グルメ

飽くなき探求と進化を表現するためコース1本に。さらなる驚きと美味を提供

2020年02月27日 12:00 by 木下 貴子

2018年6月に、荒江から赤坂の地へと移転し、新たなるスタートを切った『赤坂あきちゃん』。店主・藤田愛士さんの挑戦と料理への姿勢はみるみるうちに評判となり、いまやなかなか予約のとれない人気店となっています。

その『あきちゃん』にさらに注目すべき、新しい動きがありました。おまかせコースとアラカルトで構成していたメニューを、昨年秋からコース1本に絞っているのです。藤田さんの心境にどのような変化があったのでしょうか?

「もともとお客様の9割がコースを頼まれていたんです。また、自分もよく食べ歩きをするんですが、最近はもっぱらコースばかり。コースはバランスのよい構成で、料理人のオリジナリティが出せるように思いますし、個人的にコースの方が満足度は高いと感じたんです」と藤田さん。さらに、「コースに絞ることで品数が制限でき、その分、一品一品により力を注げるんじゃないかとも思いました」と話します。

コース内容はこれまでの「おまかせ」と同じく、季節感を重視した旬の食材で作る創作和食です。懐石のように明確な構成ではなく、お刺身、煮物、蒸し物、炭焼き、肴、肉、魚、旬菜、〆と、和食の定石に則った料理を、食材のバランス、調理方法のバランスを考えながら10品程度を供してくれます。いろいろ試作するなか、メニューとして採用するのはごくわずか。また食材も旬のもののため、1つ採用してはメニューを入れ替える…という手順で内容を構成されているといいます。「すべてのメニューが入れ替わるのはだいたい2~3カ月ですね」。

以下、コースの一例をご紹介します。
コンテと自家製カラスミがたっぷりかかった揚げ春巻きです。


う~ん、ほのかに香るチーズとカラスミの熟成香が食欲を刺激します。「熱いからお気をつけくださいね」という藤田さんのアドバイスに従って、端から4分の1くらいのところまでをがぶり。…中から熱気とともに溢れ出てきたのは牡蠣とベシャメルソースの旨味と甘み! 続いてスナップエンドウのシャキシャキした食感が訪れます。この一品だけで、幾重もの味の層を感じます。

一目でそれとは分かりませんが、蓮根饅頭です。周りに黄緑が美しいうすい豆のすり流し、上に生ウニが設えられています。


京都から取り寄せたうすい豆でつくるすり流しは、上品な風味でありつつ豆の味がはっきりと感じられます。浮かんでいるのはこれまた珍しい、柚子の花びらですって!皮よりもちょっと控えめに柚子の香りを放ちます。里芋と和えた蓮根饅頭はとってもなめらか。これにさらにすり流しと生ウニが加わり、3種のなめらかさと混然一体になって驚きの美味しさです。


コースの〆に出されるのは、土鍋ご飯です。カツオ出汁に米とゴボウを入れて炊き上げ、仕上げに具材を乗せ、少し蒸らして味をなじませます。この日の具材は、炭焼き鶏とフルーツトマト、そして山椒の葉。


ほどよく蒸らしたところでご飯と具を混ぜ合わせ、お茶碗によそってくれます。お米の艶加減からお焦げの入り具合までお見事! 鶏肉は藤田さんが惚れ込んで、生産者さんへ猛アタックの末に仕入れができるようになったという、滋賀県の「淡海地鶏」を使っています。鶏の抜群の甘味と旨味に、フルーツトマトの酸味、さらにゴボウのコクが重なります。


多忙ななか休みを捻出しては福岡はもちろん、京都や東京にまで足を延ばして食べ歩きをしているという藤田さん。「食べたことのないものを食べると、本当に勉強になります」。各所で見つけたものをヒントに、新しい料理を生み出すことで日々頭の中はいっぱいです。

常に探求と進化。「美味しいものを食べたいだけじゃなく、美味しいものを食べていただきたいんです」という想いもあり、またこれまで以上に内容を充実させたいという強い意志のもと、これまでコースを7,150円で出していたところを、3月より8,800円に思いきって値上げされました(上写真はいずれも8,800円の一例です)。

席数はわずか13席で、いまは18時・19時からのピークタイムは2週間先まで予約で埋まっているそうです。16時からだとまだ余裕があるとのことなので、待ちきれない方はスケジュールを調整して行ってみてはどうでしょう。その価値は大いにある至極のディナーが体験できます。

取材・文:木下 貴子
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プレイス情報PLACE

赤坂あきちゃん

住所 福岡市中央区赤坂1丁目7-23 弁護士ビル1F
TEL 080-3223-5488
営業時間 16:00~21:00最終入店(日曜は14:00~19:00最終入店)
定休日 不定

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