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【深夜の恋愛小説】彼女の休日の過ごし方は極めて自由~「ハンサムな彼女」~

2020年09月25日 23:00

天神サイトでは、秋の夜長を気楽に楽しく過ごせるように、ヨーロッパ企画のラジオ番組「こちらヨーロッパ企画福岡支部(LOVE FM)」とコラボレーションして、9月限定で毎晩23時に【深夜の恋愛小説】と題して恋愛ミニ小説を連載。読んでいるほうがちょっと恥ずかしくなるような恋愛ラジオドラマ小説の世界をご堪能ください。



タイトル:「ハンサムな彼女」

 

僕の彼女は草間彌生が好きだ。

スマホカバーは黄色いカボチャの水玉模様。

休みの日にはビールを片手に部屋でレコードを聴いている。

andymori?

どこで知ったの?

父親からもらったという、でっかくて重い中古のフィルムカメラをぶら下げて、たまにこっちに向けてくるけど僕はぎこちない笑顔しかできない。

 

 

現像してデータにしてインスタに投稿。

でも上げるのは僕の写ってない風景ばっか。

いや、一度だけ上がったことがあった。

けどそれはアスファルトに写った僕の影。

 

 

LINEでの通話。

「来週の日曜はどこ行く?」
「本棚作ろうと思って」

「組み立てるやつ?IKEAとかで買ったの?」
「ううん、ホームセンターで木材買ったの。手伝ってよ」

「わかった」

 

僕はサイズを測るくらいでほとんど自分で作っちゃった。
そんなふうに、彼女の休日の過ごし方は極めて自由でハンサムだ。

 

 

「今日は部屋を暗くしてソファでずっと映画をみる」
「何の映画?」
「セッソ・マット」

「え、何それ?」
「イタリア映画、オムニバス映画。アマゾンで昨日届いたから」

「ふーん」
「ジャケ買いしたの。つまんなかったらパイレーツオブカリビアンを一気見する」

「間違いないね」

 

 

なんて日もあれば。

 

 

「お互い一人の時間って大切だと思うの」

といって突然どこかに一人で日帰り旅行で行ってしまうこともある。

『どこにいるの』とラインしたところで夜まで既読にはならない。

 

 

ピコピコとラインのメッセージ通知オンが鳴り響く。

 

「帰ってきたよ」
「どこ行ってたの?」

「佐賀の武雄」
「何があるの?」

「図書館」

 

武雄神社の大楠を見て井手ちゃんぽんを食べて図書館にずっといて、温泉に入って帰ってきたのだそうだ。

 

 

「今度一緒に行こう」
「おう」

 

 

少しラリーが続いたあと、少し間をおいてまた彼女からメッセージが届く。

 

 

また、ピコピコとラインのメッセージ通知オンが鳴り響く。

「今日さあ、LINE電話つないだまま眠ってもいい?」
「もちろん」

 

 

僕のハンサムな彼女は、たまーにとてもキュートな彼女になる

 

 

LINE電話の着信音がなり、ぼくは出た。

「(かわいい声で)もしも~し」

 

 

おしまい
 



こちらヨーロッパ企画福岡支部(LOVE FM) 
京都を拠点に活動する劇団・ヨーロッパ企画による福岡発オリジナル番組。
【イシダカクテル】は、番組開始2013年の第1シーズンから続く大人の恋愛ラジオドラマ

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