ひと

TENJIN TO IRO【vol.3】こおのカメラ

2016年06月21日 10:00

●暗室の赤い灯の下で思い出を浮かび上がらせる
PERSON OF MEMORABLE RED

アパレルショップやカフェなどが建ち並ぶ賑やかな天神西通り。ビルとビルの間にひっそりと立つ一軒家では、1955年創業の写真屋が今日も持ち込まれたフィルムやデータを印画紙に現像している。店に立つのは3代目の河野肇さん。この地で育ち、父親が暗室で作業しているのを子どもの頃から見ていた。「移り変わっていく街と一緒に育ってきました。カメラもデジタル化して、店のスタイルも変化。一度は白黒写真の暗室をなくしましたが、昨年暗室も備えたスタジオを設置しました」。

スタジオは店から徒歩3分ほど。国体道路沿いの古ビルの一室をイベントスペースとしても開放している。「以前から場所を借りて妻と一緒に暗室ナイトというワークショップを開催していました。少人数でワインを飲みながら、一枚一枚モノクロ写真を現像するイベントです。今後もたくさんの方に体験してもらいたい」。デジタルでは出せない風合い、フィルムだからこその緊張感、すぐにその場で確認できるデジタルと違い、ゆっくりと浮かび上がってくる像、その時間が今の時代には貴重だ。

もちろんいつでも何枚でも撮影できるデジタルカメラやケータイのカメラも便利。店では鮮やかなデジタルプリントの色や品質にこだわり、パソコンを使ってセルフで出力できるサービスも行っている。けれど写真の価値を再認識するためにも、フィルムの文化は絶対に残していきたいと語る河野さん。「昔は休日明けや運動会など行事の翌日に多くのお客さんがフィルムを持って来られていました。撮りっぱなしでなく、想い出を形にする。写真を撮ることの一歩先に、写真を作るという楽しみがあることを伝えていきたい」。

家族の成長の記録、旅行や結婚式など特別な日を思い起こさせてくれる記憶、それらはまさにプライベートな宝物だ。枚数が限られたフィルムで、色や明るさ、人の表情が想像を越えた意外な一枚に出会えた時の面白さ。その魅力にフィルムへと回帰し、暗室でのイベントに興味を持つ客も増えているそう。暗室の赤い闇の中で河野さんは想い出の一枚が生まれる瞬間を共有し、写真の幅広い可能性を伝えている。

 


写真にまつわるグッズや、地域の人が撮影した天神界隈の年代ものの写真も飾っている。「いつか写真集を作りたい」と河野さん。

 


初代が「薬院・カメラのゴゴー商会」の屋号で開業し、その6年後に「こおのカメラ」に改名。河野さんが継いでからは改装したり、雑貨を置くなど入りやすいナチュラルな雰囲気に。



要望にも応えて色味を整える。顔見知りの客が入院した家族の病室に飾るため、飼い犬の写真を
プリントしに来店。人に元気を与える「写真の力」を改めて感じたそう。その写真は今もレジ横に。

 


2015年11月に設置したスタジオ。暗室ルームもあり、モノクロ写真の現像を体験できるイベント「暗室ナイト」も行っている。

 


常連さんが家族の写真を現像しにやってくる。お饅頭などお土産を持ってきてくれることもしばしば。


【TENJIN TO IRO】
西鉄天神委員会プレゼンツ「TENJIN TO IRO」は、天神を鮮やかに彩っている人々を取材し、毎回その人となりを表すキーカラーをテーマに、天神のカラフルな魅力を再発見する企画です。


※今回の情報が掲載されている天神マガジン「ep.」はこちらでゲットして ≫
http://tenjinsite.jp/ep/

 

プレイス情報PLACE

こおのカメラ

住所 福岡市中央区大名1丁目13−24
TEL 092-741-9056
営業時間 8:30〜20:00 日曜日:11:00〜18:00
定休日 第2・4・5日曜(祝日は営業)
URL http://kono-camera.ciao.jp/
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