日々是食欲

大名で取材した2軒のバーで感じた小話

2015年06月11日 08:00 by 弓削聞平

もう梅雨入りしたので、これから屋外イベントは減っていくのだろうが、最近本当に食関連のイベントが多くなった。いつからだろうか。実感としては数年前からやけに増えたような気がする。特に博多駅前の広場と市役所前の広場、そしてアクロス前の天神中央公園はこの季節はほどんと食がらみのイベントをやっているのではないだろうか。

またそういう屋外のイベント会場だけでなく、各店舗内のイベント、店舗同士でグループを作ってのイベント、ホールなど屋内施設でのイベントなどもある。JR博多シティなどは、駅前広場、飲食フロアであるくうてん、そしてビル内にあるJR九州ホール、さらには屋上のつばめの杜ひろばと4つもの会場でひっきりなしに食イベントをやっている。

これを書いている6月7日は「福岡そばウォーク」をやっている(6日と2日間)。このような回遊イベントはバルウォークや薬院サルーが走りだが、今ではあらゆるエリア、業種で開催されているようだ。

イベントといえばソワニエもディナーイベントを行う。くわしいことは現在発売中の〈ソワニエ〉を見ていただきたいが、創刊5周年を記念して、5店舗のシェフたちが、いつもは食べられない試みにチャレンジしてくれる。たとえば警固の熟成肉をメインにした「ブッチャー」では、実は料理長が「ひらまつ」などを経験した方であり、また今春までくうてんの「オーグードゥジュール・メルヴェイユ」のシェフだった人も勤務しているので、普段のコースとはまったく違ったバリバリのフレンチコースを提供してくださる。お店自体も隠れ家的な一軒家でわくわくするが、どんな料理が繰り出されるのか、かなり楽しみだ。

さて話は変わるが、〈ソワニエ〉編集部は今、7月20日発売の「大人の大名」特集の取材を行っている。西通りを中心に若い人が多い、ガヤガヤ騒がしいというイメージがあり、年齢が上がるに従って大名から足が遠のいていく人が多いようだ。しかし実際に歩いてみると、意外に何十年も続いていたり、あるいは新しいけど夜な夜な大人が集っていたり、まだまだ大人が楽しめる店はたくさんあるので、ぜひ発売を楽しみにしておいてほしい。

まだ取材途中ではあるが、ちらっと取材で感じたことなどを披露しよう。大名は実は2軒目に行きたいバーやワインバーが何軒もある。そんななかプラザホテルの近くにある「garasu」のオープンは1977年。もうすぐ40年に手が届く。オープンした頃は私もまだ未成年だが、当時大名っていう街(いや町って感じだ)は本当に住宅街だった。ちょうど親不孝(現・親富孝)通りがにぎわっていて、全国的にも有名になっていたものの、その延長線にある「西通り」という通称もまだなかったし、町にはスナックや食堂はあっても、今のような居酒屋だのカフェだのカラオケだのという面影はほとんどなかった。だから、「garasu」はおそらく大名に現存するこの町のバーのなかでは一番古いのではないかと思われる。

また、その前のビルの6Fにある「オスカー」ができたのは約20年ほど前。さすがにその頃にはもうバーはいくつかあったが、オーナーの長友氏が東京の名店「ロオジェ」の上田和男さんの元で修業した後にこちらで自分の店を出すらしいという話は、ぼくが行っていた何軒かの店で耳にし、福岡のバーテンダーの間がざわついたと聞いている。学生時代にサントリーの「ジガーバー」でバイトしたのをきっかけにこの道に入った長友さんももう45歳。姉妹店である「パルムドール」「セブンシーズ」は後進たちにまかせている。バーテンダーの修業をし独立していくというのは日常茶飯事だが、「オスカー」のように人が育ったから彼らのステージを姉妹店として作るという店は福岡ではほとんどみかけない。そういう意味でも「オスカー」は、特別な存在であることを再認識した。20年前に比べるとワインバーに押され気味なオーセンティックバーだが、やはりワインバーとは違う雰囲気、酒、店主とのかかわりがある。自分自身、2軒目はワインの店に行くことが増えたが、今一度、こういうバーの楽しさを思い出すとともに、読者や周りの方々にも伝えていきたいものだ。


【1】ビルの最上階にある「オスカー」。
【2】「パッションフルーツのカクテル」(1,620円)。

取材・文:弓削聞平
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