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蒼井優×阿部サダヲW主演映画『かの鳥』白石和彌監督インタビュー

2017年10月21日 08:00 by 筒井あや

10月28日(土)に公開となる、蒼井優×阿部サダヲW主演映画『彼女がその名を知らない鳥たち』。本作は沼田まほかる原作の同名ミステリー小説を白石和彌監督が実写映画化した作品。
これまで『凶悪』や『日本で一番悪い奴ら』などの話題作を手掛けてきた白石監督の最新作は、これまにないミステリータッチで、さらに自身初の女性が主演の作品。作品に掛ける想いや撮影秘話を聞かせてくれました。

――原作を読まれての印象はいかがでしたか?

第一印象は、このラストはないなと思いました(笑)。ただ、読んでいてしんどいのが、ずっと続いて、最後に色々解ったときに、180度物語の見え方が変わってくる。この展開は素晴らしいから、映画にする時は、新たに斬新なラストを見つけ出そうと思ったんです。とはいえ、何日考えても、いいラストが思い浮かばない。読み直しているうちに、やっぱりこのラスト(原作のまま)しかありえない構成での物語になっているんだと気づいたんです。その時点で僕自身が原作にとりつかれてしまっていたんです。だとしたら、できるだけ映画の印象も原作を読んだ感じのまま、そして僕が戸惑った部分も、そのまま素直に出せれば、映画の読後感に繋がっていくんじゃないかと思いました。

――十和子役が蒼井優さんというのが原作を読んだ時点では想像がつかなかったのですが、蒼井優さんにお願いした理由はどういったところだったのでしょう?

十和子がなんとなく、水島や黒崎にふわっと気持ちが持って行かれてしまっている部分も大きいのですが、逆に言うと、十和子にも彼らがつい惹かれてしまう要素がないといけない。そもそも、陣治がなぜ一目惚れしたのかな?という部分も絶対的に必要なんです。2人が秘密を共有してから離れられない関係になるのはよくわかるんですけど、そこまでは何に惹かれているんだろう?と。
それって僕らの実生活の中でも同じで、どうして惹かれるのか説明がつかないことってたくさんありますよね。それを蒼井優という女優の存在感や、美しさが、もしかしたら説得力になるんじゃないか、というのは、僕の中で計算がありました。蒼井優さんも、30代を迎えてさらに飛躍していく、その節目にふさわしい題材を彼女自身が欲している感じがあるんじゃないかと。それくらい彼女にとって、この作品はチャレンジになると思ったんです。そういう色んなことを考えつつ、お願いしました。

――陣治役の阿部サダヲさんについてはいかがですか?

実は、僕は陣治に一番感情移入していたんです。共感という部分と、こんなに誰かを一途に想えることへの憧れ、自分の命に換えてでも無償の愛を提供できる、そういう憧れや共感する部分が多かったので、それは素直にお伝えしました。阿部さんは、最大限に僕がやりたいと思っていることに、限りなく100%に近づけてくれるよう、ただただ努力してくださる方でした。本当にすごい俳優さんです。
オファーをしてから撮影するまでに、1年くらい時間がかかったのですが、その1年間僕は陣治のことをずっと考えていたわけです。最初に阿部さんにお目にかかった時には、“やっと陣治に会えた”という気持ちになったくらいです。

――この作品を撮ったことで監督ご自身が新たに感じたことや気づいたことはありましたか?

これは蒼井優さんのお陰なんですけど、ちゃんと女性を撮れるんだと思ったし、自信にもなりました。僕はこの作品は美しい映画だと思っているんです。これまでの作品では人間のドロドロした部分を表現することが多かったし、決して美しい映画ではなかった。もちろんこの作品も人間の泥臭さはありますが、二人(十和子と陣治)で重大な秘密を抱えた瞬間、幸せが始まるというシチュエーションは、とても美しいと思ったし、こんな美しい映画を撮ることができた自分にも本当にビックリしました。
他にも色んな意味で僕の中の大きな扉を開いてくれたような気がしています。今後、映画が公開して、感想を聞いたりすることで、再び僕にたくさんのことをもたらしてくれるだろうと、予想があるんです。それが楽しみですね。

 

『彼女がその名を知らない鳥たち』(R15+)は、10月28日(土)T・ジョイ博多他にて全国ロードショー。

取材・文:筒井あや
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