音楽

→Pia-no-jaC←が振り返る、駆け抜けてきた10年。「夢中で頑張ってきて良かった」(HAYATO)

2018年07月10日 10:00 by 下田 浩之

葉加瀬太郎に「オーケストラに匹敵するほどの音楽」と称される、ピアノとカホンによるインストゥルメンタル・ユニット、「→Pia-no-jaC←(ピアノジャック)」。結成以来、インストユニットしては異例とも言える1年1枚のハイペースでリリースするCDアルバムは、オリジナルだけで13枚になる。鍵盤と打楽器だけというシンプルな編成ながら、柔軟な姿勢と巧みなプレイで、バラエティ溢れる楽曲を量産してきた彼らが、10年の軌跡を集約させたベストアルバム『10th Anniversary BEST』をリリースした。重量感のある3枚組を前にして、その手応えを聞いた。

—オリジナルアルバム、コンピレーションアルバムと、これまで多くの作品を量産してきたからこそ、10年という節目に関しては、感慨深さもひと塩なのかなと想像します。

HIRO(写真右/カホン):確かにいろんなことをやってきましたからね。でも本当にあっという間で、スタッフに言われて初めて10周年って気づいたんです(笑)。ベスト盤を出すことになって改めて作品を聴き返しましたが、いろいろ思い出して、アルバムをめくっているようでしたね。

HAYATO(写真左/ピアノ):ちょっと恥ずかしさを感じるところもあるし、逆に新鮮なとこともあったり。10年前、すごく得意だったフレーズが、実は今すごく弾きにくくなっていたりもするんです。もちろん、それ以上にできることは増えているはずなんですけど、「これ、どうやって弾いたんだっけな?」って。10年前の“勢い”に対して、今は必死にならないとついていけなかったり、体内流れているリズムもちょっとずつ変わってきたのかなって思いますね。逆に、昔はラテンやロックンロールがそんなに弾けなかったし、「この頃は、まだこういうフレーズ弾けなかったな」とかもある。得意分野がどんどん変わってきたんだなって、実感しました。

HIRO:僕は、シャウトも担当しているので、単純に声の若さに恥ずかしくなります(笑)。カホンに関しては、今は勢いだけじゃない部分も大事にしているので、幅が広がった感はありますけど、声はね、昔は照れがあったように思いますね(苦笑)。

—平日は制作、週末はライヴというサイクルを続けてきた今、改めて気づいたことはありましたか?

HAYATO:やっぱり振り返った時、「このフレーズ出てくるのにメッチャ時間かかったなぁ」とか、「このメロディ出てきた時にガッツポーズしたな」とか、制作時期が一番大変で、それこそ時間を長く感じる時だなって思いました。だから全曲大事! 作品を聴き返すと、「頑張ってきて良かったなぁ」と思いますし、生まれてきてくれてありがとうという感謝も(笑)。本当に全曲、大事な子どもです。

—そんな制作時期にあっても、ライヴ活動と両立してきた経験は、活動する上で自信になっているのでは?

HIRO:そうですね、雑誌やTVとかでよく「○○年ぶりのアルバム!」という紹介があるじゃないですか。 僕たち的に、すごく違和感があるというか(笑)。ライヴも1週間やらないと、不安になっていましたからね(笑)。

HAYATO:デビュー当時は、短いスパンでCDを出していかないと、忘れ去られる怖さがあったんですけど、その癖が抜けないですね。海外でライヴする時も制作していましたし、楽曲作りがライフスタイルになっているのはアーティストとして強みかもしれないですけど、かと言ってラクではないんですけどね。

—ライヴハウスやフェス、国内外のストリートなど、さまざまなステージでライヴをされていますが、いつもピュアに感動されている姿が印象的です。

HIRO:たくさんライヴをしているけど、未だに毎回新鮮なんですよ。見慣れた景色がないんです。福岡でもライヴ会場以外に、「中洲ジャズ」から大牟田のフードコートまで、いろんな場所でやらせてもらっていますが、やればやるほどいろんな発見があるから、ライヴはやめられないですよね。とくに福岡は、「中州ジャズ」がメチャクチャ面白い!来ているお客さんから、イベントを愛している感じがビンビン伝わってきて、とてもパワフルなんですよ。大好きなステージです。

HAYATO:そうだね、今年も楽しみですよ。基本的に僕らのライヴスタンスって、まだ路上ライヴで素通りされていた頃から変わっていないんです。どうやったら立ち止まって聞いてくれるのかを考えて、例えば手拍子やったり、信号の向こう側にいる人たちにパントマイムしながら演奏して呼んでみたり、そういう工夫をしてきたんですよね。みんなと一体になれる努力をする精神はずっと大事にしていきたくて、演奏を聴かせるだけのライヴというよりは、笑ったり、踊れたり、誰もが楽しめるようなショーにしたいなって。まだまだもっと幅を広げながら、9月の福岡公演では、例えばHIRO がイリュージョンするかもしれないですし(笑)、ずっとエンターテイナーでいたいですね。

HIRO:おいおい、勝手なチャレンジ企画とか作らないでよ(笑)。イリュージョンはありませんが、それと同じくらい感動できるライヴをお届けしたいと思います(笑)。ベスト盤を引っ提げた公演なので、まさにベストなライヴにしたいと思っています。初めての方も気軽に来ていただけるとうれしいです。

—ツアーも楽しみですが、やはり次の作品も動き出していたりするのでしょうか?

HIRO:そうなんです。ワンセクション録り終えたくらいで。

HAYATO:先週も3曲録り終えていますね。半分はノータッチの状態なんで、それがいつリリースできるかとかは未定なんですけど、ベスト盤のあとはオリジナルを出せたらなと思っています。

HIRO:僕たちの場合、そのリリースが10年後ってことはないので、もうちょっとだけ楽しみにしてほしいです(笑)。

HAYATO:そうですね、そのペースは守られている状態なので、次の展開も楽しみにしていてください!

【Profile】

→Pia-no-jaC←(ピアノジャック)

‘05年に、HAYATOのピアノと、HIROのカホンによるインストゥルメンタル・ユニットを結成。’08年、1st Album『First Contact』を発売以降、“3Dピアノ”という特殊な奏法などで奏でるピアノ、またアグレッシブで変幻自在なカホンの音色で、時にダンサブル、時にスリリングで重厚な楽曲をプレイ。精力的に活動を展開するライヴは、海外での評価も高い。また唯一無二の編成を武器に、J-POPから、クラブDJ、ディズニー、書道家など、幅広いコラボレーションを展開して注目を集める。

 

【Release】
Best Album
『10th Anniversary BEST』
SPACESHOWER NETWORKS/3枚組3240円
Now On Sale

【Live】
チケット発売中
[日時] 9月15日(土)17:00開演
[会場] スカラエスパシオ
[料金] 全席指定5000円 ※要1ドリンクオーダー
     小学生以上有料
未就学児無料(子ども1名まで膝上可、座席が必要な場合は有料)
[問合せ]キョードー西日本
[電話]092-714-0159

※ローソンチケット、チケットぴあなどプレイガイドで発売中

取材・文:下田 浩之
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