グルメ | 新店舗オープン

“美味しい”だけでは終わらない愉しみを紡ぐ、日本料理の新星

2018年08月06日 12:00 by 森 絵里花

筑前国一之宮、住吉神社のほど近く。7月2日(月)大安吉日に、新たな割烹が誕生しました。細い路地を抜けた先、奥まったマンションの1階という何とも密やかな立地。涼やかな藍色の博多織暖簾が下がる「御料理 古川」です。

店を営むのは、日本料理一筋の料理人・古川誠さん。中村調理師専門学校を卒業後、日本料理の最高峰を学びたいと大阪の名店「味吉兆」へ弟子入り。約12年間の修業を経て、ミシュラン星付きの「味吉兆 ぶんぶ庵」では料理長に抜擢。計13年にわたる研鑽の末、遂に夢であった自身の城を故郷・福岡に構えました。

共に店に立つのは奥様と若き板前さん。みなさん大変物腰柔らかで、温かく迎え入れてくださいました。店内は7席のカウンターを主体に、2部屋の個室も用意。

朝倉郡東峰村の「森山銘木」による桜一枚板のカウンターは、品格のある繊細な木目が素晴らしく、凛とした空気が漂います。スッと背筋が伸びつつも堅苦しさを感じないのは、古川さん夫妻の温かな人柄が調和しているからでしょう。

料理は、昼夜共に前日までの完全予約制。昼は5,000円(税別)のおまかせコース一本。夜は、6,000円、10,000円、15,000円の3種を基本としています(夜はすべて、税・サービス料5%別)。今回は、昼のおまかせをご紹介します。

お昼のおまかせには、先付・お椀・造里・八寸・焼物・焚合・御飯・菓子・抹茶が登場。写真は七夕をテーマにした先付で、ツルムラサキやそうめん瓜、芋茎など7つの素材を使ったお浸しです。シャリシャリとした歯触りに冷たい出汁のジュレが絡み、暑さもすっかりクールダウン。

続いては、目の前で軽快に骨切りされた鱧を使ったお椀。フワフワの鱧は、白牡丹と見まごうばかりの見事な美しさ。繊細な出汁や素麺が、鱧の美味しさを引き立てます。

こちらは梶の葉を添えて供された造里。七夕の起源は中国にあり、中国ではこの梶の葉に和歌をかいて願い事をしていたのだそう。

「料理だけでなく、文化や伝統、器や工芸品など、日本の、福岡の素晴らしいものを伝えることも使命だと考えています」と古川さんはにっこり。細部にまで宿るもてなしの心が胸に響きます。

梶の葉をよけると、洗いにした鱧、細やかに包丁を入れたイカが顔を出しました。焼き海苔の佃煮、おろし山葵、糸島ミツル醤油の「生成り、」、梅肉ダレも添えられており、その美味しさは言わずもがな。

八寸の演出も、実に風流。笹の葉にかけた飾りは奥様の手作りだそうで、心もホッと和みます。長皿の上には、甘いとうもろこしの寄せ揚げやとよみつひめの胡麻和え、半夏生タコ、魚のすり身や三河みりんを加え3時間に渡りオーブンでじっくりと焼き上げた玉子焼きなど、手の込んだ逸品がズラリ。

お酒もついつい進んでしまいます。中でも日本酒は九州をはじめ全国各地から厳選。常時10種以上を揃えてあり、こうして素敵な酒器を選ぶのも楽しみの一つ。

古川さんは大の器好きでもあるそうで、焼物は福津市「花祭窯」の藤吉憲典氏による「染錦鮑型向付」にのって供されました。

目で見て楽しく、味わってさらに幸せに。皮目までしっかりと美味しいイサキのつけ焼き、山芋を合わせた淡雪のような大根おろしなど、細部まで丁寧な仕事が光ります。

旬野菜を使った繊細な焚合が供された後は、お待ちかねの御飯。炊きたての土鍋をあけると、ふんわり甘い香りと共に爽やかな香気がパァッと漂いました。

この日は、新生姜の土鍋御飯です。お米は古川さんのご両親が太宰府で育てている夢つくしだそう。ふっくらツヤツヤ、香りも風味もたまらなく美味。

最後の甘味も、もちろんお手製です。ぷるぷるとした水晶のようなゼリーの中に餡を詰めた、その名も水玉。茶釜で湯を沸かし、古川さん自ら点ててくださった抹茶と共に味わいました。

帰り際にふと目に止まったのは、山笠のてのごいとみやま市「筒井時正玩具花火製造所」の線香花火。

「目指すのは三方良し。地元福岡の食材、ものづくりを取り入れ、そこに携わるたくさんの人の想いも料理と合わせてお届けできたら幸せです」と古川さん。

細部にまで行き届いた料理ともてなしに、日本料理の、外食の素晴らしさを改めて感じたひと時。大切な人と共に訪れてほしい、そんな一軒です。

取材・文:森 絵里花
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プレイス情報PLACE

御料理 古川

住所 福岡市博多区福岡市博多区住吉3丁目9-2 アーバンⅢ1階
TEL 092-409-6113
営業時間 12:00〜最終入店13:30/17:00〜22:00(最終入店20:00)
定休日 月曜
URL https://oryouri-furukawa.com/
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