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テーマは表裏一体の正義と悪。ドロンジョを演じた池田エライザさんにインタビュー

2022年12月21日 11:00 by 深江久美子

女優、歌手、ファッションモデルなどマルチにわたって活躍している池田エライザさん。現在WOWOWにて全11話が配信中のタツノコプロ創立60周年記念「WOWOWオリジナルドラマDORONJO/ドロンジョ」に主演している。最終回を12月16日(金)に迎え、先日、ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13で開催された特別試写会の舞台挨拶に本人が登場。地元・福岡に凱旋した彼女に、作品の魅力や自身の役柄について聞いてみた。
 

――今回WOWOWドラマの初出演・初主演ということですが、オファーが来た時どう思いましたか?

何年も前から企画があって全く違う姿の状態で話をいただきましたが、意図しているところは同じでした。みなさんが知っているドロンジョではなく、カオスなこの世の中に彼女が生まれざるをえなかったということを作りたいという思いが伝わってきました。

コロナ禍で脚本が変わっていくときも見ていて、最初の段階から関われたのは嬉しかったですね。仲間になれて嬉しいなという気持ちがありました。


――テレビアニメ「タイムボカンシリーズ ヤッターマン」が原作です。このオリジナル作品ご覧になりましたか?

再放送を中学生くらい時に見ていました。もちろん、トンズラーもボヤッキーも知っていて悪役だけど楽しそうって思ってました(笑)。
 

――今作は、ドロンジョの過去をまったく新しい視点で作り上げた作品です。どんな作品にしたいと思いましたか?

エンターテインメントに敏感で色んな情報を持っている人たちだけでなく、誰か手を差し伸べてくれることを待っているような人にも届けたいと考えました。さらけ出した覚悟と態度など感情をむき出しにした作品にしたいなと・・・・・・。「明日も生きる」と七音(ドロンジョ)の絶対にめげない、絶対に人生をあきらめないという動物的な強さを感じてもらえたらと思います。


――悪事を働くも、どこか憎めない可愛らしいドロンジョ。どのように演じようと思いましたか?

脚本にあるドロンジョが私のドロンジョなので、あまりタツノコさんのドロンジョについては考えませんでした。この世の中の不条理によって、本当の正義に懐疑心を持っていたり、正義を信じられなくなった一人の女の子が物語の中で「ドロンジョ」って名前が付けられただけで、ドロンジョだからこうしようとかはありませんでした。観ている人が七音ちゃんも一つの正義だと感じてもらい、残酷な中で生きるという選択をする力強さをお届けしたいと考えました。


――ドラマ内では様々な正義がありましたね。環境も立場も違う愛ちゃん(後のヤッターマン2号)との対比の描き方もおもしろかったです。

正義の圧みたいな無自覚な残酷さを愛ちゃんがすごく上手に表現してくれましたね。もとのヤッターマンとは違い、完全にドロンジョ目線の描き方ですごく現代っぽいなと思いました。最近は悪役を主役にした作品が多いじゃないですか。その視点に立ち返るのが必要な時なのかな?悪役はボコボコにされて当然みたいなのは変かも・・・・・・というのを思わせてくれました。


――過酷で辛いシーンも多かったと思いますが、あの二人(ボヤッキーとトンズラー)との出会いで少しずつ笑顔を取り戻し、生きる楽しさを気付いていく姿が印象的でした。

はじめは人生勝つか負けるか、勝つことしか価値がないと伯父の正治に刷り込まれ、無駄な会話が一切ない生活をしてきました。ボヤッキーとトンズラーと出会い、二人がベラベラとくだらない会話をする中で、情報とか笑い方とか思い出していく過程が楽しかったです。普段の楽屋でもあんな感じで、かなり助けられました。

矢本くん(ボヤッキー)が公式ガイドブックで“無償の愛”って話しているんですが、なるほどなと思いました。七音が突っぱねようとしても絶対に愛情を返してくれる。それが七音には新鮮で恥ずかしくてたまらなかったと思います。


――役作りで難しかった点は?

私はそこまで声が低くないので七音ちゃんみたいに低くするのは大変でした(笑)。ドスが効いていないといけないし、大きい声も出せないし、どうしたものかと思いました。昔の俳優さんみたいにお酒でうがいとかしたら良かったかな(笑)?

ひとつ決めていたのは、きっと七音ちゃんは同情されるのをきっと嫌うので、私が可哀想だからとか演じると七音ちゃんに怒られるような気がして、ドライな気持ちで客観的に体を貸すような気持ちでやりました。


――アクションシーンも多かったですね。身体づくりはしましたか?

はじめてだったけどボクシングは楽しかったです。こそ練派なので家の駐車場で縄跳びしたり、鏡を見てシャドーはしました。七音ちゃんは良い環境で訓練はしていないので、特別な身体づくりはせず・・・・・・。ボクシングの基礎的なことは半年前からはじめて、クランクイン2ヵ月前から本格的にみっちり練習をはじめました。ボクシングは芸術的なので、ガードができて、しっかり腕を伸ばすなど基礎的なことを学びました。


――主演ということで、キャストの皆さんの中心的存在というポジションだったと思います。現場はどのように進行しましたか。

タイトルが「DORONJO/ドロンジョ」で七音ちゃんの話だけど、みんな魅力的な方ばかりなのであまり自分が主演という感覚はありませんでした。観る人が誰に気持ちを寄せるかは自由なので、和気あいあいとしていましたね。病院のシーンも追い込み過ぎて心折れることなく(笑)。


――話は変わりますが、エライザさんは高校まで福岡で過ごされたんですよね?

天神めっちゃ変わりましたね。コアもないし、VIVREもないですよね。淋しい気持ちもあるけど、時代が変わるような気がしてワクワクします。福岡がもっともっと栄えて、もっともっと盛り上がったらいいな~。


――最後に天神サイトの読者の皆さんにメッセージをお願いします。

きっと同郷のみなさんは「DORONJO/ドロンジョ」を見て下さると思いますので、よろしくお願いします。



タツノコプロ創立60周年記念「WOWOW オリジナルドラマ DRONJO/ドロンジョ」
WOWOWオンデマンドで全11話配信中
 

 

取材・文:深江久美子
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