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【西鉄バス】今年のハロウィン装飾が攻めている深い訳(福岡市)

2020年10月21日 18:00 by はたゆう

10月に入り、街を歩いているとハロウィン仕様の商品や装飾などを見かけるようになりました。西鉄バスも同じで、カボチャやお化け等の飾りで賑やかな車内に。一部の西鉄バスでは、これまでも季節に合わせた装飾で、乗車する人の心を和ませてきました。バスの車内にここまで装飾するのは全国的に見ても珍しいのかもしれません。

そして、今年のハロウィンはというと、今まででも一番と言っていいほど華やかなものに。西鉄バスの担当者の方に話を伺うと、そこには深い理由がありました。

↑バレンタインには、ハートで可愛く

↑春には、受験生を応援!

↑七夕には天井に天の川が出現

↑クリスマス「ゆめクリ号」


これまで、装飾バス(デコバス)の第一人者として運転手をしてきたのは、片江営業所勤務だった岩崎さんという運転手。「乗客に向け何かできないか?」という岩崎さんの想いからデコバスは、始まりました。しかし、残念ながら先月ご病気で亡くなったのだそう。今回の装飾は、その哀悼の意が込められたもの。

車内には岩崎さんの娘さんからのメッセージが飾られていました。

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装飾バス(デコバス)の第一人者


このバスは装飾バス(デコバス)です。1年に5回ほど、季節のイベントに合わせて福岡都市圏を走っています。父は西鉄で装飾バスを始めた第一人者でした。

この取り組みが始まったのは父の「お客様に向けて何かできることはないか?」という思いからです。そこで当時の天神~博多駅を走行する100円バスにクリスマスの飾りつけをしたことが始まりです。

この取り組みを始めて父が印象に残っている場面は初めてクリスマスの装飾をした際に、40代くらいのお客様より「1ヵ月前に主人を亡くして落ち込んでいました。気分転換に外に出てみたらすごい飾り付けをしたバスがやってきて、亡くなった主人からプレゼントをもらったようでとても嬉しかった!」と言われたことだそうです。

その後は装飾バスの評価やお客さまの声が様々な形で届くようになり、営業所内だけでなく他の営業所や高速バスの装飾まで行うようになりました。また、他社のバスも西鉄の装飾バスを参考にバス内の装飾を始めたそうです。


そして現在も装飾バスの伝統は引き継がれ、福岡都市圏を走行しています。私も周囲の人に「今日すごい飾りつけされてたバスに乗れてうれしかった!」と言われた経験があり、とても嬉しく思いました。また、仕事に対し向上心を持ち、常にお客様の事を考え、新しいことに挑戦する父のことを改めて誇りに思います。

今回は、西日本鉄道株式会社様、その他父の友人様のご協力のもと斎場にバスを展示させていただきました。運転席には父が使用していた制服と帽子が飾ってあります。また、出口付近にある運転士の名札は『岩崎利晴』となっています。父の想い出の写真も飾ってあります。父が運転士として最後のバスにぜひ皆さま中に入り、ご乗車ください。最後に今回ご協力頂きました、西日本鉄道株式会社、父の友人様に改めて感謝申し上げます。

皆様にも亡くなった父より何かプレゼントがありますように…。
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西鉄バスは、ただ人を乗せる乗り物なのではなく、たくさんの人も想いも一緒に運んでいるのですね。きっとこれからも、装飾バス(デコバス)に込められた『人を想う気持ち』が、様々な人へ伝わり街を明るくしてくれるのだと思います。今日もどこかで岩崎さんの想いを乗せて、バスは走ります。

 

 

 

取材・文:はたゆう
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