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宇宙飛行士の若田光一さんに聞く宇宙から帰ってきて、今改めて思うこと。

2018年07月07日 11:00 by 下田 浩之

 「私たちが住む地球とは、一体どんな惑星なのか?」。そんな観点から、宇宙飛行士たちの証言と、6大陸45カ国におよぶ国々、そして宇宙から撮影された映像を駆使して、あらためて地球を見つめ直したドキュメンタリー番組『宇宙の奇石』が、有料チャンネル「スカパー!」などで放送中です。
美しい映像と、宇宙飛行士たちのリアルな証言によって、奇跡の上に生きていることを、改めて実感できる内容。2018年より、宇宙航空研究開発機構(JAXA)理事を務め、これまで4回の宇宙飛行を経験する若田光一さんに、当番組を観た感想や、学生時代に過ごした福岡のことを聞きました。

—大学、大学院に通われていた6年間を福岡で過ごされたそうですが、久々に来られてどうですか?

若田光一:はい、懐かしいですね。4年前に宇宙に行った時も、福岡の夜景をツイートさせてもらいましたが、宇宙からその夜景を見ていても学生の頃に食べたラーメンや、魚定食とか、福岡の味が思い出されましたよ(笑)。福岡は食文化が豊かな街ですが、“日本食”は世界各国の宇宙飛行士が好んで食べるものなので、地域の食文化が日本全国、そして世界に広がっていることを実感します。JAXAでは、宇宙でも日本の食文化が花開くよう、日本の食品メーカーと協力しながらレパートリーを増やすために頑張っています。

—番組『宇宙の奇石』には、実際の宇宙飛行士がご出演されていますが、若田さんとも親交のある方々だそうですね。

若田:番組には8人の宇宙飛行士が登場していますけども、まだ宇宙飛行士の候補生の時から同じ釜の飯を食べながら訓練してきた人たちなんですよ。みんな、地球を見たときに感じたことや、壮大なスケールの地球の営みを、それぞれの言葉で語っていますが、「まさに!」という表現でしたね。番組ではテーマ別にわかりやすく地球の営みについて紹介しているのですが、わたくし自身は「珪藻類(けいそうるい)」が、全地球レベルで生命体の呼吸に必要だという認識は強く持っていなかったので、そういう部分は観ていて驚きもありましたね。

—番組の映像は非常に美しいですが、実際に宇宙で見た景色と比べていかがですか?

若田:映像がよりキレイだと思います。番組内で宇宙飛行士たちも言っていましたけど、大気層がどれだけ薄いかがわかる映像は、すごくリアルでした。陽が昇るシーンだとか、その非常に薄い大気層で我々生命体が優しく守られているようすが、そのまま表現されていたように思います。あと、爆発的にプランクトンが発生している海は、宇宙から見るとその部分の色が違うんですね。この光景は宇宙から何度も見てきましたけども、番組でもきちんとキレイな色で捉えられていて、これは宇宙から見た時と同じ映像でした。全編を通して、映像は宇宙に行った時の光景を思い出させるような素晴らしいものだと思います。

—宇宙から帰ってきて、地球の見方が変わったところはありますか?

若田:資源は有限であり、我々が消費しているものが、実はものすごく貴重なものであるということですね。宇宙の環境では、「空気」や「水」を再生することが、すごく難しい。空気そのものは、タダですよね?でも、吐いた二酸化炭素を取り除いてまた新たな酸素を供給することや、汗とか尿から水を再生する技術は、宇宙船ではかなり大掛かりなシステムとなって、莫大な電力も消費するのでコストもかかります。日本を含め、各国がしのぎを削って再生技術の開発を行っていますが、宇宙では日常私たちがタダで享受している「水」「酸素」が、いかに貴重なのかを感じます。その意識を多くの人と共有することが重要だと思いますね。

それから、映像でもわかる通り、昼と夜では地球の表情がまったく違うんです。福岡の夜景もそうでしたが、夜は日本列島全体が明るいエネルギーを散りばめたような景色になり、北半休はとくにそういう国が多いですね。夜の地球を眺めていると、人間の科学技術の力強さを感じると同時に、一方でここまで莫大なエネルギーを消費する必要があるのかも考えます。我々JAXAは、人間が地球の外に行くための活動も行なっていますが、逆に地球環境を守るために、降水量や温室ガスなどの環境をモニターする人工衛星をたくさん打ち上げています。宇宙から小さい地球を見て感じることですが、地球を守り、人間の活力供給をいただくという任務は、世界の人たちと協力して取り組んでいかなきゃいけないと思います。

―地球単位で考えることは一見スケールが大きいように思いますが、私たちの暮らしに直結した部分ですね。

若田:私は前回、半年ちょっと宇宙に行っていたんですけど、その間地球を3000周くらいしているんですよ。1日16回って、すごいですよね(笑)。でも、いかに我々の地球が小さいものかがわかると思います。今のところ、酸素濃度が20.95%に保たれていますが、やっぱり何か異変が起きればそのバランスが崩れてしまう。ですから我々が与えられている環境というものを、きちんと守っていくことが、宇宙へと拡大と同じくらい、人類に課された義務だと感じます。

 【TV】

「宇宙の奇石」二カ国語版、字幕版

私たちが住む地球とは、いったいどんな惑星なのか?溶岩が噴出し続ける場所があれば、氷点下で暮らす人もいる。標高8,000メートルの山があれば、水深8,000メートルの海もある。とても美しく、そして少し奇妙なこの地球は、数え切れないほどの奇跡でできている。映像表現に定評のあるダーレン・アロノフスキーと番組ホストのウィル・スミスが贈る、地球の神秘に迫るドキュメンタリー。

 

ドキュメンタリー専門チャンネル
『ナショナル ジオグラフィック』にてオンエア中
※「スカパー! 」、「J:COM」、「dTVチャンネル」、「hulu」などでご覧になれます

7/7  12:00「移住 (原題:Escape)」 [二]

7/8  04:00「移住 (原題:Escape)」 [字]

7/8  22:00「生命 (原題:Alien)」 [二]

7/10 21:00「生命 (原題:Alien)」 [字]

※詳細はコチラ http://natgeotv.jp/tv/ 

取材・文:下田 浩之
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