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2/17(土)公開『サニー/32』白石和彌監督&北原里英(NGT48)インタビュー

2018年02月20日 21:00 by 筒井あや

映画「凶悪」でブレイクし、「彼女がその名を知らない鳥たち」(17)、そして本作を挟んで「孤狼の血」(18年5月12日公開)と快進撃を続ける白石和彌監督。今春、人気アイドルグループ「NGT48」から卒業することを発表した北原里英を主演に、「凶悪」の監督、スタッフ、キャストが結集した最新作「サニー/32」。本作でメガホンを取った白石和彌監督と主演の北原里英にインタビュー

——『サニー/32』というタイトルについて

白石和彌監督:脚本の高橋さんがその語呂が気に入っていて、提案を受けたのですが僕もいいなと思いました。佐世保の小学生の事件がネバダ事件となっていて、それは着ていたパーカーに「NEVADA」と書いてあったから、そう呼ばれたんですけど、そういう感じが欲しいなと。なぜ右手が3で左手が2だというのも、不思議な感じがあっていいなと。そのキャッチーさを優先しただけなので、そんなに深い意味はないんです。

——現代の歪んだ狂気のようなものを感じましたが、脚本を作られる段階でなにか意図していることがあったら教えてください。

白石和彌監督:「ネバダ事件」はとても凄惨な事件なんですけど、それ以降のネットでの持ち上げ方とか、今に至るまで書き込みがあったりとか、二十歳の誕生日おめでとうみたいな時にまた盛り上がったりとか、やはりちょっと歪んでいると思うんです。その歪みは、誰かが一度覗いて、表にさらけ出さないと何も伝わらないだろうなというのは、題材を選んだ時から表現したいと思っていたことのひとつです。小学生が事件を起こして、その後の親たちの物語にするというアイディアもあったんですけど、ネットの状況を描いていくんだったら、14年後の彼女たちの物語にした方が、色んな事が伝わるだろうと思いました。他にもインターネットの問題や、それとインターネットが普及してからの現代人間はコミュニケーションの取り方が以前とは明らかに変わっていて、その付き合い方がすごく難しいと思っていました。もちろん普通の人付き合いもそうなんですが、SNSやインターネットの中での付き合いって、顔も見えないから本当に難しいんです。もちろんアイドル映画なので北原さんを一番良く撮るということも重要ですし、ただ、そういう奥深さを入れておいた方が映画としての厚みがでるだろうなと思って作りました。

——北原里英さんは今回主演で、ましてや念願の白石組。藤井赤理という役を演じる際に監督とどのような相談をされましたか?またどういう女性だと理解して演じられたのでしょう?

北原里英:脚本を読んだ段階で、自分に出来るのかすごく不安だったので、撮影に入る前に監督にお会いした時に、あまりお芝居の経験もないし、映画の現場にも慣れていないので、役作りも含め何か準備していくことがありますか?と伺ったら「そのまま来てもらえればいいです。ただちょっと寒いので、寒さには慣れておいてください」という感じだったので、自分の中で藤井赤理を作って現場に入ったというよりは、意気込みだけ持って現場に入りました。

——白石監督の映画のどういったところが好きですか?

北原里英:明るいキラキラした青春映画よりも、全体的に暗いトーンの重たい映画が好きで、「凶悪」を見た時に、おもしろすぎて衝撃を受けました。トラウマになりそうなシーンもたくさんありましたが、圧倒されてすごい映画だと思いました。それで「凶悪」のような映画に出たいと言ったのが、この映画の始まりでした。改めて色んな作品を拝見すると白石監督の作品は、人間味が溢れている作品だと思いました。ただの悪人として描くのではなく、その中に人間だからこその姿が描かれているところなど、人を魅力的に撮る監督さんだなと思って、とても好きです。

白石和彌監督:「凶悪」を観て、オファーをいただいたわけですから、キラキラした映画は撮れないですよね(笑)。だから僕なりのアイドル映画で撮ろうと思いました。この作品は、北原さんと一緒でないと生まれない映画だったので、いい出会いができたと思います。

——藤井赤理の役を演じる上で、自分から赤理に切り替わる瞬間みたいなものを感じましたか?

北原里英:「キタコレ!」シーンの日は、自分の人生の中で一番集中力が高かったと思います。撮影が終わった瞬間に、ブチって集中力が切れる音が自分の中でしたくらいでした。実際にその日を境に、自分自身も変わったと思いますし、今回はほぼ順撮りで撮っていただいたので、お芝居をしやすい流れを作っていただけたのも大きかったかもしれません。人間って小さなきっかけで変わっていくんだなというのをリアルに体感する日々でした。

——追い込まれていって覚醒するシーンは、どのように演じられたのでしょう?

北原里英:最初に脚本を読んだ時に、一番不安だったのはそのシーンでした。そのシーンだけは一日だけ練習する日を作っていただいて、助監督さんといっしょに稽古をやったのですが、その段階でもまったく想像がつかず解りませんでした。でも撮影に入って、何日間もみんなといっしょに過ごして、やられっぱなしの日々が続くと、自然とそういうシチュエーションになった時に、それまで理解できていなかったことが解るようになっていて、出来るようになっていました。周りの環境やキャストさんスタッフさんと過ごした日々に、助けていただきあのシーンが完成したなと感じています。

——北原さんはこの役を経て、女優として次はどんな役をやってみたいとかありますか?

北原里英:今回は、白石監督にものすごく辛い環境を用意していただいたので、この先、何があってもそこまで辛く感じないのではないかなと思います(笑)。それに撮影する環境にも助けてもらって出来たとも思っています。でも今後女優をやっていくには、普通の女の子もやれなくてはと思うんです。特殊な環境だからできたのだ、と思われないように、普通の女の子の役を演じられるようになりたいと思います。

——最後にこれから映画をご覧になる方に一言お願いします。

白石和彌監督:藤井赤理のハチャメチャな冒険物語でありエンターテイメントに仕上がったと。ベースには未成年の犯罪事件というのがあり、そういうことも含めて社会が歪んでいると思うんです。そういう人が例えば近くにいたら?自分の娘がある日そうなったら?そこで僕に何か出来ることがあるのかな?と、この映画を撮りながら考えていました。それは主題歌にも込めましたし、北原さんに僕が思っていることを全部背負ってもらって、藤井赤理として、演じていただきました。そのメッセージを、少しでも感じていただけたら、より楽しく映画を観ていただけると思います。

北原里英:ネット社会に生きている人たちに、ぜひ観ていただいて、ネットでは超えられない人と人との体温のあるぶつかり合い、みたいなものを感じてもらえたらうれしいなと思います。

 

『サニー/32』絶賛公開中!

 

取材・文:筒井あや
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