いいもん福岡(福岡市トライアル優良商品)

機能性に無意識の心地よさをプラス。空間になじむ『ACカーム』

2022年06月28日 11:00

業務用の椅子やテーブル、什器を製造卸販売している『株式会社アダル』。博多区に本社を構える今年創業69年目を迎える家具メーカーです。
2021年度の「福岡市トライアル優良商品」に認定された飛沫・飛散防止パネル『ACカーム』には、長年、心地よさを追求しながら様々な店舗の声に応え続けてきたメーカーとしての思いとこだわりが詰まっていました。

●異例の短期プロジェクト

「2020年8月にスタートして11月にリリースしました。通常は開発からリリースまで最低でも1年はかかるので、ありえない程短期間でクリアしなければならないプロジェクトでした」そう話すのは、『ACカーム』製作の中心を担ったクリエイティブ事業部 次長 露口 治さんと清水 美穂さん。宇美町に自社工場を構える『アダル』だからできた異例の短期プロジェクト。製作に携わった3ヶ月間は、コロナ禍の中、家具メーカーとして自分たちに何ができるかを見つめ直す時間だったといいます。

「2020年、飲食店やオフィスで一斉に飛沫・飛散防止パネルが導入され始めました。簡易的なアクリルのものだったりビニールシートだったり。でも、どれも私自身が置きたい、使いたいと思うものではなかったんです。それは、店舗のオーナー様や設計者も同じ考えでした。オーナー様からするとお店は自分の城、お客様の安全のために設置はしたものの、こだわりの空間に圧迫感や閉塞感を与えるものには抵抗を感じておられました。また、とりあえず今だけ設置していらなくなったら廃棄するという考えもエコやSDGs的な観点からどうなんだろうという思いもありました。
そこで私たちは、空間に馴染むもの、置きたいと思えるもの、コロナ収束後も長く使ってもらえるものを提供しようとコンセプトが固まりました」

●『ACカーム』プロジェクト始動!「機能的価値」に「情緒的価値」をプラス

飛沫・飛散防止パネルの役割は、人と人との距離を保ち会話による飛沫を防ぐこと。
安全性や使いやすさといった「機能的価値」は当然として、そこに「可愛いらしさ」や「肌触りのよさ」「安心感」などの「情緒的価値」をプラスすることで、空間になじむ心地よいと感じるものができるとお二人。

「「なんだか落ち着く、また来たくなる」という場所や物にはそう感じる理由があって、それを左右するのが「情緒的価値」のあるデザインだと思っています。私たちはそれを長年提案し続けてきた会社です。『ACカーム』は飛沫・飛散防止パネルですが例外ではなく、“無意識に感じる情緒的なものを意識してデザインする ” そこが、メーカーとしての私たちの腕の見せどころでもありました」と露口さん。

『ACカーム』の設計をするにあたり、まず既存の商品から違和感を感じる部分を徹底的に省くことからスタートしたそうです。例えば、圧迫感の感じる角張り、支えの役割しか果たしていない足、ビスやボルトなどの工業的なものを引き算した結果、半円をモチーフにしたシンプル且つ温かみを感じられるデザインとなりました。

パネルはアクリルとファブリック調ビニールレザーの2種類。耐アルコール、耐次亜塩素酸の布調レザーを採用したことで、柔らかい雰囲気となりました。
ベースを外した板部分のタッカーを減らし、底面の小さな溝に張地の端部を埋め込みました。
細部までこだわり、「目に入る情報を極力少なくする」ことで圧迫感や空間での違和感を減らす設計が施されています。
機能性や強度は損なわずデザインも崩さない、工場と連携を取りながらチームが一丸となって課題をクリアしてきました。

「エッジ部分には、工場に新しく導入された、まだ国内に数台しかないシームミシンでデザインステッチを入れアクセントにしました。ステッチがあるとないでは商品の印象が大きく違ってきます。今の部署に配属になる前は、工場で縫製業務に携わっていたため、当社の職人の皆さんの高い技術力を知っていたので、その経験を活かしたいと思いました。難しい加工でしたが、「おもしろそうだね。やってみよう!」と大先輩が積極的に協力して頂けたことで完成できた商品です。ビニールレザーとステッチ糸の配色は一番こだわった部分ですね」と清水さん。

「パネルを支えるベースにはアッシュ材を使い、こちらも国内では珍しい多軸加工ができる特殊な機械を使って製作をしています。試作を重ね、裏側にも気を抜かず、ネジが見えないように加工しています。何気ないところにまで徹底的にこだわったからこそ、空間にしっくりとなじむ商品が出来たと思っています。」

デザイン、機能性、心地よさ、その全てにこだわった『ACカーム』は、2021年に意匠権を取得。オフィスや店舗のあり方が大きく変わりつつある中で、『ACカーム』を筆頭に『アダル』ではニューノーマル時代を見据えたモノづくりが進んでいます。「置かなきゃいけない」ではなく「置きたい」と思える商品を作る。家具を通して人の営みを支えようとするプロフェッショナルの強く熱い思いがありました。

株式会社アダル
福岡県福岡市博多区金の隈3丁目13番2号
092-504-4141
https://www.adal.co.jp/

※『ACカーム』は福岡ショールーム(要予約)で展示中です



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