがどんどん高くなり恐怖を感じる」一方で、「怖くなくなったら辞めちゃう」と話してくれた小曽根さん。来年はもう1回ジャズという言語を探しに渡米するといいます。音楽に対するエネルギーや不安も含めたワクワク感を2月の公演では届けてもらえるはずです。

「小曽根真 ピアノソロ featuring 中川英二郎」は絶賛チケット発売中。

取材・文:深江久美子
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会場 アクロス福岡シンフォニーホール
日程 2024年2月29日(木)
時間 19:00~
料金 S席7,000円(U25/3,500円)、A席5,500円(U25/2,750円)、車椅子席5,500円
※車椅子席の取り扱いはアクロス福岡またはヨランダオフィスへお問い合わせください
※U25席ご購入の際は年齢確認をさせていただきます
※未就学のお子さまの入場はご遠慮ください(有料託児サービスあり・要予約)
イベント公式URL https://www.acros.or.jp/events/13761.html
チケット
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 TEL:092-725-9112(10:00~18:00)
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