日々是食欲

(意図せず)外食・飲酒断ちの年始生活

2014年01月09日 08:00 by 弓削聞平

あけましておめでとうございます。
今年も天神サイトならびにこのコラムをよろしくお願いいたします。

私の年始はいつも同じパターンです。普段の反動というわけでもないのでしょうがほとんど外食をすることはありません。いや、反動かもしれませんね。3日まではほとんどおせちを食べ、それ以降は簡単な自炊です。おせちは毎度ここでも取り上げている「味 竹林」のおせち。もう何年続けているかなぁ。あの手間のかけ方、品数の多さには頭が下がります。これこそ、家では作れないもので、お店にお願いする価値あるものといえます。それにしても、最近は本当におせちを作るお店が増えました。しかも洋食でもです。大体個人店だと50個限定というところが多いようですが、少し大きなお店になると数百個、もっと大手のチェーン系とかホテルだともっと多かったりします。その売り上げたるや・・・。1個2万として50個だと100万、300個だと600万。店によってはもっと高額だったりもしますし、大人数分のものもありますから・・・・・・。通常営業に換算すると一体何日分でしょう。恐るべしです。準備はものすごく過酷ですが、やはりこれだけの売上げになるとなれば経営者としてはやらない手はないでしょう。それに特に年末年始にしっかり休む店は、12月・1月はそれだけ売上げが減りますから、それを補填する意味でもおせちはなくてはならないものになりつつあります。一方でだんだん年始もスーパーやコンビニも開いているのでおせちの必要もないのでは? という声もあります。が、せめてお正月くらいは奥さんや母親など、普段毎日食事を作る役割の人を解放してあげてゆっくりしてもらおうという意味でも、おせちの必要性はあるはずです。

また、お酒もこれを書いている6日の昼まで一切飲んでません。人によっては、いや一般的には正月だからこそ家でのんびり呑むものかもしれませんが、私、そんなに酒呑みではないんです。特に家ではほとんど呑むことはありません(普段は家にいないというのがその理由ではありますが)。正直、焼肉食べながらウーロン茶でもストレスを感じないタイプです。それなのに、正月以外はなぜか毎日のように呑んでいます。元々そんなに強いわけではないうえに、周りは猛者が多いので、自分としては酒弱者という認識なのですが、それでもワインやハイボールを2杯ずつ3軒はしごすればもう6杯ですもんね。たまに不調でさっぱり呑めない日もあるのですが、大体それ相当もしくはそれ以上は呑んでいるということは酒弱者とはいえないかもしれません。

昨年12月の後半はソワニエ等のリサーチの合間をみて、「ごぶさたシリーズ」と称して、随分顔を出してなかった名店を集中して周りました。普段はうまいかどうかわからないところに行くのが仕事ですから、うまいことがわかっているお店になかなかうかがえないのが悲しき実情です。今回うかがったのは「オステリア・トト」「石堂橋白つぐ」「蕎麦切 はたゑ」「あ三五」「アルベロ」「鮨 田可尾」「ラ・ターブル・ド・プロヴァンス」「コキンヌ」です。「トト」のオリジナルのハムカツ、「はたゑ」のきのこそば、「田可尾」の赤ムツのにぎりなどなど、今すぐでもまた食べたいという一品のオンパレードでした。こんなふうに美味しいもの三昧の日々は1年のうちでもそうはありません。まさに至福。でもまだまだあるんです。随分お邪魔してない名店が。いや、一度もうかがってない名店も。今年は年末だけでなく、ときどきはこういう「ごぶさたシリーズ」をやれたらいいなあと思います。

さあ、この2014年、福岡の飲食業界はどうなるでしょう。漏れ聞こえてくるところによると、景気回復の兆しは少しずつ表れているようです。12月は中洲も昨年に比べると随分活気があったようですし、年始は商業施設に入っている飲食店も例年よりよかったようです。ただ、クリスマスディナーはそこまで好調というわけではない店も多く、これは景気がどうこうということもさることながら、「クリスマスは外食」というライフスタイル自体が変化してきているのかもしれません(ちなみに私のクリスマスイブは外食は外食でもお鮨でした)。

なにせ人が外食に興味をもたなくなると我が〈ソワニエ〉も必要とされません。別に頻繁に外食しなくてもいいのですが、どうせ外で食べるならプロならではなの料理、プロならではの接客、家にはない雰囲気などを味わいたいもの。そんなときのバイブルになれるよう、今年も〈ソワニエ〉の編集に勤しんで参りますので、本年も天神サイト同様、〈ソワニエ〉もどうぞよろしくお願いいたします。




【1】「竹林」のおせち。それぞれの料理の完成度に脱帽。【2】「はたゑ」のきのこそば。【3】「Toto」の自家製ハムカツ。

取材・文:弓削聞平
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