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「パトリオット・デイ」“悲劇”を“希望”の物語として描く高潔さ

2017年06月13日 15:00 by 三好剛平

話題の新作映画を天神サイトライターが鑑賞しご紹介していく不定期連載コーナーがスタート。
第一回目に取り上げる作品は『パトリオット・デイ』。
紹介するのはシティリビング誌「三好剛平の BEST DVD」コラム連載をはじめ映画関係の執筆も手がける三好剛平氏です。

■『パトリオット・デイ』(2016年/アメリカ/2時間13分)
【監督】ピーター・バーグ
【出演】マーク・ウォルバーグ、ケヴィン・ベーコン
【会場】ユナイテッド・シネマ・キャナルシティ13 ほか
【期間】 公開中
【URL】 http://www.patriotsday.jp/

本作は2013年4月15日マサチューセッツ州ボストンの街で起きた、「愛国者の日(Patriot’s Day)」の恒例行事=ボストンマラソンを標的に実行された無差別爆弾テロ、その発生から逮捕までの緊迫の102時間を描く「実話に基づく」作品で、監督は本作を含むここ近作3作で(「ローンサバイバー」「バーニングオーシャン」)いずれも“市井の、名もなき英雄たち”を描いてきた「実話映画」の名手、ピーター・バーグです。

現実のニュース映像なども織り交ぜながら息つく暇を与えぬほどの緊迫感を張り詰め一気呵成に描き切る圧倒的な演出力だけでも必見の一本ですが、本作で何より素晴らしいのはこのーー3人の死者と264人もの負傷者を出した、許されざるーーテロという「悲劇」をめぐる物語を、それでもなお「希望」の物語として描ききる点にあります。

作品を冒頭から見ていけばおそらく誰もが、僕らに毎日巡ってくる新しい「今日」が実はあらゆる明るい未来や希望に(ほとんど無限に)開かれていることを再確認すると同時に、「テロ」という蛮行がそれらをいとも簡単かつ無差別に奪うことに、たまらないやり切れなさと悲しさを覚えるはずです。果たしてその無力感と不条理、絶望とどう向き合うかーーを映画は教えます。

それは絶望に「屈しない」という精神の高潔さではないか。未曾有の悲劇を前にしてなお悲嘆にくれず「それでも自分たちはより良い未来を選び取ることができる」と信じ/そう振舞い抜く気高さではないか。そしてそれこそ人類が持ち得る真の知性であり勇気ではないか、と。

しかし実際にそんなことが可能なものか!と問われるときには思い出してください、この映画はまさしく現実に起きた「実話」の映画化であることを。
ほかならぬ「映画」というかたちをとって本作は、失われた生命たちへの追悼と、人類が持ち得る最も高潔な「強さ」を描き切ります。

絶対に劇場でご覧になるのがオススメの一本です、ぜひ!

取材・文:三好剛平
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