映画やテレビで活躍するイッセー尾形さん。市井の人々のわずかなしぐさや言葉を瞬間的にとらえ、観る人の想像を膨らませ、「一人芝居の第一人者」とも称されています。フリーになって10年。文豪の名作や、社会の断片をモチーフに、独自の世界を舞台に載せてきました。そんな古希を迎えたイッセー尾形さんが、10年ぶりに故郷・福岡で一人芝居「生きとったと！」を上演。2023年1月14日（土）、15日（日）に福岡・天神の西鉄ホールにて開催されます。

福岡でのホームグランドだったイムズホールが都市再開発でなくなり、舞台を新たに西鉄ホールに。ご自身も特別だという福岡公演についてイッセー尾形さんに聞いてみました。

――フリーになって10年、故郷での公演も10年ぶり。その間で作品づくりは変わりましたか？
現代の人たちを映しとることをずっとしてきたけど、10年前にフリーになって何が作品でできるだろうと考えた時に現代の人々が見えづらくなっていました。たまたま夏目漱石を題材にした芝居の機会をいただき、読み直すと主人公以外の脇の人物たちが魅力的に描かれていて、これは自分が長年やってきた人たちのことかも……と。夏目漱石と僕の接点があるかもと考えました。恐る恐る太宰治や川端康成などの文豪作品を膨らませていくと創作の活力が湧いてきました。

――文豪作品を通したことで現代が見えてきたんですね。
現代が見えてダイレクトに扱えるようになってきました。遠回りしたけど本質が広がり自由になったと思います。周りから明るくなったと言われました（笑）。

――文豪作品に出てくる脇の人物が気になる？
僕がどうしても目が行くのは、主人公に影響を与えて小説の中で光を放っている人たちです。主人公ではないだけで、その人にスポットを当てるとドラマがある人たちは自由に想像ができます。夏目漱石に出てくる登場人物の描き方には愛情を感じましたね。
 

――市井の人を扱うスタイルは変わっていないとのことですが、昭和から令和にかけ時代は変わりました。芝居のスタイルは変わりましたか？
昔は4ページで終わっていた台本が、今は8ページになりました。言い足りない、書き足りないことが増えて、自分に対する要求が増えてきたと感じています。

――一人芝居の限界はありますか？
フリーになった時は周りが一人芝居の限界を感じていたんですが、僕はまだまだ可能性を感じていました。文豪を通して現代に再会し、一人芝居の世界は広がったなぁと思います。これからも僕は追求していきたいですね。

――会場でお客さんとのやりとり、どんな反応を期待していますか？
賭けみたいもんだけど、ネタが終わってお客さんが笑ってくれると胸をなでおろしますね。これからは色なんものをお客さんに笑いとともに投げかけるかもしれません。
 

――福岡に来た時のたのしみを教えてください。
福岡は活気があるまちで、3人集まるとうるさいくらい（笑）。それなのに劇場に入って出番を待っていると会場はシーンとしています。コロナの前から誰もしゃべらない。「この人たち笑ってくれるかなぁ」と心配になります。でも、舞台に上がると歓声と笑い声に包まれます。あの静寂は謎なんですが、また福岡の静寂に触れたいです（笑）。

「生身の体がどう生きるか、どうお客さんたちの前に表れるかが勝負どころ。」と語ったイッセー尾形さん。今回の公演では複数の作品を披露してくれるそうです。シリーズ物はもちろん、新作もあるかもしれないとのこと。これは楽しみですね。
「生きとったと！」はコンビニ（セブンイレブン、ローソン、ミニストップ、ファミリーマート）などでチケット絶賛発売中。2023年1月14日（土）、15日（日）（いずれも14:30開場、15:00開演）、西鉄ホールで開催されます。
 

【チケット情報】
●チケットぴあ（セブン-イレブン各店舗）
https://pia.jp/kyushu
Pコード：515-621

●e＋（イープラス）（ファミリーマート／店内Famiポート）
https://eplus.jp/issey-ogata

●ローソンチケット（ローソン、ミニストップ／店内Loppi）
https://l-tike.com/issey-ogata
Lコード：82261