舞台

演出家コンペ覇者が、いよいよ福岡で新作公演!したため#4『文字移植』

※このイベントは2016年6月19日(日)をもって終了しました。

2016年05月08日 08:00 by 筒井あや

福岡市文化芸術振興財団が主催する、FFAC企画・創作コンペティション「一つの戯曲からの創作をとおして語ろう」vol.5 の上演審査で最優秀作品賞を受賞した京都の演劇ユニット「したため」が、福岡に初登場。

演劇ユニット「したため」の演出家・和田ながらさんが来福し、新作について語ってくれました。

――創作コンペティションに応募したきっかけは?
和田:
偶然、募集チラシを見かけて手に取ったら、審査員がそうそうたる方々で驚いて。きっと、これから自分が演劇を続けていっても、岡田利規さん、前川知大さん、松井周さんの3人に自分の作品を同時に見てもらうという機会は、ほとんどありえないだろうなと思ったので、上演審査まで進んで彼らに見てもらって、自分の作品について彼らの言葉を聞きたい、と考えたのがきっかけでした。

――その審査員の方々の話で印象に残っていることは?
和田:プレゼン審査の審査会の議事録を読ませていただいたり、あるいは上演審査の公開審査会の中で、重要な指摘をたくさんいただきました。自分の作品への言葉はもちろんですが、他のコンペ参加者の演出に関しての言葉でも自分にフィードバックできることが多くて。特に岡田利規さんは、自分も影響を大きく受けている作家でもあるので、上演審査で岡田さんに看護婦役の俳優が良かったと言っていただいたのは、素直に嬉しかったです。もちろん、評価していただいたところばかりではありませんが、すべてひっくるめて、さまざまな言葉を浴びることができたのは自分にとって貴重な経験になりました。

――新作で「文字移植」という小説を選ばれたのはどうしてですか?
和田:
昨年の10月でこれまでのやり方(既存のテキストをコラージュしたり、出演者の日常生活を切り取って作品にしていた)での作品作りを一旦終わりにしようと思っていました。なんとなく自分の方程式みたいなものもできてきたこともありますし、これから同じ事を続けても、自分が驚けるものは出てこないと思ったので、方法を変えようと思ったんです。
なので、2016年は、すでに誰かが書いた既存のテキストでやってみようと考えていて、色んな作家さんの本を読んだり戯曲を読んだりして悩んだのですが、多和田葉子さんの「文字移植」という作品は何年か前に一度読んでいて、印象深かったんです。それをふと思い出して、もう一度読んでみようと多和田さんの作品をまとめて読んだんです。同じ時代に活動している女性の作家だというのも、大きな要素でした。多作な方なのでたくさん作品があり、それぞれの作品に魅力があるのですが、「文字移植」という作品が最初に多和田さんに出会った小説だったことと、作品の中身と自分の作業に重ねられる部分があるなと思って。
「文字移植」というのは、翻訳家の女性が「わたし」という一人称で語っていく文体の小説なんです。多和田さんは日本語と同時にドイツ語でも創作活動をされていて、複数の言語を行き来して移植するという作業は彼女にとっても重要なテーマなんですね。私にとっても、既に多和田さんが書いた小説というフォーマットのものを自分の演劇というフィールドに移し替えようとしているというか、移植作業をしているなと思って。小説の中で「わたし」が悩みながら翻訳を進めていくのと同じように、私にとっても多和田さんの小説を演劇にすることは、簡単なことではなく、難しい課題です。簡単なことじゃないからこそ、多和田さんの言葉の魅力に自分が演劇という方法で応えてみたいという強い気持ちがありますね。そういう悩みのプロセスを経て多和田さんの「文字移植」にしようと決めました。

――演劇作品として創作する中でなにか気付いた事はありますか?
和田:
この作品の魅力のひとつは、「わたし」の文章には読点がないことです。しかも、多和田さんは意図的に長いセンテンスを複数の場所に置いていて、だから読み始めると簡単に立ち止まれないという身体感覚を覚える。反対に「わたし」が翻訳している部分は、読点だらけで句点がないんです。視覚的にもリズムがあるし、読む時に身体が感じる部分も変わる。演じる側がそれをどう感じるか、そして観る側がどう感じるかというのを、考えながら作っているところです。「文字移植」という小説の文体の魅力を損なう事無く、どこまで伝えられるか、むしろ演者と観客の相乗効果がでるような演出が見つかるといいなと思っています。
「文字移植」の魅力をきちんと伝えられる演出の方法が開発できたらいいなと、今は稽古場でうんうん唸っています。(笑)

――福岡公演は初めてですか?
和田:初めてです。京都以外で公演したことはなかったんです。なので初めてのツアー公演、初めての福岡。初めてづくしなのでちょっと怖いですけど(笑)楽しみですね。観てくれた方がどんな反応をされるのか。

取材・文:筒井あや
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FFAC企画・創作コンペティション 「一つの戯曲からの創作をとおして語ろう」vol.5 最優秀作品賞受賞公演 したため#4『文字移植』 EVENT

期間 2016年6月18日(土)~2016年6月19日(日)
時間 18日(土)14:00・18:00、19日(日)14:00★ ★ポストパフォーマンストーク有 ゲスト/手塚夏子(ダンサー・振付家)、大澤寅雄(文化生態観察)
料金 全席自由
一般 前売2,500円(当日2,800円)
学生 前売1,700円(当日2,000円)
高校生以下 無料
主催者URL http://artlier.jp
http://shitatame.blogspot.jp/
お問い合わせ したため(TEL:070-6927-5835,Mail:sinfo.shitatame@gmail.com)

プレイス情報PLACE

ぽんプラザホール

住所 福岡市博多区祇園町8番3号
TEL 092-262-5027
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