
日々是食欲
賛否の分かれる博多のソウルフードお好み焼き
2012年02月10日 08:00 by 弓削聞平
食の好みは幼少の頃からの食体験によるものが大きい。たとえば、ぼくは塩さばが大好きなのだが、考えてみれば母もそれが大好きで夕食の食卓にはよく塩さばが登場していた。またぼくが小さい頃、福岡でお好み焼きといえば関西風のことだった。当時まだ広島風のお好み焼きの店はほとんどなく、もちろん食べる機会もなかった。ぼくが広島風のお好み焼きを初めて食べたのは20歳くらいの頃だったように記憶している。それゆえなのかどうかわからないが、何度おいしい広島風のお好み焼きを食べても、やっぱりお好み焼きは関西風が好きだ。
さてそのお好み焼きだが、同じお好み焼きなのに○○風ということでこれだけ違う料理も珍しいのではないだろうか。生地に具材を混ぜ込んだものを焼く関西風、クレープのような薄い生地に具材をのせていく広島風。できあがったものはまったく別の料理のように感じられる。また、同じ関西風でも異彩を放っている店がある。それは「ふきや」だ。今発売中の「ソワニエ」で、大手門にあるイタリアンレストラン「樋口」のオーナー・樋口俊史さんが自分の大好きなお好み焼きとして「ふきや」と「味美」を紹介している。しかし、この2軒は同じ関西風でありながら、まったく別もののお好み焼きといっていい。「味美(みみ)」は正統派の関西風だが(めちゃくちゃうまい!)、「ふきや」は作り方や形は同系統だが、食べればその違いは歴然だ。
この「ふきや」のお好み焼きは、「元祖長浜屋」「牧のうどん」(または因幡うどん)と並んで福岡のソウルフードと言われる。多くの人が幼少の頃から親しんできた。しかし、いずれも好みがはっきり分かれる店といっていい。かなりオリジナリティがあり、特に他の地域から来た人にこれらを勧めるのは少し度胸がいる。ぼくは以前「ふきやに連れて行ってくれ」と言われたので7人くらいの後輩達を連れて行った経験があるが、彼らの食後感は・・・。多少想定はしていたものの、高校時代から鬼のように食べてきたぼくにとっては、若干ショックでもあった。
しかし、ぼくは樋口さん同様「ふきや」のお好み焼きを愛して止まない。ふっくらとは対極のあのもっちりした生地は小麦粉というよりメリケン粉という印象。作る際もコテでギュギュッと押さえ込むから密度がハンパではない。そして、あの液体ではないオリジナルのソース。そしてこれまた独特のマヨネーズ。うまいお好み焼きの方向性をまったく無視したアイデンティティによりあれだけ多くのお客を集めているのはアッパレだ。ぼくはもっぱら赤坂門市場にある赤坂店に行くのだが、数年前に福ビルの地下にもできたので、まだ食べたことがない人はぜひ「博多のソウルフード」を体験してみてほしい。しかし、くどいようだが、好き嫌いは大きく分かれますのでそのおつもりで。
これは「赤坂店」で撮ったもの。“大きめ”でも同じ料金。
取材・文:弓削聞平
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プレイス情報PLACE
ふきや福ビル店
住所 | 福岡市中央区天神1丁目11−17 福岡ビル地下1階 |
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TEL | 092-713-0743 |
営業時間 | 11:00〜21:00 |
定休日 | 第1月曜(祝日の場合は第2月曜) |
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