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最新作にして最高傑作!「スオミの話をしよう」三谷幸喜監督にインタビュー

2024年09月19日 11:00 by 深江久美子

国民的脚本家・演出家・映画監督として、これまで日本中にたくさんの笑いと感動を届けてきた三谷幸喜の映画最新作『スオミの話をしよう』が9月13日に全国公開。映画監督作品としては5年ぶり、9作目となる待望の最新作は三谷ワールド全開の極上ミステリー・コメディとなります!

脚本と監督を務めた三谷幸喜監督に単独インタビュー。作品の制作過程や魅力について語ってくれました。


——「この人のために映画を作りたい」と長澤さんにオファーされたと伺いましたが、三谷監督から見た長澤さんの印象をお聞かせください。
初めてお仕事を一緒にしたのが10年前。その時から真面目でひたむきで一生懸命で、常に自分を俯瞰で見ている、自分に厳しい人だなと思いました。数多くはないけど、監督がOKしても「もう1回やらせてください」というような人ですね。


——本作でも?
車の運転のシーンでありましたね。「練習して上手くできるはずなのに、ハンドルさばきに油断があった」と仰られて何回かやっていましたね。


(C)2024「スオミの話をしよう」製作委員会

——映画の構想は長澤さんへのオファー後に思いついたのでしょうか。
映画が動き出すときって、様々な道があって最終的にひとつにまとまるパターンが多いです。ひとつは長澤さんで次は映画が撮りたいなという思いがありました。あと、西島秀俊さんの笑っている顔が大好きなんですが、あまり表情を変えない彼がラストシーン近くですごく嬉しそうな顔を一瞬する・・・・・・そんな映画が観たいと思ったのがひとつ。


——アイデアはどこから?
僕自身の体験で、家族の前で見せる自分の顔と、仕事上で見せる顔に違いがあることに気がついて。家族が仕事場に遊びに来ているときに、どっちの顔にすればいいのか困って新しいキャラクターが出てきたというのがありました。誰もが経験することで、これをテーマに映画にできないかな?と考えました。

長澤さんに何人もの旦那さんがいて、その旦那さん一人ひとりに違う顔を見せて、ダンナさんが一堂に集まったとき、長澤さんがどうなるんだろうか?ラストシーンがまず思いつきました。なので、長澤さんが決まってから動き出したとかではないんですよ。


——長澤さん以外も個性豊かで魅力的な俳優陣がそろっていますね。
映画と舞台の良いとこ取りみたいな、演劇のような映画を作ってみたいと思っていました。セリフも多いし、会話劇だし、ワンシーンだし、それに応えられる俳優さんを集めようと。長澤さんを含め、スキルが高い方々をキャスティングしました。


——みなさんの息が合って、テンポ良く進んでいました。
1ヶ月くらい稽古しましたね。演劇の人間としては稽古を重ねて、そこで見えてくるものがあるから、それを映像に残したいなという思いがありました。
 

——撮影で印象に残っているエピソードはありますか?
演劇的な映画にしたかったので、それにはカーテンコールが必要だと考えました。最初の台本にはなかったんですが最後に歌ってもらおうと。だまし討ちみたいになったんですけど。西島さんも松坂さんも「聞いてないよ」みたいになっちゃって(笑)。でも最後は歌って踊ってる!


——驚かれたでしょうね!
ショーとして完成度の高いものを作って映像に収めるような作り方をしたかったので、「絶対この映画に必要なんです」と説明しました。スタッフにもステージのアイデアを相談して、舞台やっている人間もビックリするような豪華なセットを作ってもらいました。音楽もビッグバンドで華やかな演奏にして。その中で踊ったことがない西島さんたちが一生懸命躍るという面白さも加えて、多幸感にあふれたシーンになりましたね。


——鑑賞したあともヘルシンキの音楽が頭の中でしばらく流れていました(笑)
スオミという主人公のフィンランドへの思いが本編ではそんなに描かれてなかったので、最後に思いっきり連呼してもらいました(笑)。


——スオミという名前は?
Blu-rayを見る時に言語コードのリストが出てくるんですが、そこにスオミと書いてあり調べたらフィンランド語でフィンランドという意味でした。耳に残るし印象的な言葉で、日本でいうナオミのような名前で。次の映画は女性が主人公で女性の名前になるだろうと予感がしました。そこからフィンランドについて調べました。そんな人間がヘルシンキ映画祭に招待されるという・・・・・・今から心配でならないです(笑)。
※先日、『スオミの話をしよう』は第37回ヘルシンキ国際映画祭での上映が決定しました
 

——様々な顔を持つスオミのように、三谷監督も脚本家・演出家・映画監督などで活躍されています。今回は脚本と監督を手掛けましたが、それぞれ取り組む姿勢は変わりますか?
やりたいことはコメディで、ぶれずにここまで来ているので多面的なイメージは自分の中でありません。どういうポジションで具体的に作っていくかということだけで。喜劇作家ということで括られていると思うんですけど。


——脚本家・演出家・映画監督など中で、三谷監督自身を発揮できるのは?
やっぱり脚本家ですね。僕が作る映画は脚本家がメガホン持った作品というイメージが強いし、僕のバックボーンは脚本ですね。


——三谷監督は福岡にゆかりがあると伺いました。天神での思い出はありますか?
母親は福岡・平尾の出身で、父親は中洲でクラブを経営していました。僕は2歳までしかいなかったので記憶はありませんが、精神としては博多のDNAが流れていると感じています。天神で記憶にあるのは古畑任三郎で石黒賢さんが犯人役だったエピソードで、神宮教授という科学者が登場するんですが、その教授の大学が福岡天神大学でした(笑)。


——最後に天神サイトの読者の皆さんにメッセージをお願いします。
僕が喜劇を作っているバックボーンは博多で生まれ育った伯父二人。面白いもの、笑えるものって何なのかを徹底的に教わりました。ここでは言えないような面白い話もね(笑)。それが今の自分を作っていると思っているので、福岡の方の笑いのDNAと繋がっていると感じています。もしかしたら、僕のコメディを一番理解しているのは福岡の皆さんじゃないかな?


■ストーリー
その日、刑事が訪れたのは著名な詩人の豪邸。≪スオミ≫が昨日から行方不明だという。スオミとは詩人の妻で、そして刑事の元妻。刑事は、すぐに正式な捜査を開始すべきだと主張するが詩人は「大ごとにするな」と言って聞かない。やがて屋敷に続々と集まってくる、スオミの過去を知る男たち。

誰が一番スオミを愛していたのか。誰が一番スオミに愛されていたのか。

スオミの安否そっちのけで、男たちは熱く語り合う。だが不思議なことに、彼らの思い出の中のスオミは、見た目も、性格も、まるで別人・・・。スオミはどこへ消えたのか。スオミとは一体、何者なのか。この秋、三谷幸喜真骨頂!極上ミステリー・コメディの幕が上がる―!


■三谷監督のSNSもチェック!
三谷幸喜公式X:https://x.com/mitanikoki
三谷幸喜公式Instagram:https://www.instagram.com/mitanikoki/


【公開】2024年9月13日(金)より大ヒット公開中
【監督】三谷幸喜
【キャスト】長澤まさみ
西島秀俊 松坂桃李 瀬戸康史 遠藤憲一 小林隆 坂東彌十郎
戸塚純貴 阿南健治 梶原善 宮澤エマ ほか
【映画公式サイト】https://suomi-movie.jp/

 

取材・文:深江久美子
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