
日々是食欲
若い世代で俄然活性化する福岡の寿司業界
2015年11月12日 08:00 by 弓削聞平
〈ソワニエ〉の前身であるグルメ雑誌〈epi〉で寿司特集をやったのはもう9年前のことだ。とてもよく売れたので第2弾をやりたかったのだが、それからしばらく福岡の寿司業界は動きが少なく、寿司屋を取り上げる機会があまりなかったので、特集をしても顔ぶれが前回と似てしまいそうという理由でずっとやらなかった。しかし今月20日に発売になる〈ソワニエ〉で久しぶりに寿司の特集をやる。タイトルは「寿司屋は怖くない」。もちろん〈ソワニエ〉では初めての寿司特集となる。
ここ10年ほど目立った動きがなかった福岡の寿司業界だったが、数年前から30代くらいの人たちが自分の店を開業するケースが増え、途端に活性化してきた感がある。〈ミシュラン〉で三つ星をとった「行天」、なかなか予約が取りづらい「さかい」を筆頭に、御供所の「すし、太郎。」、代替わりして内容がまったく変わった春日の「菊鮨」、「やま中」出身ですでに人気を博している「香坂」など、枚挙に暇がない。「やま中」出身といえば、今年浄水通り近くに20代の店主による「かず矢」や、警固本通りにできた30代店主による「木島」も「やま中」出身だ。
若い世代が目立つ昨今だがもう1つの特徴は江戸前寿司が多いということだ。捌いた魚をそのまま握ることが多い今までの博多の寿司と違い、昆布〆、酢〆、ヅケなど、いわゆる“仕事”をほどこし、職人の方で煮切り醤油や煮ツメ醤油を塗ったり塩を振ったりして、客は醤油をつけずそのままいただくというスタイルのところが圧倒的だ。
提供スタイルでいえば「おまかせコース」1本という店が多いのも最近の特徴だ。特に食材ロスが出やすい業態なだけに気持ちはわからないでもないが、客からすればそれも善し悪しだ。もちろん店主のその日とびきりのネタやつまみを、(店主の考える)理想的な順番と量でいただくという醍醐味はある。しかし、やはり客にも気分や調子があるのも事実。好み、気分、その日のお腹の状況などにより、好きなものを好きなだけ食べたいことも少なくない。やはり、個人的にはお好みでの注文もでき、おまかせもあるという店がありがたい。
今回の特集ではタイトルでもわかるように、初見でも雰囲気としてそれほど緊張することなく、安心して行ける店を紹介した。もちろん「お好み」で食べられるところも紹介している。今回の企画をやるにあたり、周りの人にもいろいろと意見を聞いてみたが、一部の富裕層や寿司フリーク以外にとって、やはり寿司は贅沢品であり、そうそう行けるものではない。だからこそ失敗したくないし、自分の予算で十分楽しめるところを知りたいのだ。この〈ソワニエ〉を読んでいただけば、きっと自分にピッタリの寿司屋が見つかるに違いない。


1.今春オープンした「かず矢」の店主はまだ20代。
2.荒戸の「佐々庄」のランチ。昼も夜もメニューが膨大にありリーズナブル。
3.〈ソワニエ〉11/20発売
取材・文:弓削聞平
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