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最新アルバム「SONGS」の名曲をMATSUURA AJIFRY PARKで披露。スカートに単独インタビュー!

2023年04月24日 13:00 by simoonu(シモーヌ)

3月11日(土)にUNION SODAにて開催したLOVE FM主催の「MATSUURA AJIFRY PARK」。長崎県松浦市のソウルフード・アジフライの魅力発信とともに音楽やアートを交えながら楽しい一日を繰り広げました。同イベントにてDJとライブパフォーマンスを行い、会場を盛り上げてくれたスカート(澤部 渡)にインタビューを実施。ライブでも披露された楽曲がギュッと詰まった最新アルバム「SONGS」について色々と話を伺いました!
 


── 先日のライブでも披露してくださった名曲揃いの最新アルバム「SONGS」。昨年11月にリリースされたこのアルバムは、コロナ禍の混沌とした中で「ライブをやりたい、やらねば」と自分を奮い立たせて作り上げたと伺いしました。特に印象に残ってる曲を挙げるとしたら…?


どの曲も自分の中では印象的なのですが、一つ挙げるとすると「私が夢からさめたら」でしょうか。アルバム制作中に抱えていたスランプを、どうにか乗り越えるためにつくった曲。アルバムの中では控えめな存在ですけど(笑)、ぜひ聴いてもらいたいです。

ほんと一年くらい制作に腰が入らない時期があって。それこそ、アニメ「オッドタクシー」オープニングテーマ曲の再録ver.「ODDTAXI」も息も絶え絶えに完成した曲。コラボしてくださったPUNPEEさんにだいぶ助けてもらいましたね。


── スランプって抜けようにも、なかなか思惑通りにいかないもの。そんな先が見えないトンネルをどうやって抜け出したんでしょうか?


僕は昔から歌詞に曲を当てはめるのが好きというのもあってか、スランプ中はことさら曲から作り始めようにも頭がうまく働かず、全然進まなかったんですよ。そんな中、2021年の3月に書いた歌詞が手元にあって。「よし、これに曲をのせよう」と無理やりでも鼓舞して取り組みました。それで完成したのが「私が夢からさめたら」なんです。

これには裏話があって、この歌詞が生まれたのは雑誌の企画がきっかけ。ミュージシャンが詩を寄稿する企画に声をかけてもらったのですが、なかなか調子が上がらずお断するつもりで、メールに辞退の旨をまとめていたんです。言葉を選びながら丁重にああでもないこうでもないと文章を考えていたら、だんだん面倒になってきて「これなら歌詞を書いて送った方が早いわ」と(笑)。それから思いのほか早く、10分くらいで歌詞がまとまったという奇跡の歌詞です。


── まさにスランプを打破するにふさわしい神がかった歌詞! 


ちなみに、「ODDTAXI」の制作中は2020年春過ぎに作業を始めたのですが、その頃も絶賛スランプ中で(苦笑)。どうやっても納得できるものがつくれなかったんですよ。先にアニメに合うコード進行を4小節〜8小節考えたけど、その先がまとまらず頭を抱えた時に、とりあえず冒頭の4行だけ詩を書いてみたりして。自分の中で「そうそう、こういうイメージ。OKOK」「じゃあさっきのコード進行にこれをのっけてみよう」とか決死の思いで冒頭を作ったんですよ。
 


── PUNPEEさんとはどんなキャッチボールをしたんですか?


アニメの主題歌は、89秒という尺が決まってるんです。「ここにPUNPEEさんのラップ、ここから歌がまた入って…」みたいな構成で89秒の曲を一旦組んでみたんです。それをPUNPEEさんに渡すと、当初入れていた前奏を「カットして歌始まりしてみない?」とフィードバックをくれて。自分だったらやらないアプローチがすごく新鮮で、一緒に作り上げる面白みと息の合う手応えを感じました。


── コロナ禍真っ只中につくったアルバム「SONGS」。今は世の中が新しいフェーズに入ってきていますが、ライブなどで披露される際に当時の気持ちを懐かしんだりするのでしょうか?


スカートの活動で極力心がけていることの一つに「その時の気持ちを歌わないようにしよう」っていうのがあって。作品に対して“時の経過”を感じることに抵抗があるんです。なので、このアルバムにおいても「この曲はコロナ禍の曲だったよね」という感覚にはならないようにしたいなと思って。

僕は、その時に感じたこと・思ったことを歌詞に投影しなくていいという考え方。極論、フィクションでよい。「これが自分だ」と思って歌いたくないという部分もあるんです。まぁそうはいっても、どうしても主観が交じっちゃうので、それはそれで楽しんで、一割ぐらいは自分のリアルな部分を入れたいなとも思いますけどね。


── だからスカートの楽曲はタイムレスな魅力があるんですね。去年の11月リリースだけど、今改めて聴いても気持ちがよくて。なんか春の新鮮な気分と繊細なメロディが重なるような感覚です。


あぁうれしい、ありがとうございます!


── 改めて聴き直す方や初めて聴く方もいらっしゃると思いますが、この春の陽気に合わせてレコメンドしたい楽曲はありますか?


今だったら「背を撃つ風」がいいかな。自分の中で大きい曲が書けた気がしてるんですよね。春っぽい気分にこの曲は合いそうだなと思います。特に季節を狙ってつくったわけではないけど、好きに、自由に感じてもらえたら嬉しいですね。
 


── ところで、JBLのWeb CMソング「海岸線再訪」や稲垣吾郎さんの主演映画の主題歌「窓辺にて」など、タイアップ曲が10曲収められているのもこのアルバムの特長ですよね。タイアップが多いとなると、やりがいが大きかったのでは…!??


そうですね、プレッシャーよりもスランプを抱えていた分余計に頑張んないとなっていう気持ちが大きかったです。タイアップという機会が、自分の中のスイッチを入れてくれました。


── 制作において新しいチャレンジはありましたか?


あんまり自覚はありませんが(笑)、PUNPEEさんとタッグを組んだ「ODDTAXI」は、まさに一番わかりやすいチャレンジかもしれません。また、タイアップを通じて「この作品にはスカートの曲のこういう部分を取り入れたいんです」といったオーダーをいただくことがあり、自分では気づけなかった観点があり、新しい目線が加わって個人的に興味深く感じました。


── つい先日もインスタライブでも弾き語りのパフォーマンスを配信されていましたが、オンライン配信と生のライブで、それぞれ澤部さんなりの楽しみ方ってありますか?


ライブの魅力ってやっぱダイレクトな反応じゃないですか。お客さんの表情や反応、空気感が直に伝わる、それこそライブ感っていうやつ。ステージ側も観客側も互いに集中しているから成り立つ関係。
一方で配信は、オーディエンスの反応がダイレクトとは言えないし、“ながら観”もできますよね。オンラインで繋がって音楽を届けられるのはありがたいし「楽しくて最高!!」って思いながらも、自分も慣れ親しんだソファに沈みながら「果たしてこれをライブと言っていいのだろうか…」と振り返って自問自答したりも(笑)。演者もオーディエンスも互いに試行錯誤しながらやっていきたいですね。


── オンライン配信があるからこそ、ライブの良さを改めて感じます。まさに3月に開催した、LOVE FM主催イベント「MATSUURA AJIFRY PARK」でもライブを披露してくださいました!


1年ぶりに福岡に戻ってこれて、純粋にうれしかったですね。ライブ会場(UNION SODA)はお客さんとの距離が近いので、オーディエンスの反応がより伝わりやすいので楽しかったです!

普段はバンド演奏がメインなので、セットリストの構成やアレンジを細かく打ち合わせながら本番を迎えるのですが、先日のイベントは一人で行う弾き語りライブだったので、その場の雰囲気でフレキシブルに決めることができる環境でした。リハ中に「あの曲やろうかな」って流れを見て調整したりね。特に「MATSUURA AJIFRY PARK」のステージはフリーライブということもあり、初めてスカートを聴いてくださる方も多いだろうから、ストイックになりすぎず、みなさんが入りやすい自己紹介的な代表曲でまとめました。


【skirt live at MATSUURA AJIFRY PARK:set list】
1.視界良好 2.ストーリー 3.Aを弾け 4.架空の帰り道 5.窓辺にて 6.すみか 7.君がいるなら 8. CALL 9.海岸線再訪 10.静かな夜がいい w / U-zhaan


── 最後に「天神サイト」にちなんで、天神のまちを交えた質問を…! ずばり来福時、澤部さんはどんな風に街ブラを楽しんでいますか?

僕は大名近辺のレコード屋に出没することが多いですね! 赤坂のレコードショップ『田口商店』と『グルーヴィン』に寄るのがお決まりのルート。前回、舞鶴の『ティーンエイジ・ドリーム・レコード』に行った時に、アメリカのロックバンドNRBQのデッドストックのレコードが普通に置いてあって、むしろアナログ出てたって僕知らなかったので超ドキドキしました。そういう一期一会がたまんないです!


── グルメスポットだと、行きつけはありますか?

警固のカレー屋さん『ハイダル』がダントツで大好きで、大名の『ツナパハ』も好き。福岡のカレーの盛り上がりは、東京から見ても熱く見えますよ! 新規開拓もしたいけど、やっぱ『ハイダル』は行っときたいし… う〜ん悩ましい。あのカレーは東京じゃ食べれないし、大粒の納豆のトッピングは外せませんね。
あと、『アマムダコタン』にも行きたいんですよ。前に博多の『ダコメッカ』のパンを食べて、見た目以上に味もめちゃくちゃおいしくて感動しました〜。東京でも轟くほどの人気店なので、せっかくなら本家本元の『アマムダコタン』に行きたいですね。いやぁ〜しかし行列かぁ〜(笑)。


── 次の来福時にぜひ(笑)!  5月20日(土)開催の野外音楽フェス「CIRCLE '23」でのライブパフォーマンスも楽しみにしています〜!!!



■profile / スカート
どこか影を持ちながらも清涼感のあるソングライティングとバンドアンサンブルで職業・性別・年齢を問わず評判を集める不健康ポップバンド。2006年、澤部渡のソロプロジェクトとして多重録音によるレコーディングを中心に活動を開始。2017年にポニーキャニオンからメジャー1stアルバム『20/20』を発表。2020年にはインディーズ期の楽曲を再録音した『アナザー・ストーリー』を発表し、その楽曲の芯の強さを見せつけた。その他も数々のアニメーション作品、映画、ドラマの劇伴、楽曲制作に携わる。また、そのソングライティングセンスからこれまで藤井隆、Kaede(Negicco)、三浦透子、Adieu(上白石萌歌)などへの楽曲提供も行っている。更にマルチプレイヤーとして澤部自身も敬愛するスピッツや川本真琴、ムーンライダーズらのライヴやレコーディングに参加するなど、多彩な才能、ジャンルレスに注目が集まる素敵なシンガーソングライターであり、バンドである。

■最新アルバム /「SONGS
通常盤(CD Only) 2,860円(税込)
・CDご購入はこちら:https://skirtskirtskirt.com/discog/post/5383
・「SONGS」配信リンク:https://lnk.to/skirt_SONGS

■出演情報 / 野外音楽フェス「CIRCLE(サークル) '23」
5月20日(土曜)#Day1 “CIRCLE STAGE”に「ムーンライダーズ」のギタリストとして出演!
さらに同日、DJステージの“KAKU-UCHI Annex”にも特別出演!!
詳しくはこちら:https://circle.fukuoka.jp

取材・文:simoonu(シモーヌ)
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