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見て、触れて、味わう。八女の伝統文化を満喫する〈農泊〉の旅。
2026年03月30日 19:00 by simoonu(シモーヌ)
農家や古民家に泊まりながら、その土地ならではの暮らしや文化を体験する旅のかたち〈農泊〉。旅好きを中心に認知度が高まっていますが、いったいどんなことをして楽しむの?と疑問に思う方のために、お茶と伝統工芸の里・福岡県八女市を舞台に、農泊の魅力とモデルコースをご紹介!
今回、八女の農泊をナビゲートしてくれるのは、LOVE FMのパーソナリティとしても活躍するタレントのくわはらゆみさん。どういったプランで農泊の旅を楽しむのか、のぞいてみましょう♪
●江戸時代の歴史が溶け込む、白壁の町並み散策
ここは、江戸幕府の成立後に整備された福島城の城下町の町割りを継承している八女福島エリア。旧往還道沿いには江戸・明治・大正・昭和初期の町家建築が並び、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。そんな白壁の町並みを歩いていると、なんだか時間がゆるやかに巻き戻っていくようなノスタルジックな感覚に。

漆喰の白壁、瓦屋根、木組みの格子窓。通りの向こうには製茶問屋の看板が見え、角を曲がれば仏壇店や提灯工房がひっそりと佇んでいて、職人の暮らしを垣間見られることも。また近年は、古民家を改装したカフェや雑貨店も増え、若い世代の感性と伝統が自然に溶け合う風景が生まれています。
散策の起点としておすすめしたいのが『八女伝統工芸館』。仏壇、提灯、手すき和紙、石灯ろう、久留米絣など、八女が誇る工芸品が一堂に展示され、入場は無料。併設の手すき和紙資料館では、手漉き和紙体験もできます。
八女福島の白壁の町並み
| 住所:福岡県八女市本町(八女福島地区一帯) | |
| 問合せ:0943-22-3131(八女伝統工芸館) | |
| 営業時間:八女伝統工芸館9:00〜17:00(毎週月曜・年末年始は休館 ※月曜が祝日の場合は開館) | |
| https://yamedentoukougeikan.jimdoweb.com |
●暮らすように八女の手仕事を体感できる宿『Craft Inn 手』

八女福島の町並みの一角に佇む『Craft Inn 手(て)』は、明治期と昭和初期に建てられた町家を改修し、2021年にオープンした2部屋だけの小さな宿。「九州の手仕事を体感する」をコンセプトに、地域文化商社のうなぎの寝床のグループ会社「UNAラボラトリーズ」が運営しています。
客室は「藍」と「竹」の2つのテーマで設えられ、それぞれ1階が居間と浴室、2階が寝室のメゾネットタイプ。久留米絣の藍で染めたテーブルやタペストリー、竹編みの椅子や照明、仏壇職人の技が光る調度品など、部屋のあらゆるところに八女の職人の手仕事が息づいていて、ため息が漏れるほど素敵な空間。


展示や販売だけでは伝わりにくい工芸品の魅力を、実際の生活空間で見て、触れて、使って体感できるのが、この宿ならではの醍醐味。


部屋着には久留米絣の綿入はんてんともんぺ型パンツを用意。ふっくらとしたはんてんに袖を通せば、絣のやわらかな肌触りに旅の疲れがほどけていくよう。

バスルームには松延工芸が手がける赤杉の風呂桶が据えられ、杉の香りに包まれるバスタイムは格別です。

朝食は、八女周辺で採れた野菜やフルーツをふんだんに使った料理をいただけます。松延工芸の木桶を使ったテーブルコーディネートも風情たっぷり。具だくさんの朝食と八女茶をゆっくり味わえば、気持ちよく1日を始められそう!

1階にはショップも併設されていて、滞在中に気に入ったクラフト雑貨をそのまま持ち帰ることもできます。宿泊者には、八女の伝統工芸や文化を楽しめる体験プログラムも案内されています。宿泊と体験のセットプランもあるので、農泊を楽しみたい方はぜひ問い合わせしてみてください。
Craft Inn 手(て)
| 住所:福岡県八女市本町120-1(旧塚本邸) | |
| 電話:0943-24-6811 | |
| 料金:公式サイトまたは予約サイトを参照 | |
| https://craftinn.jp/ |
●久留米絣の織元『下川織物』へ。工場見学と絣ストール作りを体験!

1948年創業の『下川織物』は、八女市に残る唯一の久留米絣の織元。第6回ものづくり日本大賞・経済産業大臣賞を受賞し、博多祇園山笠の千代流の半被や、JR九州「ななつ星」のパジャマ、リッツ・カールトン福岡のタペストリー、世界的ファッションブランドやアーティストとのコラボも多数手がける実力派です。
農泊のアクティビティにおすすめなのが、「久留米絣の工場見学&絣ストール作り」の体験(※要予約)。三代目・下川強臓さんによる解説のもと、久留米絣のものづくりを間近で体感できます。


工場内では、100年近く使い続けるトヨタ式動力織機が、ガシャン、ガシャンと音を響かせながら現役で稼働。図案制作から完成まで約30工程、一つの絣が仕上がるまでに3カ月。機織りはそのほんの一部の工程にすぎないというから驚きです。「織物を通じて人や文化とつながり、時間や場所を超えて日々の暮らしに溶け込む久留米絣を届けたい」という職人の思いも、ひしひしと伝わってきます。
後半は絣ストール作り。無地、縞、チェック、絣模様など、ずらりと積み上げられた豊富な生地から好みの一枚をセレクトします。開運や繁栄を願ってつくられた文様のルーツや、下川さんがデザインを手がけた柄の背景を教わると、一つひとつがさらに魅力的に見えてきて、思わず夢中に。



選んだ生地を手に取り、房部分の緯糸を一本ずつ丁寧に引き抜いていきます。針や糸を使わないため、手芸が苦手な方やお子さんも気軽に参加できるのがうれしいところ。編み上げるのではなく「ほどいていく」作業の中で、緯糸一本一本が染め分けられている構造や、経糸と緯糸が折り重なって模様をつくる仕組みがわかり、絣の奥深さを体感できます。
ほどいた経糸をお好みのフリンジデザインに整えたら完成! 絣ストールを巻いて、そのまま白壁の町並み散策へ出かけるのも一興です。

下川織物
| 住所:福岡県八女市津江1111-2 | |
| 電話:0943-22-2427 | |
| 営業時間:9:00〜16:00(見学・体験は要予約) | |
| 定休日:日曜・祝日(土曜は月により変動、要確認) | |
| https://oriyasan.com/ | |
| 「久留米絣の工場見学&絣ストール作り(2時間)」 | |
| 料金:7,800円(レクチャー・ストール付 ※7,000〜9,000円相当) | |
| https://unalabs.jp/tourism/gfym05/ |
●『八女サヘホ』で、地元の食材たっぷりの薬膳ランチ

店名の『サヘホ』は、八女の代名詞である「茶」の文字を分解したもの。八女福島の町並みに溶け込む町家で食堂を営み、「楽ZEN」という独自のスタイルを掲げ、薬膳のエッセンスを日常の食卓に届けています。
こだわりは、なんといっても食材選び。地元で採れた減農薬野菜や農薬不使用の野菜、八女市上陽町の山の上でお茶やハーブを飼料にして育てた「八女ふくふく豚」など、信頼できる生産者の顔が見える素材ばかり。醤油やお茶、コーヒー、小麦に至るまで、一つひとつ吟味されたものだけが使われています。


「日替わりランチ」(750円)は、たくさんの野菜がたっぷり摂れる4種類のおかずに、味噌汁と白ごはん付き。季節に合わせた薬膳料理は、寒暖差や日頃のストレスで知らないうちに疲れた体を気遣い、胃を丈夫にする食材や、香りのよい素材で気を巡らせる工夫が盛り込まれています。

特別な薬膳料理というよりも、家庭でも真似したくなるようなやさしい味わい。体の内側からじんわりとエネルギーが満ちてくる感覚は、まさに旅の途中のごほうび。

食後には、「やぶきた」「かなやみどり」など7種類の奥八女茶をシングルオリジンで楽しむのもいい時間。品種ごとに異なる香りや旨み、口に残る爽やかな余韻を比べながら、八女茶の奥深さに触れてみて。店内の一角では地元で採れた旬の野菜や果物も販売されていて、八女の恵みをお土産に持ち帰ることもできますよ。
八女サヘホ
| 電話:0943-41-0103 | |
| 営業時間:ランチ 12:00〜14:00(L.O.13:30) | |
| 定休日:日曜 | |
| URL:https://www.yamesaheho.com/ |
●八女の茶道具で点てる至福の一服。『まる舎茶房』での抹茶体験

白壁の町並みの一角、ブルーの壁面と白いのれんが目印の町家が『まる舎茶房(まるやさぼう)』。大正時代の建物を活かし、2020年にオープンした八女抹茶体験スペースです。「肩の力を抜いて、かしこまらずにお茶の時間を楽しんでほしい」と舎守(やもり)の堀アスカさんが語るように、体験プログラムで気軽に茶道の世界を覗き、その風情を五感で味わうことができます。

使われる茶道具には、八女のクラフトの魅力がぎゅっと凝縮。仏壇職人が漆塗りと蒔絵で仕上げた棗、地元の土と釉薬で独自の器づくりを行う風見窯の茶碗、奥八女・星野産のすす竹の茶杓、地元木工作家によるお盆など、一つひとつが八女の職人の手から生まれたものなのです。
「おちゃまごと」と名づけられた体験プログラムは、そんな茶道具を使った八女抹茶を楽しめる農泊にぴったりのコンテンツ(※要予約)。正座も作法も不要のカジュアルなテーブル茶道だから初心者も安心♪
まずは、複数の茶道具の中から好みのデザインを選ぶという、茶道具セットのコーディネートから始まります。

一服目は、堀さんが点てた抹茶と、老舗和菓子屋による上用生菓子を堪能します。季節の移ろいを繊細に映し出す色とりどりの生菓子は、目にも舌にもうれしい一品。

二服目は自分で茶筅を振って挑戦! きめ細かな泡を立てるにはコツが必要ですが、堀さんに教わりながらうまく点てられたときの喜びはひとしおです。


一服のお茶を通して、日本文化の奥ゆかしさに触れ、九州でも有数のものづくりの産地・八女の底力を肌で感じるひととき。ここで出会った道具や茶の時間が明日からの生活を彩ったり、研ぎ澄ました感覚が日常を大切にする意識につながったり、〈農泊〉の思い出にも花を添えてくれるはずです。
まる舎茶房(まるやさぼう)
| 住所:福岡県八女市本町154 | |
| 電話:0943-22-9540 | |
| 営業時間:11:00〜17:00(予約優先、時間は応相談) | |
| 定休日:火・水曜(予約の場合は応相談) | |
| 料金:おちゃまごと3,800円 | |
| https://www.instagram.com/maruya_sabou/ |

〈農泊〉のバリエーションは他にもいっぱい! 福岡にはまだまだ知られていない農泊の楽しみ方がたくさんあります。気になる地域やプログラムは「農泊ふくおか」の公式サイトでチェック!各地域の協議会へ問い合わせることもできるので、春のお出かけにぜひ計画してみてください。
農泊ふくおか
| https://f-nohaku.com/wp/ |

取材・文:simoonu(シモーヌ)
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