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【深夜の恋愛小説】彼女の髪が肩まで伸びたら~「夏の終わりの恋」~

2020年09月15日 23:00

天神サイトでは、秋の夜長を気楽に楽しく過ごせるように、ヨーロッパ企画のラジオ番組「こちらヨーロッパ企画福岡支部(LOVE FM)」とコラボレーションして、9月限定で毎晩23時に【深夜の恋愛小説】と題して恋愛ミニ小説を連載。読んでいるほうがちょっと恥ずかしくなるような恋愛ラジオドラマ小説の世界をご堪能ください。



タイトル:「夏の終わりの恋」

 

LINEの通知音がなる。

 

「明日、映画でも観に行かない?」

彼女から突然LINEが届いたのは暑さで寝苦しい昨晩のことだった。

 

「ちょうど明日映画を観に行こうと思ってたところなんだ」

 

僕はすぐに返事を返した。
天気予報の明日の気温は、まだまだ夏は終わらないから外に出ないほうがいいんじゃない、と言っているようだった。

 

「待ち合わせは映画館の近くのサーティーワンにしない?」

僕は彼女にLINEを送った。

 

「ちょうどサーティーワンのアイスクリームを食べたいと思ってたの」

彼女から返事が届いた。

 

寝苦しい夜が少しだけ爽快な夜に変わった。
翌日僕らはサーティーワンでカラフルなアイスクリームを食べていた。

 

「髪、切ったんだね」

ロングヘアが似合っていた彼女はバッサリと切ってショートヘアになっていた。

 

「うん、彼氏と別れたの」

彼女は少し寂しげにそう答えた。
僕はてっきり「夏だから」なんて馬鹿げた答えだと思い込んでいた。

 

「フラれちゃった。他に好きな人ができたみたい」

 

彼女は笑ってミントブルーのアイスを一口食べた。

 

 

「何もわかっちゃいない馬鹿野郎だな」

彼女のボーイフレンドのことは何も知らなかったが僕はそう答えた。

無頓着な質問をした自分のことでもあった。

 

 

「ふふ、ありがとう。アイスを食べたら元気が出たわ。これで楽しい映画を観ればもう問題ないわ」

僕らは映画館に駆け込んだ。

 

その映画館ではちょうどSFアクション映画と恋愛映画とをやっていた。
僕らは迷わずSFアクション映画を見ることにした。

だけどその映画は正直イマイチだった。

 

 

「ねえ、まだ時間大丈夫?」
「もちろん」
「少し散歩しない?大濠公園あたりでも」

映画館を出て大濠公園に向かって歩いていると、あたりは次第に暮れ始めた。
日が短くなってきてる。

 

僕らは適当なベンチに座って映画の感想を言い合うと話すことがなくなった。

 

 

「もう秋が来てるね」
「え?」
「だってほら」

 

ヒグラシの鳴く声やコオロギの鳴く声が聞こえてくる。

「ほんとだ」
「やっぱり髪、伸ばそうかな」

 

彼女はつぶやいた。

 

彼女の髪が肩まで伸びたら、すっかり秋になっているだろう。
そのとき僕は彼女に自分の気持ちを告白しようと思う。

 

おしまい
 

※今回の作品は9月15日(火)21:00からLOVE FMにてオンエアされた番組「こちらヨーロッパ企画福岡支部」でラジオドラマとして放送されました。radiko タイムフリー機能を使うと、過去1週間以内に放送された番組を後から聴くことのできます。(2020年9月22日まで下記アドレスより視聴可能です)

http://radiko.jp/share/?sid=LOVEFM&t=20200915210000



こちらヨーロッパ企画福岡支部(LOVE FM) 
京都を拠点に活動する劇団・ヨーロッパ企画による福岡発オリジナル番組。
【イシダカクテル】は、番組開始2013年の第1シーズンから続く大人の恋愛ラジオドラマ

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