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2023年、注目の2人組「Bialystocks」にDJ Annaがインタビュー

2022年12月12日 08:00 by 深江久美子

Voの甫木元 空(ホキモト ソラ)さんと、Keyの菊池 剛(キクチ ゴウ)さんによる2人組バンド「Bialystocks(ビアリストックス)」。ソウルフルで伸びやかな歌声で歌われるフォーキーで温かみのあるメロディーと、ジャズをベースに持ちながら自由にジャンルを横断する楽器陣の組み合わせは、普遍的であると同時に先鋭的と評されています。

11月メジャー1st Album『Quicksand』をリリースし、甫木元さんによる長編映画『はだかのゆめ』も絶賛上映中。今後、目の離せない二人にDJ Annaがインタビューしました。


――ラブエフエムは初出演のお二人。福岡に何度か来られたそうですが福岡の印象はいかがですか?

甫木元:とにかくご飯が美味しいと聞いていて楽しみに来ました。昨日はもつ鍋をみんなで食べました。
菊池:空港も近いし大都会だなと。高い建物は少ないけど、太い建物が多いな~と思いました。


――そんな中、11月30日にメジャー1st Album『Quicksand』がリリースされました。結成の理由がユニークだとお聞きましたが、きっかけを教えていただけますか?

甫木元:映画監督をしておりまして、長編映画1作目の上映時に劇中の歌を再現するライブとセットの上映会という特別イベントを考えました。そこで菊池を誘いライブをやりました。そこで知り合ったメンバーでオリジナル曲をやってみようかと結成しました。


――映画作品がきっかけということですが、どういった音楽に影響を受けましたか?

甫木元:母親がピアノの先生をやっていて、まちで合唱団をやっていました。根底にあるのは合唱曲とか、母親が聞いていたフォークになりますね。
 

――菊池さんは?

菊池:僕はクラシックピアノを習っていて、20歳からジャズをやりはじめました。
 

――「Bialystocks」の音楽を聴いていると、色んな音楽の要素を感じます。今回のアルバム『Quicksandのタイトルはどこから?

甫木元:あまりテーマを決めずにアルバム制作し、タイトルは曲が出そろった時に付けました。『Quicksand』とは流砂という意味で人が落ちたりする穴なんですが、砂時計みたいだなと思っていて・・・・・・。そこに入るとすべてが止まってしまったように感じるけど、そこでも流れるモノがある。どこかその状況を肯定できるアルバムであったらと願いを込めてつけました。


――できあがった曲が揃ってタイトルが付けられたんですね。アルバム中で先にできあがった曲など順番はありますか?

甫木元:大元は初期からある曲もありますが、レコーディングの順番でいうと<差し色>からですかね。<Winter>という曲は録り直したりしました。
 

――音の質感が特徴的ですよね。聞き手を空間的な感覚があって色んな場所に連れて行ってくれて、音楽・ボーカルの距離感が近くなったり、遠くなったりと不思議な感覚でした。音作りでこだわった点は?

菊池:何回も聞いて聞きやすい音にしたいと思いました。おっしゃられるように空間も意識しました。ライブだとできないけど、録音だと表現できるので使ってみたいと思いました。


――私はアルバムの中で<日々の手触り>が好きなんですが、この曲はどんな瞬間に生まれましたか?

甫木元:映画の脚本をほぼ同時に書いていたので、結成して直ぐから曲自体はありましたが、それまでにストレートな歌詞はありませんでした。テレビでムッシュかまやつさんが屋台で飲んだくれながら弾き語りしているのを見て・・・・・・。そのラブソングのストレートな歌詞がすごく良かったんです。年齢を重ねるごとに意味合いが変わってくるのかなと。単純な歌詞だからこそ、できることがあるかもと作りました。


――映画のお話が出たのでお聞きしたいんですが、甫木元さんが監督をされた『はだかのゆめ』はどんな作品ですか?

甫木元:高知県に5年前に移住しました。ここに甫木元という起源があるんですが、自分のルーツをいつか撮ってみたいと考えていました。祖父を含めて、いろんな人に話を聞いて書き取ることからはじめました。実際に僕の家で撮影したり、祖父が出てきたり、その中で青木柚くんや唯野未歩子さん、ミュージシャンの前野健太さんなど役者さんが混じりながら・・・・・・。
家族のお話です。母親と祖父と3人で暮らしたことを基盤にしています。Bialystocksが音楽を担当していまして、アルバムを気に入ってくださった方はぜひ映画も観てもらえたらと思います。


――私も映画とリンクすることがあると感じました。実際のおじいさまが出演されているんですよね?

甫木元:意外に引き受けてくれました。タイムスケジュールが決まっている人なので、そのままを撮らせてほしいと言ったら快く引き受けてくれました。魚をさばいたり、畑を耕したり、コーヒー飲んだり、日常の些細なことをおじいさんのパートは撮りましたね。


――俳優さんじゃない、リアルさが良かったです。おじいさんの働いている姿や後ろ姿は、自分の祖父母を思い出してキュンとしました。すごく元気な方だとお聞きしましたが、近所に彼女もいらっしゃるんですよね?

甫木元:そうなんです(笑)。晩酌タイムがあって決まった時間に電話していますね。そこで話すことや、家族、歴史、地域、戦争の話などを含めて聞いて完成する映画だったので、他の人に演じてもらうより祖父にやってもらうのがいいかなと。半分賭けみたいなもんだったんですけど意外に堂々と・・・(笑)。


――映画の主題歌<はだかのゆめ>もアルバムに収録されています。映画を観た後で聴いてみるとさらに胸にしみわたる感じがありました。さて、アルバムの制作ストーリーを聞いていたら「Upon You」は歌詞をのせるのが難しいとお聞きしましたが・・・・・・。

菊池:ポップな曲を作ろうとインスピレーションでメロディを作りました。英語で入れていたのを甫木元に日本語に変換してもらいました。最初の日本語では意味はあってるけど、リズム感がでなくて微妙だなと思って。全部ここ何文字で、この母音でと指定して無理矢理はめてもらいました。


――日本語の音が乗りにくい、母音の指定があったと驚きなんですが、甫木元さんはリクエストを受けてどうでしたか?

甫木元:曲としては絶対そっちがいいなというのがありました。菊池曲は毎回英語なので基本的にハードルがあるんですが、この曲に関しては特に音やリズム感は気を付けないといけないと思っていました。今まで以上にパズルというか、そのパズルをしていく中で、自分もあとから意味を見出すような感じでした。


――二人の今後の予定や展望は?

甫木元:はじめてのツアーや、映画の上映会で全国をまわっているのでHPやSNSをチェックしてください。

――最後にメッセージをお願いします。

甫木元:ご飯も美味しいですし、舞台挨拶をさせてもらって映画が好きな人が多いなと思いました。ライブや映画で頑張ってまた来られたらと思います。

菊池:これから寒い季節になりますが、健康に気を付けてお過ごしください(笑)。



●Bialystocksメジャー1stアルバム『Quicksand』特設サイト
https://quicksand.jp/

●映画『はだかのゆめ』公式サイト
https://hadakanoyume.com

取材・文:深江久美子
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