グルメ

実はすごかった「やりうどん」の歴史。

2017年01月25日 08:00 by 山田 祐一郎

ヌードルライターとしてうどんの本を出版し、福岡のうどんのことを少しは詳しく知っているつもりでいました。いやあ、とんでもない、まだまだですね。勉強も学べば学ぶほど深いことが知れて面白くなっていくものだと思うのですが、うどんもまさにそう。「やりうどん」のことを、ノーマークだった自分が恥ずかしい。

昨年12月21日、福岡空港に「博多やりうどん 別邸」がオープンしました。その「やりうどん」こそ、ぼくの中で“知られざる名店”状態だったのです。調べてみると、第1号店は昭和42年12月に西鉄北九州線折尾駅にオープンしたそう。そしてその2年後、昭和44年8月に今現在も営業中の、西鉄大牟田線福岡駅※現・西鉄福岡(天神)駅の構内への出店を果たしました。昭和42年は西暦で1967年、つまり今年50周年を迎える老舗なのです。そんな老舗だとは意識せずに、「昔からある店だな」と思いつつ西鉄福岡(天神)駅で店の前を通り過ぎていました。

ぼくが著書を出すにあたり、福岡の主だったうどん店がいつ創業したのかが一目で分かる歴史年表を作成しました。実は創業半世紀のお店って、それほど多くはないんです。例えば、かの有名な「牧のうどん」は創業が昭和50年(1975)で、その歴史は42年。そうなんです、「牧のうどん」よりも「やりうどん」のほうが長い歴史を誇るのです。さらに福岡のうどんといえば、すぐに頭に浮かぶ「ウエスト」。福津市に1号店が開業したのは昭和41年(1966)で、やりうどんとわずか1年違い。ちなみに北九州を代表する人気うどんチェーン「資さんうどん」も「牧のうどん」同様、創業は昭和50年(1975)。そんな老舗だった「やりうどん」をスルーしていたとは、重ね重ね恥ずかしい。

ただ、ぼくなりにその理由を考えてみて、一つの結論がでました。それは、やりうどんが、市民に寄り添い、地域に馴染み、一体化していたからではないかと。今でこそ、芸能人の方々が“うどん愛”を披露する機会が増え、さらには“うどん居酒屋”という福岡ならではの個性的な業態が生まれ、福岡のうどんに注目が集まっています。
しかし、それは本当に最近の話であって、昔は「〜のうどん店が好きだ」といったようなご贔屓の店のことをわざわざ口にして話をする機会ってなかったと記憶します。誰に口にするともなく、好きな店を声高に言うでもなく、慎ましやかに、自分が好きな身近な店にそっと通い、陰ながらお慕いしておりますというような愛され方がなされてきた気がするのです。
「やりうどん」も例外ではなく、駅で、空港で、いつもと変わらない味で、街のことを、そしてその街の人々のことを見守り続けてきました。当たり前に有り続けたからこそ、ぼくはその歴史に気付くことができなかったのだと思うわけです。


↑昭和45年の西鉄福岡(天神)駅店の様子。昔は立ち食いスタイルで親しまれていました。

そんなやりうどんが創業半世紀の節目に、今の時代に合わせ、さらに10年、20年、そして50年と愛され続けていけるよう、店の命とも言える味を一新。店舗そのものの内外装もリニューアルしました。店舗リニューアルは現在、西鉄福岡(天神)駅2階にある「やりうどん福岡店」、そして福岡空港ターミナルビル 3 階にある、やりうどんの上位ブランド「はち屋空港店」が「博多やりうどん別邸」として生まれ変わりました。今後、2017年度のうちに、姪浜や久留米にある店舗もリニューアルしていく予定です。

このやりうどんコラムは全3話。第2話では、やりうどんの進化がはっきりとわかる「博多やりうどん別邸 福岡空港店」へと潜入し、その魅力をレポートしたいと思います。どうぞお楽しみに。
 

取材・文:山田 祐一郎
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プレイス情報PLACE

博多やりうどん別邸 福岡空港店

住所 福岡市博多区上臼井767-1 福岡空港国内線ターミナルビル 3F
TEL 092-623-8821
営業時間 7:30〜21:00(OS)
定休日 なし
URL http://www.nishitetsu-plaza.co.jp/hakata-yariudon/
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