ひと

TENJIN TO IRO【vol.7】ギャラリー風 オーナー・武田義明さん

2016年10月04日 12:00

●一つひとつの雲を突き動かす空をただよう風の色
FLOWING SKY GRAY

天神ど真ん中の商店街、新天町の北通りに1997年にオープンした貸し画廊がある。オーナーは武田義明さん。父が経営していたレコードショップを引き継ぎ、ギャラリーを開設した。月曜から日曜までの一週間貸しで、ジャンルを特定せずに様々な展示を行っている。「市民のためのギャラリーでありたいと思っています。みんなひとりひとりが芸術家。アートに目覚めるきっかけになれると嬉しいですね」。

「風」と名付けたのは、目には見えない確かな動きに惹かれたからだ。「美術にも生命にも、風は絶対に必要なもの。空に浮かぶ雲も風ひとつで姿を変え、同じ形のものは存在しない。人が芸術を生み出すのも、見えない風に突き動かされているからだと思うんです」。

ギャラリーは3Fフロアで、様々な世代が集う。時には訪れた客と展示物について語り合うことも。「どの作品が好きですか?」「この作品を見てどう感じましたか?」 そんな対話からもアートの風が生まれる。活気あるまちに芸術はなくてはならないものだ。そんな信念から、天神にもっとアートの広がりが必要だと日々感じているという武田さん。自費出版のアートマガジンを発行したり、天神界隈の彫刻や建物、オブジェなどのパブリック作品をまとめた「天神アートマップ」を制作するなど、意欲的に活動している。

さらに武田さんは今年3回目を迎える「天神アートビエンナーレ」を盛り立てる福岡文化連盟の一員でもあり、「ギャラリー風」でもエイブルアートと作家がコラボレートする展示を開催予定だ(10月10日~16日)。

芸術は空間にひとつの価値を与える。武田さん自身がここでたくさんの展示を見てきたからこそ、その力に敬意を表し、期待を持っているのだ。何かを変えなければいけない時、何かを訴えなければいけない時、様々な側面から表現ができるアートの力は無限だ。「天神でもあちこちでアート活動が行われているでしょう。それらが木の根っこのように繋がったとき、まちはずっと面白くなるはずです」。商店街から吹いた無垢なるアートの風、たとえ今は色がなくとも誰かの背中を押す追い風となり、やがて天神を輝かせるひとつの色となる。


自身も芸術大学で映像を学んでいた武田さん。アートの奥底にある可能性や本質を伝える場として画廊をオープンした。



3フロアにわたって展示室がある「ギャラリー風」。取材時は「九州造形短期大学学生選抜展」が開催されており、絵画・写真・デザイン・彫刻・クラフトなど様々なジャンルの作品が展示されていた。



様々な世代が集まる新天町商店街。美術館やギャラリー巡りをするアート好きの客が多いため、他の会場で開催されている展示やイベントのポスター・DMもギャラリー内に置いている。美術関係者が訪れて、DMを持ってきたり、情報交換するなどの交流も多い。



新天町にもアートを発見。開業70周年を祝して昨年、博多の祭りが描かれた壁画がお目見えした。イラストレーターの初瀬義統さんの作品。



2008年に発行したアートマガジン「ARTing」。アート関係者を専門アドバイザーに迎え、福岡の現在進行形のアートを紹介している。



縁を紡ぎながら、たくさんの作家たちと交流を重ね、客も含め、繋がりを少しずつ広げてきた。週ごとに替わる展示を搬入や搬出、告知ツールの制作など細やかなサポートで支えている。



1997年に始動した「ギャラリー風」。開設に取り組む中、東京で行われていた「鎮魂と再生のために・長尾和と二十五人の詩人たち」というタイトルの展覧会で、阪神淡路大震災に関する水彩画と詩の展示を観て、心を揺り動かされたという武田さん。芸術文化が復興の原動力となることに価値を見出し、この展覧会を福岡でも開催できるよう取り組んだ。その時の想いこそ、武田さんがギャラリーを営むことの意味を指す原点だ。


【TENJIN TO IRO】
西鉄天神委員会プレゼンツ「TENJIN TO IRO」は、天神を鮮やかに彩っている人々を取材し、毎回その人となりを表すキーカラーをテーマに、天神のカラフルな魅力を再発見する企画です。

※今回の情報が掲載されている天神マガジン「ep.」はこちらでゲットして ≫
http://tenjinsite.jp/ep/

プレイス情報PLACE

ギャラリー風

住所 福岡市中央区天神2丁目8-136 新天町北通り
TEL 092-711-1510
定休日 なし
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