グルメ | 新店舗オープン

名店で研鑽し、自身のスタイルを開花。気鋭の職人が手がける鮨の新星

2018年06月25日 12:00 by 森 絵里花

5月28日(月)、けやき通りと桜坂を繋ぐ閑静な通りの一角に、鮨の新星が誕生。表には『鮨 唐島』と、凛々しい表札が一つ掲げられています。

石畳の細いアプローチを抜け、店内へ。空間がゆったりと取られたフロアは、モダンで洗練された雰囲気。パリッと清潔感のある8席のカウンターと凛然とした佇まいの店主・唐島 裕さんが迎えてくれました。

幼い頃から鮨が大好きで、将来は必ず自身の店を持ちたいと夢抱いていた唐島さん。「料理の基礎からきっちりと学びたい」との思いで、最初の修業店はあえて鮨ではなく日本料理の店を選び、18歳からこの道へ。大阪の割烹「作一」や神戸の「紀茂登」、福岡の「鮨 安吉」など、名だたる名店で研鑽し、この度独立を果たしました。

若干30歳という若さながら、その技術とセンス、こだわりは並大抵のものではありません。10〜12種のつまみと13貫前後の握りを供する夜のおまかせコース16,000円(税別)で勝負。

店の味を伝えるべく、夜のコースは旬魚の潮汁の茶碗蒸しからはじまります。この日用いたのは鯛の潮汁。卵は産地直送で、黄身が白っぽく至極クリアな味わいのものを使用しているそう。固まるギリギリの配合と火入れで作られた茶碗蒸しは、舌にのせた瞬間にとろけて消え、上品で風味豊かな鯛の甘味、旨味だけが余韻に残ります。

茶碗蒸しの後は、珠玉のつまみのオンパレード。用いるのは、自ら漁師や生産者の元へ足を運び出会った素材、見極めた食材の数々です。各地を訪ね歩き、時には漁師と共に船に乗り、海に潜ることも。

「魚は新鮮なだけではダメ。神経抜きや血抜きなど、獲った直後の処理でもその味わいは変わる。そのため産地だけではなく、携わっている“人”にもこだわります。その方が魚をどう水揚げして、どのように処理しているのかを見極め、信頼のおける方から魚をいただいています」。

こちらは、つぶ貝の香草漬け。梅かと思われた赤っぽい果肉はなんとトマト。絶妙な酸味と、香草の爽やかな香り、つぶ貝の小気味良い食感が弾けます。また、つまみと共に合わせるお酒もシャンパーニュやワイン、日本酒など多彩に用意。特に日本酒に力を入れており、冷酒から燗をつけて美味しいものまで、九州を中心に全国各地の銘酒を厳選しています。

つまみとお酒を楽しんだ後は、いよいよ握りのスタートです。写真はマグロの赤身のサク漬け。唐津焼「殿山窯」、矢野直人さんの黒唐津にそっと供された端正な一貫に思わずうっとり。

福岡の鮨の名店に入った唐島さんですが、自身の握りはほぼ独学というから驚き。漬けや昆布締め、時に煮切りの代わりに使う煎り酒など、随所に日本料理の技が活き、自身のセンスが光ります。

シャリには、佐賀県鹿島市の米、赤酢と米酢をブレンドした独自の鮨酢を採用。客人が握りを食べる時間を逆算して米を炊き、目の前でシャリを切ります。出来たてホヤホヤで冷ます前のシャリを、握りの前にほんの少しだけ供することもあるのだとか。これはまるで茶懐石のよう。日本料理で経験を積んだ唐島さんならではのもてなしも楽しみの一つです。

細かやかに包丁を入れた槍烏賊、脂がのった愛媛の鯵、大ぶりな唐津の赤雲丹や出汁に漬けるという車海老など、極上のネタが次々に供されていきます。サシの入ったマグロの大トロは、口に含むとシャリがふわりとほどけ、一気にとろける上質な甘味がたまりません。

コースの締めくくりは、海老や白身のすり身でなく、貝のすり身を使うというこちらの玉子焼き。しっとり焼き上げられた黄金色に、思わず笑みがこぼれます。

『鮨 唐島』は完全予約制。気鋭の職人の技と美味を、ぜひご堪能あれ。

取材・文:森 絵里花
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プレイス情報PLACE

鮨 唐島

住所 福岡市中央区赤坂3丁目1-2 大東ビル2 1F
TEL 092-707-3999
営業時間 18:00〜23:00閉店(完全予約制)
定休日 不定
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