画像提供「LFCコンポスト」

いいもん福岡(福岡市トライアル優良商品)

ベランダから始まる 安心安全な食の循環『LFCコンポスト』

2022年08月09日 11:00

2020年度の「福岡市トライアル優良商品」に認定された『LFCコンポスト』。コンポストとは、枯れ葉や生ごみなどの有機物を微生物の力をかりて分解させた堆肥のことをいいます。汚い?臭い?そんなイメージがあるコンポストですが、今回ご紹介するコンポストはとてもオシャレでスタイリッシュ!これに家庭からでる生ごみの約2ヶ月分が入るとは驚きです。

『LFCコンポスト』に込められた思いを、株式会社ローカルフードサイクリングの代表であり、コンポスト普及の第一人者でもあるたいら由以子さんに伺いました。

●安心して食べられる野菜が手に入らない!

きっかけは、28年前に父が末期ガンで余命宣告をされたことでした。無農薬の野菜を食べさせたいと思っても、どこに行っても納得できる野菜が手に入らないことに愕然としたんです。まだ幼い長女を背負って、市内を駆け回って集めた野菜はとっても高価でしたが、食養生を始めると、余命3ヶ月と言われた父がみるみる元気になって…。結局それから2年頑張ることができました。その時、必要なものが手に入らない腹立たしさと同時に「人の体は食べたもので作られる」というシンプルな事実を目の前に突きつけられたんです。

安全な野菜を買い続けることが難しいのであれば、自分で作ればいい。そう思い立ったものの、そのためには化学肥料に頼らない良い土が必要でした。そこでたどり着いたのが、母が手習いで行っていたコンポストでした。

●半径の2kmの小さな循環

画像提供「LFCコンポスト」

「コンポストに生ごみを入れたら、栄養のある土ができる。ゴミが減って、焼却による二酸化炭素の削減ができる。こんないいこと、みんなでやりたい!」その一心で25年前にNPOを立ち上げ、コンポストを作りはじめました。

画像提供「LFCコンポスト」

そして、多くの人の生活圏でもある「半径2km」の中で取り組める循環の仕組みを作ることができれば、忙しくても生活の中にコンポストを組み込むことができるのではないかと思ったんです。

その考えにたどり着いてから20年、コンセプトは変わりませんが、試行錯誤をしながら、「広めたいけど、正しく使ってもらいたい」そんなジレンマと闘いつつ今も走り続けています。

●ゴミ箱が臭わない生活

様々な環境問題を解決することができるコンポストですが、エコに感心のある一定の層には受け入れてもらえても、それ以上に浸透するにはなかなか壁が厚くって…。イベントなどで興味を持ってもらえても、家では使ってもらえない。だったら、「都会でもできる、簡単、便利、シンプルなコンポストを作ろう!」とマイナーチェンジを繰り返しながら今の形になりました。


『LFCコンポスト』は、都会のマンションのベランダで使うことを想定して様々な工夫が施されています。

・虫の侵入を防ぐ特注のファスナー
・匂いを極力少なくした独自配合の基材
・ベランダに置いても違和感のないオシャレなデザイン

これらは「まずは使ってみて、体験をしてほしい」という気持ちから。継続率はおよそ8割。「コンポストって何?」と言っていた方が、『LFCコンポスト』を使い始めて、3ヶ月後には畑を借りて無農薬野菜を作り始めたなんてことも。実際に使ってみたら本当に面白いし、夏場でもゴミ箱が臭わないし、何よりゴミの量が驚くほど減る!いいことづくしですよ。

私たちは、普段スーパーで食材を買い、食事を作っています。そこで出たゴミや食べ残しは焼却処分され、二酸化炭素が排出されています。本来なら資源となるものを二酸化炭素を出しながら燃やすなんておかしな話ですが、今では、それが当たり前となってしまいました。
自然環境の中に私たち人間の生活があること、エコフレンドリーな暮らしとは?コンポストは地球資源を守り減らさないためにそれぞれができることを考えるきっかけになればと思っています。

「生ごみはゴミじゃないって気がついた」
「コンポストに生ごみをいれるのが毎日楽しみに!」
「コンポストで分解しない食べもの、食べて大丈夫?」

使い始めると、自分たちが普段口にいれているものに疑問をもったり、考えたりするようになります。目に見えない微生物の働きは、私たちにたくさんの気づきや発見を与えてくれるんです。

●コンポストをよりたくさんの人に知ってもらうために

画像提供「LFCコンポスト」

よりたくさんの人にコンポストを知ってもらい、まずは体験して欲しい。そのために、コンポストのアンバサダー養成講座を定期的に開き、正しくコンポストの魅力を発信してもらう取り組みを続けています。現在、コンポストを広めてくれるアンバサダーは全国に150人以上。正しく使ってほしいからこそ、人材育成はとても重要だと感じています。
おかげで少しずつ認知されるようになったコンポストですが、それでも「コンポストには興味があるけど、初めるには不安が」という方も多いと思います。そんな皆さんをサポートするために、現在、全国に約20人のコンポストを知り尽くしたアドバイザーがいます。また、続けてもらうことが一番なので、気軽にアドバイザーに相談や質問ができるLINEの無料相談窓口も設けています。

NPOを設立した当初からの目標である「小さな単位での食の循環」の仕組みづくりにも継続して取り組んでいます。各家庭で作った堆肥で有機野菜を栽培する「堆肥を送って野菜を作ってもらおうキャンペーン」や堆肥の回収会を定期的に行っています。夢は、日本各地で堆肥と野菜に交換できるマルシェを開催すること。その仕組みができれば、コンポストは持続可能な生活の一部になるのではないかと思っています。

福岡市で生ごみ堆肥の回収をしている場所はコチラ

最終的なゴールは、生ごみの焼却をゼロにすること。結局は、一人一人が生活を見直すことでしか環境は変えられないと思っています。コンポストは生活を見つめ直すきっかけの一つ。「半径2kmで循環する暮らしの仕組み」を完成させるためにこれからも頑張り続けたいと思います。

ローカルフードサイクリング株式会社
092-402-1575
https://lfc-compost.jp/




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