アート

「ちょっとした悪だくみからコスチュームが生まれる」コスチューム・アーティストひびのこづえインタビュー

※このイベントは2019年8月25日(日)をもって終了しました。

2019年07月25日 18:00 by 筒井あや

1988年にコスチューム・アーティストとして活動をスタートして以来、演劇やダンス、映画、テレビなど多分野にわたり、数々の作品を生み出しているひびのこづえ。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」のセットや衣装、野田秀樹演出の舞台衣装を手がけていることでも有名。プリミティブな感覚を根底にじさせつつも、想像を超えたダイナミックな形と色のコスチュームは、子どもから大人までを釘付けにし、その作品世界へと一瞬で誘う。

本展では「みる・きる・つくる」をテーマに、2017・2018年に上演したダンス「不思議の国のアリス」の衣装を展覧会として初公開する他、著名な俳優陣が着用したNODA・MAPの数々の舞台衣装、また、心おどる世界に1つのバッグを紹介。展示に加え、実際に試着できる服やヘッドピースも並ぶほか、ミニワークショップコーナーも登場!

本展について、また舞台衣裳作りについてひびのこづえさんにインタビュー。

——舞台衣裳を作り始められるきっかけはどういったことからだったのですか?

ひびのこづえ:小劇団から声を掛けていただいて何作かは手掛けていたのですが、それは見よう見まねで作っていて。そしたら野田さんから日生劇場で上演する「から騒ぎ」という作品で声を掛けてもらって、多人数が出演していて本当に大舞台でした。その時に最初はビビって割と普通のデザインを描いて行ったんです。そしたら野田さんに「それはこづえさんらしくない」って言われて。さらに1週間で全部描き直して、そんなこと言うんだったらやっちゃうよ!みたいな感じでめっちゃ遊んでみたら「いいじゃん!」って言ってくれて。バブルの走りの頃だったからか、その衣裳を全部最後のシーンはモノトーンにしようとか言って、衣裳が倍ですよ(笑)。それも1つ1つ、めっちゃ手間が掛かっている。あれはすごかったですね。

——すごく楽しく衣裳を作られているんですね!

ひびのこづえ:そんなことはないですよ!もう苦しくて苦しくて。考えている時は楽しいんだけど、フィッティングも嫌だし(笑)、野田さんに離縁状を出したこともあるし、もう私を降ろしてくださいって言ったこともありました。今はようやく野田さんに感謝する気持ちも生まれ(笑)でもいつも大変です。

——舞台衣裳を制作される時に、一番大切にされていることはどんなことですか?

ひびのこづえ:NODA・MAPの衣裳については、野田秀樹さんの脚本って、特に昔の作品は観ていても難解な物語が多いでしょ(笑)。それを私は台本がすべてないところからスタートさせるので、本当に野田さんの限られた言葉を頼りに本を読み、何かヒントはないかなと拾いつつ手探りで彼が持っているイメージを掴んでいきます。展覧会の解説にも書いていますが、「カノン」という作品の時は脚本が1ページしか出来ていなかったんです。逆に無いから、ちょっと思いっきりやっちゃおうかな、みたいな時もあるし、脚本が無いなりにも野田さんがミーティングで発した言葉を拾い集めて、こんなイメージはどうかな?って提案する場合もあります。その時々で違いますが、常に自分のやりたいことをその中に入れようという気持ちはあります。

——ひびのさんが衣裳を作られる時の、アイディアソースというか、どういうところから発想が生まれてくるんですか?

ひびのこづえ:野田さんの演劇だと言葉が解らないと難しいけど、言葉は理解できなくても、まずビジュアルから作品に入っていく人を救えるかなとか思っています。ダンス「不思議の国のアリス」は子ども向けの作品ですが、出演しているのが超一流のダンサーたちなんです。ダンスパフォーマンスだったら言葉はそんなに必要じゃ無いし、身体をもっと増殖させるような衣裳を作りたいと思っていました。そして、子どもが目を離せないような世界を作ってあげたいというところから、とにかく楽しいものを入れたい!と。


アリスに出てくるクイーンのスカートは、最後に浮いて飛んで行っちゃったらおもしろいなと思ったんです。最初はスカートが取れて女王が負けちゃうみたいなシーンで、スカートを飛ばして欲しいって演出家に頼んだくらい(笑)。実際は飛ばない演出になりましたが、とはいえ相当浮くので、ものすごくダイナミックに動きます。だからクイーンのスカートは外せるように作りました。それが宙を舞うと美しくなびいて、スカートが広がって裏が見えたりするので、観ている人も「うわぁ!!」って心を奪われちゃう。本当はアリスの上演中はこの衣裳はどこにも載せていないのです。デザイン画も載せていなかったのですが、ツアーも終わったし、何年か後にやれるかどうかは解らないから展示させて欲しいとお願いして今回特別に展示しています。

——観ただけで心が奪われる感じがします!

ひびのこづえ:そんな悪巧みばっかりしています(笑)。チェシャ猫は頭と身体と手と足がすべてバラバラになるので、5人で踊るんです。5人でバラバラに着て、一緒に踊って合体する感じなので、すごく可愛いですよ。

——ひびのさん、もう演出家ですよね!

ひびのこづえ:そうです!演出したい。ダンスは演出をしたいけど、さすがに振りとか細かいことをやるのは無理、だからすごいうるさい衣裳家です(笑)。きっと演出家には嫌われていると思いますよ。



※会場にはブローチが手作りできるスペースも!

 

——今回の展覧会は「みる、きる、つくる」というタイトルですが、ひびのさんがこの展覧会でキーワードとして持っているのはどういうものですか?

ひびのこづえ:私の服は人に着てもらうために作っているので、本来は展覧会のような形で見せるのはあまり自分では好きじゃないし、素敵とは思えないんだけど、この展覧会では「みる、きる、つくる」というキーワードで、みんなも作ることを体験できるし、着てみるということも体験できる。アリスやNODA・ MAPの衣裳では、舞台を観ていた人がもう一回この衣裳を見て、こういう風に出来ていたんだなとか、体感に近いことが出来るかなと。そういう意味で、この展覧会が出来て良かった。記憶とオーバーラップして感じることができると思います。舞台写真も飾れたのが、よりよかったなと思っています。

 

ひびのこづえ展「みる・きる・つくる」は三菱地所アルティアムにて8月25日(日)まで開催中!

取材・文:筒井あや
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ひびのこづえ展 「みる・きる・つくる」EVENT

会場 三菱地所アルティアム
期間 ~2019年8月25日(日)
時間 10:00〜20:00
料金 一般400円、学生300円
主催者URL http://artium.jp/
※会期中休館日なし
お問い合わせ 三菱地所アルティアム/イムズ8F(TEL:092-733-2050)

プレイス情報PLACE

三菱地所アルティアム/.g

住所 福岡市中央区天神1丁目7−11 イムズ8F
TEL 092-733-2050
URL http://artium.jp/

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