グルメ | 新店舗オープン

大阪の超人気店「(食)ましか」の2号店がなんと福岡に!?

2017年10月23日 08:00 by 山田 祐一郎

そのお店の存在を初めて知った時、度肝を抜かされました。昼間はタバコ屋なのですが、夜になると一転、イタリアンを軸にしつつも多様な料理を取揃える“居酒屋風イタリアン”に早変わり。入口にあるタバコ屋の奥に、連日満席の大人気酒場の景色が広がります。
その店の名前は「(食)ましか」。いつかは行ってみたい。実際に大阪のお店は満席という理由で2度振られ、次の来店の機会を窺っていました。ところが、です。なんと、向こうからやって来てくれたではありませんか。2017年9月、「(食)ましか」の福岡店が警固にオープンしました。


新しく開業した「(食)ましか 福岡本店」に着くと、窓の外の脇に「居酒屋風ワインバー」と書かれた小さな看板がありました。まさに言い得て妙。食事をひと通り終え、帰路に着く際、このフレーズが単にキャッチーな響きを持った飾り言葉などではなく、事実をクリティカルに表現した骨太なキャッチコピーであることを思い知ります。


店主・今尾真佐一さんは関西でもいち早くヴァン ナチュール(自然派ワイン)を取り扱った酒屋「小松屋」に11年勤め、その後、「(食)ましか」を立ち上げました。そんな背景もあり、この福岡本店においても「居酒屋風ワインバー」と謳ってあるように、自然派ワインが気軽に楽しめる店づくりがなされています。


店内に広がると中央が厨房、そしてぐるりと囲むようにコの字型のカウンターが用意されていました。実際に座ってみると、キッチンとの距離が近く、例えば、料理を食べていてちょっと気になった「〜〜って何を使っているんですか?」といったようなことも、気軽に聞くことができます。福岡で、このコの字型スタイルで真っ先に思い浮かぶのが「屋台」。隣り合ったお客さん、そして厨房の中の料理人、これらの掛け合いによって生まれるグルーブ感を享受できるのは、福岡っ子としても嬉しい限り。


店の奥に鎮座するのが、ヴァン ナチュールがほぼ全てを占めるウォークインタイプのワインセラー。シニアワインソムリエの資格を持つ今尾さんが選び抜いた約100銘柄がストックされています。そのラインナップはその都度、入れ替えつつ、常に新しい味、そして飲み頃になった銘柄についても提案していきたいということでした。グラスは500円から、ボトルは3,000円台から幅広く揃っています。
それにしても大きなセラー。カウンターのみの店の規模からすると結構大きめだと思っていたら、「実は、お隣さんと共有なんですよ、このセラー」と教えてくれた今尾さん。お隣とは、福岡の炉端焼きブームを牽引したといっても過言ではない「炉端 百式」の2号店「めしや コヤマパーキング」のことで、コヤマパーキングで提供されるワインも、このセラーの中にストックされています。

「大阪の店が軌道に乗って、いよいよ次に店をどこに出そうかなと考えていて、その候補地の一つに福岡もあんたんですよ。福岡はなんか大阪と似ているような賑わいや空気感があって、肌に合いましてね。それで福岡ええなあと思っていた際、百式の大将から『お隣、どうです?』いうお誘いを受けて。そんなご縁があって、こうやって店が出せたんです」。

まさに人気店同士の夢のタッグ。今尾さんは「もちろん、店の繁盛は考えていかないといけないが」と前置きしつつ、それよりも、この2店舗のある路地裏を、そして近隣の通りを、最終的には地域や街を元気にしたいという思いを語ってくれました。


料理は大阪店で用意しているメニューの中から、特に好評を博している品々をセレクトし、厳選した形で取り揃えています。現在は福岡店がオープンしたばかりということもありますが、これから徐々に品揃えを強化していくそうです。
驚くべきは、その価格。下は200円からと、かなりリーズナブル。もちろん1,000円を超えるメニューもありますが、その値段はイコール原材料費の分であり、質の高さに比べ、価格はぐぐっと抑えてあります。
「客席をコの字型にしたのも少人数で店が回せるように考えてのことなんです。人件費を極力削り、お客さんに“発注”という形でそれぞれでオーダーを記入してもらい、そんな工夫を盛り込みつつ、値段はなるべく安く、というのがぼくの方針です」と今尾さんは笑顔を見せます。
写真上は「おかんのメンチカツ」で200円。低価格ながら、中身はギュギュッと肉が詰まっていて、食べごたえ十分。カリッとした食感の衣が軽快な食のリズムを生み出します。


入口そばのカウンターの目の前には、ショーケースに「ポテトサラダ」(300円)などのクイックメニューがずらりと並んでいました。これらもオーダーすればすぐに楽しめる一品であり、大阪でもリピーターが相次ぐそうです。席に座り、すぐに一杯、始められると、勢いづくもの。今尾さんはそういう酒飲みの心情を巧みにくすぐってきます。


こちらは「軽く燻製したもち豚のパテ」で800円。この巨大さを知っていれば、頼まずにはいられません。脂の甘み、コリっとした豚肉、カリッと弾けるピスタチオの食感がクセになります。燻した香りも食欲を刺激。脇に添えてあるのは、もろみにカラシ粉を加えて発酵を止めた山形県の調味料「あけがらし」。これをつけながら、ちびちびと食べれば、ワインがどんどん進むこと請け合いです。


締めには「トリュフのタヤリン あさりのバタークリームソース」(1,800円)を。トリュフ、チーズ、そしてアサリのよる香りの三重奏をひと嗅ぎすると、もうそのままドンストップ。濃密なクリームソースはトリュフの上品なコクを色鮮やかに伝えながらも、根底を支えるアサリによる出汁が根底を支え、濃厚なのに、すいすいと食べ進められてしまいます。このとろりとしたソースを絡め取るのがタヤリン。タヤリンとはタリオリーニ(卵を使って打つ平たい形状のロングパスタ)の中でも少し細めの形状のもので、ギリギリまで加水率を下げ、むっちりと仕上げたというこのパスタが、力強いソースと真っ向からぶつかり合い、がっしり握手をし、他にない味わいへと昇華。これを食べずして「ましか」を語ることなかれ、と言わしめる名物パスタの実力に酔いしれました。

ヴァン ナチュールを存分に満喫し、質良し、価格良しのメニューが勢揃いという、文句なしのスタイル。大阪店のように連日大賑わいの光景が続く日も遠くはなさそうです。

取材・文:山田 祐一郎
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プレイス情報PLACE

(食)ましか 福岡本店

住所 福岡市中央区警固1丁目6-4 KENT-KEGO-B
TEL 070-5344-4455
営業時間 17:00〜翌1:00
定休日 不定
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