グルメ | 新店舗オープン

ストーリーのある食材が集う炉端焼の店が大名にオープン

2017年10月10日 08:00 by 山田 祐一郎


本日の干物と書かれたメニューを指差して「今日は特大のにしんの開きがおすすめですよ。このにしん、北海道の札幌のご夫妻から送ってもらったもので、脂がのって・・・」と爽やかな笑顔で素材について説明してくれたのは店主・糸永 康宏さん。ほほうと感心していると、「飲み物だったら今日は岩魚(いわな)の骨酒を合わせるのはどうですか。このお酒はひょんなことで名古屋に立ち寄った際、教えてもらったお酒なんです。岩魚を店でゆっくり炭で素焼きにした『焼き枯らし』を熱燗に入れていただくんですが、これが本当に美味しくって」と続けます。


この骨酒は、純粋に骨だけが入った器に熱燗を注ぐものもありますが、写真のように身がついた状態で楽しむ地域もあるそうです。熱々を注いだ瞬間に、湯気とともに立ち上るなんとも香ばしい匂い。もちろん、純粋にこの骨酒を飲んでも美味しいと思うのですが、こうやって飲み方やストーリーをちょっと添えてもらうだけで、グンと味が増すものです。糸永さんは「これが自分がやりたかったことなんです」と笑みを見せます。


9月13日(水)にオープンした「永(なが)らく」は、今や福岡を代表する人気酒場となった「炉端 雷橋」の立ち上げから右腕としてその屋台骨を支えてきた糸永さんが独立し、新たに開業した炉端焼の店です。場所は大名の大正通り側。通りから一歩奥まった、知らないと気がつかない奥まった立地です。


「この店を立ち上げる際、最初に考えたのが、奥の小上がりスペースなんです」と言う糸永さん(写真上)。この小上がりは、カウンター席の延長にあり、掘りごたつ式になっています。そしてそのスペースは後ろにたっぷりと余裕があり、子供連れにも利用しやすい造りになっていました。


「雷橋がオープンして7年半くらい経って、常連さんだった方々に家庭ができ、子供が生まれ、そのような状態になるとなかなか飲みに行けないという話をよく耳にしていました。それで、ぼくがやるお店は、そんな小さなお子様連れでも気兼ねなく立ち寄れる場所にしたかったんです」。
もちろん、カウンター席は雷橋スタイルで、大人がゆったり食事ができます。ちなみに小上がりは電話予約OK。


冒頭でおすすめしてもらった「特大のにしんの開き」(写真上)をはじめ、本日の干物は300円から。本日の野菜は季節変わりで、一律200円です。お得な野菜盛りは1人前600円、2人前1,000円で、2人前以上は人数×500円という料金設定になっています。


とりもも、せせり、つくね、やげんなんこつ、砂肝、ぼんじりといった鶏盛りは1人前500円(写真上・イメージ)。鶏肉は卵入りの特製酢醤油タレにつけて味わいます。表面はカリッと、一度、歯が入るとその奥にはふっくらとしった食感がお待ちかね。噛みしめるほどに肉汁が溢れ、顎が肉のエキスを求めて止まりません。

野菜や干物、肉を焼いている間は、料理人がそれぞれの焼き台に付き、その加減をじっくり観察しつつ、お客さんの食べるペースに合わせ、仕上げていきます。
糸永さんは「元々、洋食出身なんです。ただ、経験を積んでいくうちに、考えも、そして食材に求めるものも、どんどんシンプルになっていきました。そのタイミングで雷橋の立ち上げに声を掛けてもらえ、これが自分の求めていたスタイルだと運命的なものを感じたんです。焼き場は本当に奥が深い。食材の大きさや切り方、仕上げたいイメージによって、火加減、火の通し方は全て異なってきます。だから、一つとして同じようには焼けないんです。自分においてもまだまだ一人前だと思っていません」と言葉に力を込めます。焼き加減で食材の味はガラリと変わる。そのことを知ってほしいのだと続けました。


食材の魅力をシンプルかつ、最大限に生かすという炉端焼。そのため、食材そのものの質が重要になってきます。糸永さんは自身の食材選びのキーワードを「ストーリー」と表現しました。自身が自ら足を運び、感動し、驚き、誰かにその感動を伝えたいものを、メニューに取り入れています。

「例えば、にしん、骨酒のように、ぼく自身が知らなかった美味が、日本にはまだまだたくさんあります。それを伝えたいんです。旅に出て、食材と出会い、それを福岡のこの店で表現する。そのために店を続けていきたいと思っています」。


アルコールには自然派ワイン、日本酒など、糸永さんが惚れたものを取り揃えています。イチオシは、瀬戸内産のワックスを使用しない生レモンを凍らせ、氷代わりにしたチューハイ(600円)です。このレモンも広島に旅行へ出掛けた際に出会った食材の一つ。レモンが溶け出し、果汁が滲み広がっていくのが特徴で、氷状のレモンを最後まで堪能できるよう、中身のお替わり(300円)ができる仕組みになっています。ツワモノはこれで4杯、5杯とレモン酎ハイを格安で満喫しているそう。

全てにストーリーが詰まった食材たち。それらが記されたメニューは糸永さんの旅の記録とも言える気がしました。これからどんな記録が上書きされていくのか楽しみです。

※価格は全て税別

取材・文:山田 祐一郎
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