ひと

TENJIN TO IRO【vol.21】大名紺屋町商店街の和菓子屋さん

2017年12月24日 08:00

●家族3人で優しく包む あずき色のふるさとの味

かつては城下町として栄えた大名の真ん中に位置する大名紺屋町商店街。アパレルショップや飲食店など話題の店が立ち並ぶ一方、老舗の商店も変わらずそこに存在する。その代表格とも言える商店街の顔が、和菓子店「駒屋」だ。その歴史は昭和6年に遡り、創業時の看板も健在。現在は二代目・小島栄次郎さんと次男・良平さんが引き継ぎ、栄次郎さんの奥さま、久美子さんが店頭に立ち、家族3人で店を守っている。

「駒屋」と言えば、名物の豆大福。ふっくら柔らかな餅に豊かな風味の餡。そしてほんのり塩気のあるエンドウ豆がアクセントだ。「うちは餡で勝負しているからね」と栄次郎さんが言うように、北海道産の小豆を丁寧に炊いた舌触りなめらかな餡にファンは多い。近所に勤める美容師さんが朝ごはん代わりに買っていったり、手土産にまとめ買いする人もいれば、通りすがりの人が一個をその場でパクリ。次々と、小さな大福が手渡されていく。「先代がね、ありふれたものでいいんだ、といつも言っていたんです。良い素材で丁寧に作る。ただそれだけですよ」と栄次郎さん。素朴な味わいは、この街の味としてしっかりと根付いている。

久美子さんは和菓子を売りながら、時には客と昔話に花を咲かせる。久々に福岡に帰郷した人が「駒屋」を見て足を止め、天神での想い出を懐かしむのだ。「年末やお盆に、まずはうちに寄ってから実家に帰るというお客さんもいますよ」と久美子さんは目を細める。福岡から離れた人にとっても、ここには変わらぬ故郷の味。ありふれたものでも、ここだけの味わいなのだ。

日暮れが近づいた時、前を通る小学生が大きな声で「ただいま」と挨拶した。近所に住む子が、必ず行きと帰りに挨拶するそうだ。繁華街の中心で、こんなシーンが見られるのは「駒屋」が存在するからこそ。「ほのぼのするでしょう」と小学生を見送る姿に地域への愛を感じた。

家族で守り続けてきた和菓子の深い小豆色は、誰をも優しい気持ちにさせてくれる。賑やかな大名紺屋町商店街のふるさととしての顔を垣間見て、大福の味が一層味わい深く感じられた。今年は「駒屋」の大福を持って師走の挨拶めぐり。感謝の気持ちがきっと伝わるだろう。



昭和46年から先代とともに和菓子を作り続けてきた「駒屋」店主の小島栄次郎さん。良質な素材で添加物を使用しない素朴な和菓子が自慢だ。次男の良平さんも加わって、久美子さんと3人で店を切り盛りしている。



東京で修業をして戻ってきた良平さんと阿吽の呼吸で作業をする栄次郎さん。時折、久美子さんも売り場から顔出す。アットホームな店の雰囲気も魅力のひとつだ。



創業時の看板が歴史を感じさせる。パン屋として営業していたこともあるそうだ。「種類は少ないけれど、小豆の美味しさを大切に、とにかく餡で勝負!」と栄次郎さん。朝の6時半から仕込みを行い、作り置きしないのが信条だ。



だたいま「みたらし団子」(110円)を仕込み中。分担作業で手際よく、あっという間に団子が積み上げられていく。もち米と大納言を使った赤飯も人気の一品だ。お祝い用の誕生餅も販売。


1日に300個売れる日もあるという「豆大福」を筆頭に、「おはぎ」や「さくら餅」(各120円)など、素朴な和菓子がショーケースに並ぶ。冬になると登場する「いちご大福」を楽しみにする客も多い。


大名紺屋町商店街で長く営業を続けてきた老舗の和菓子店。老若男女、様々な世代が買いに来る。最近は海外からの客も増え、和の味を楽しんでいるそう。

 

【TENJIN TO IRO】
西鉄天神委員会プレゼンツ「TENJIN TO IRO」は、天神を鮮やかに彩っている人々を取材し、毎回その人となりを表すキーカラーをテーマに、天神のカラフルな魅力を再発見する企画です。

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プレイス情報PLACE

餅・饅頭・赤飯 駒屋(こまや)

住所 福岡市中央区大名1丁目11−25
TEL 092-741-6488
営業時間 8:30~18:00(売り切れ次第閉店)
定休日 日祝日
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