音楽 | まち

Suchmosの新しいアルバムを聴いてたら、 軒先で「サザエ」を焼く美容室を思い出した。

2018年06月19日 21:00 by 下田 浩之

世の中の“重力”から解放。魂から自由な人たち。

学生時代、住んでいた向かいのビルに、プロジェクターで自前の映画を投影し悠々と楽しんでいた友達がいた(もちろん、私ではない…)。当時は「面白い友達」というくらいの感じだったが、今、こうして大人になってみると、あっけらかんというか、あけっぴろげというか、彼の思うがままのふるまいに、「面白い…?いや、何だったんだ?!その自由さは」と、今さらながら思い出して考えてしまう。そういうのって持って生まれた資質であって。真似できるたぐいのものではないからだ。

だから、彼のように誰かの真似じゃなく、ただひたすら純粋に自分のやりたいことを、臆せずやってのける人に強烈な羨望、尊敬の念すら覚える。最近でいえば、自分が通う美容室もそのひとつ。ここもまさに“自由”を絵に描いたような店だ。たとえば、まず、猫がレジを占領している。くらいのことは日常茶飯事で、最強なのはたまに店の軒先でサザエを焼いている。もちろん営業時間内にだ。

ところが、長年の客にとってはそれさえ特別な風景でもなく、そこにあるいつもの‘絵’くらいの感覚らしく、その状況をまるごと受け入れ、むしろどこか楽しんでいる感じだ。もっぱら、そういう自分もその空間が心地よく落ち着く。

魅かれる理由はそこにある。周りの評価やら、世間の目やら気にせず、ありのまま、自分の想いのままに、わが道を歩んでいる人たち。素直に感服だ。かっこいい!

Suchmosの一貫された自由なスタンス。
時代に流されず、時代をつくっていくだろう。

さて、Suchmosが新しいアルバムを発売する。2018 NHK サッカーテーマ「VOLT-AGE」や、Honda「VESEL」CMソングとして好評配信中の「808」を含む全7曲を収録したミニアルバムだ。約1年ぶりのリリースとあってファンにはまさに垂涎の一枚!

Suchmosのバンドのかっこよさは一貫されたスタンスにあると思う。ボーカルのYONCEが発する言葉の一つひとつが彼自身であり、曲を聴いても、雑誌のインタビューを読んでも、誰かのもの真似じゃなく、常に彼自身=「自分」が存在しているのがよくわかるのだ。

どんな時も変わらずに、かっこいいと思う音楽を追及するために、昨年設立した自主レーベル「F.C.L.S」、FIRST CHOICE LAST STANCE=初志貫徹というキーワードにもそのブレのなさが表れていて気持ちいいほどだ。その視点で今回のアルバムをあらためて聴いてみると、大切な家族、世の中への提言など、Suchmosが大切にしていること、今感じていることが嘘偽りなく透けて見えてくる。これからも増え続ける夢を叶えていくために、ありのまま自分の道を歩み続ける彼らのスタンス、かっこよすぎないか。

 

で、思い出した。

隣人の壁で映画を楽しむ友人、軒先でサザエを焼いては客を喜ばす美容室のスタッフたち。彼らの野太い生き方に魅かれた、真の理由。それはきっと、世の中の“重力”から自らを解放し、魂レベルで自由を謳歌する人たちだってこと。

そんな彼らは、私の近くにいる。

 

スタジアム級ミッドテンポロックナンバーから、
スウィートなラブ・バラードまで、世界を目指す全方位ヘキサゴンアルバム「THE ASHTRAY」

2018年6月20日ON SALE

取材・文:下田 浩之
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