グルメ | 新店舗オープン

素材を生かしたやさしい料理。店も店主も温かく、マイ隠れ家にしたい一軒

2019年07月02日 12:00 by 木下 貴子

大正通りから赤坂側に少し入った裏路地に、バーや和食屋が入る小さな雑居ビルがあります。年季が入ったビルの赤壁と細い通路はやや怪しげに感じるかもしれませんが、躊躇せず、2階へ上がって奥へと進んでください。


この看板を目印に。


扉を開くと、白壁と木を基調とした空間が現れ、「いらっしゃいませ」と店主・大山英之さんが笑顔で迎えてくれます。



5月にオープンした『genten.』は、九州の豊かな食材をもちいた料理とお酒が楽しめるお店です。「福岡は女性が多い街ですし、若い女性からおじさんまで来てもらえるような店にしたくて」と、和食を中心に、魚、肉、野菜とバランスのとれたメニュー構成です。

突き出しは、見た目も味も上品な自家製のごま豆腐です。この時点で「いい店かも…」と予感がします。



大山さんは岡山のご出身。大学時代を福岡で過ごした後、岡山や海外などで料理人として経験を積んできましたが、「福岡がやっぱり好きだな」と福岡での独立を決めたといいます。九州の豊富な食材にも惚れこみ、大半の料理に九州産の食材を使っています。なかでも大山さんのおすすめは「鮮魚のお刺身盛合せ」(1人前1,080円~)、そして金・土曜限定の天草大王の「レバ刺し」(972円)と「ももタタキ」(1,026円)です。

九州の天然魚を中心にした「鮮魚のお刺身盛合せ」。この日はカンパチ、炙りイワシ、アナゴ、カツオ、タコ、炙り帆立、サザエで、写真は4人前です。種類が多く、いろいろと味わえます。


刺身は単品もあり、この日は「イサキ炙り刺身」「活アナゴ刺身」(各756円)などがありました。

旬の魚の煮付けやあら炊きも、日替わりで楽しめます。写真は「金目鯛あら炊き」(1,296円)。大きな頭に隠れていますが、尾部も一緒に炊かれています。金目鯛がこのボリュームで、この値段。しかも身はぷりっぷりで、大満足です。小石原焼の器も素敵。



酒の肴に「タコぶつ炙りと海苔とわさび」(702円)、「沖縄のもずく酢といくら」(594円)、野菜料理に「ポテトサラダ原点風」(540円)、「糸島豚のごましゃぶサラダ」(856円)、肉料理に「せせりのおろしソース焼き」(810円)、「和牛すじと野菜のやさしい煮込み」(540円)、炭焼料理に「天草大王もも炭火焼」(1,296円)、「和牛ステーキ炭火焼」(1,620円)などバラエティ豊かです。なかには、「天草大王レバーパテ」「マグロの酒盗クリームチーズ」(各648円)のようなワインに合わせたいつまみも。

自家製の燻製も評判です。写真は「盛合せ」(1,296円)で内容は日替わりです。この日はカシュナッツ、チーズ、いぶりがっこ、サバ、玉子、手羽先、鶏皮、豚肩ロースと盛り盛り!単品注文もできますよ。



お酒はビール、ハイボール、日本酒、焼酎、ワインとひととおり揃います。日本酒は常に銘柄を入れ替え、なるべく他店で扱われていない銘柄を置くようにしているそうです。もちろん岡山のお酒もありますよ。
国産レモンのリキュールを使った「レモンサワー」(540円)。


「最近の芋焼酎はフルーティーな香りのものもあるんですよ」と、芋焼酎のソーダ割り(550円~)も推奨しています。



「ごはんはやっぱり炊きたてが美味しいから」と〆には土鍋ごはんを用意。大山さんは全体的に、「九州の食材は本当に味がいいから、余計なことはしたくない」と、しっかりとった出汁と最低限の調味料を加えるだけに留め、化学調味料は使いません。そのポリシーが特に味に表れるのが、この土鍋ごはんではないでしょうか。

「それだけで飲んでも美味しいですよ」というカツオ、昆布、鯛骨、ネギ頭などからとった出汁で、米と素材を炊き上げます。出来上がるまで20分ほどかかるので、最初に頼むか頃合いを見計らって頼むのがベターです。6~7種類あり、人気具材の一つ「ウニとイクラのゴージャスな土鍋ごはん」(1合2,052円)を頼んでみました。


出来たてのごはんが運ばれてきて、蓋を開くと……。


「うわっ」と思わず声が出てしまうほど、ウニとイクラがびっしりです。まさにゴージャス! しかもこのウニは…「はい、唐津の赤ウニです」と説明してくれる大山さん。赤字覚悟ではなく「赤字の一品です」と苦笑します。



お米は、粘り気が強くないため炊き込みご飯に適しているという佐賀県産ひのひかりです。粒がしっかりしていて艶やか、出汁をたっぷり吸った旨味たっぷりのご飯に、ウニ、イクラ、さらにゴボウやミョウガ、三つ葉などの香りが重なって、それはもう絶品です!


ウニとイクラは炊き上がったご飯に乗せますが、「キノコと根菜土鍋ごはん」(1,188円)、「天草大王炭焼きのかしわ土鍋ごはん」(1,512円)など他の土鍋ごはんは、メインの具材も一緒に炊き込むためさらにご飯の旨味が増すそうです。これはいろいろ試したい! 1合で2~3人前分で、2合以上の注文もできます。

テーブル席もありますが、メインのカウンター席に座るのがおすすめです。忙しく手を動かしながらも大山さんが朗らかに話しかけてくれます。大山さんが料理の世界に入ったのは大学時代のバイトがきっかけで、一度は就職したものの、すぐにまた飲食に戻ったといいます。「いろいろな人たちと出会い、いろいろな話ができるのが飲食の仕事の醍醐味です」。



「このアプローチですから入るのに勇気がいるかもしれませんが、ドアを開けてくだされば好きになってもらえる店を目指しています」と大山さん。料理も店も店主もすべてにおいて温かみがあり、女性一人でも安心して飲むことができます。場所柄もあり、大切な人にだけそっと教えたい……そんな隠れ家的な店になりそうです。

取材・文:木下 貴子
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プレイス情報PLACE

楽しいお酒とごはん。 genten.(げんてん)

住所 福岡市中央区赤坂1丁目6-5 松村ビル2F
TEL 092-791-3329
営業時間 17:00~24:00頃(OS23:00)
定休日 不定

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