グルメ | 新店舗オープン

美食家注目のシェフの店。静かなる美皿に食材への敬意が表れる

2016年04月26日 12:00 by 木下 貴子

このニュースを心待ちにしていた福岡の美食家もきっと少なくないはずです。実際、「シェフ、今までどこにいたの~」と、噂を聞いて駆け付けるかつての店の常連客もいらっしゃっるそう。「オーグードゥジュール メルヴェイユ博多」のシェフをオープン時から勤め、独立のため1年前から開業準備に入っていた白水鉄平さんが、満を持して4月6日に店を誕生させました。その名も『ローブランシュ』。フランス語で「白い水」を意味します。

↑場所は西中洲の那珂川沿いに新しくできたビルの2階。大きな窓にネオンの光ゆらめく那珂川の夜景が広がります。ナチュラルな白壁に囲まれた落ち着いた内装は、高須学氏によるもの。

 

1年間の準備期間に、共同経営パートナーである佐々木利雄さんとともに、全国の生産者の元を訪れたという白水シェフ。「メルヴェイユ博多」時代からお付き合いのある九州の農家や畜産家などに加え、新たに北海道の畜産料理集団「エレゾ社」、四国の岩城島のレモン農家といったような全国各地の生産者と直でやりとりして食材を仕入れます。「地産地消からさらに一歩進んで、全国によいものを発信したいと思っています。東京などから来られたお客様には九州のいい食材を知っていただき、逆に地元のお客様には全国のよいもの知っていただきたい」という白水シェフ。「流行のような一時的なものではなく、自分の目や足を使いながらいいものを継続して伝えていきたい」と話します。

18時から21時までの料理は、7,344円のコースのみ(席料、ミネラルウォーター代として別途1人540円)。コースは、デザートまで含め7皿ほどで構成されます。取材の際、幾度も、何人もの生産者の方のお名前やその方々の取り組み、姿勢や思いが、白水シェフの口を通して出てきました。それほど生産者に対して厚い信頼と思いを寄せています。ですから、一皿一皿にもその真摯な思いが現れます。「バトンのようなものです。生産者の思いを食材という形で僕が受け取って料理で表現し、サービスの人がまたそれを受け取りお客様へと渡っていく」。もちろんそこには、最後にバトンを受け取る人=お客様に感動していただきたいという気持ちが最終的に込められます。そうして出てくる皿は、フレンチでもなく和食でもない、型にはまらない言うなれば“白水シェフの料理”となって表れるのです。ちなみに、あらかじめ用意されたコース表に並ぶのも、例えば「桜エビ エビイモ」、「海藻 蛤 エンドウマメ ミント」というふうに、料理名ではなく食材の名前。ここからも生産者への敬意がうかがえます。

↑7 , 344円のコースの一例。メニュー表には「甘鯛 タケノコ 八女茶」の文字。ウロコをパリパリに焼き上げ、身はオーブンでしっとりと。甘鯛のブイヨンにタイムなどのハーブや木の芽、八女茶を調合したスープをかけていただきます。見事なる“繊細な味”。

 

さらに特記したいのが、ワインと料理のマリアージュ。ワインは佐々木さんが担当しますが、「ピンと合うマリアージュって本当に難しいのですが、彼が選ぶワインは料理に寄り添う以上のもの!」と白水シェフも大絶賛。「コース料理に合わせてワインペアリング5種」(5 , 076円)というメニューも用意されています。例えば、上写真の甘鯛に合わせるのは、勝沼酒造の甲州ワイン。甘鯛を飲みこむ前に口に含むと…次なるステージの美味が訪れ、二重にうっとり。

ここまでご紹介すると、特別な日にしかいけない…?と思われるかもしれませんが、そこはご安心を。21時からはアラカルト料理とバーの時間(席料、アミューズ、パン代として1人540円)。1 , 000円アンダーの料理もあれば、ドリンクだけでの利用も可能です。とはいえ場所柄もあり敷居が高く感じられるかもしれませんが、そこもご心配なく。「僕のモットーは自然体。表現も自分自身もナチュラルを心がけたい。ですからお客様にも構えずに自然体でお越しいただけたら」。そう笑う白水さんから滲み出るのは、お名前とおなじく「白い水」のようなやわらかさ。そう、シェフもスタッフも料理も空間も、せせらぎのようにやさしくゲストを迎え入れてくれます。その流れにそって、穏やかで優美なひとときを。

↑アラカルトメニューより。北海道エレゾ社が手掛ける野生鹿の「シャルキュトリの盛り合わせ」(1 , 944円)。獣臭はまったくなく、深みのある味わい。佐々木さんがペアリングとしてオススメするシェリー酒とともに。

 

↑アラカルトメニューより。(上)「キハタのブイヤベース」 (2 , 700円)、(下)「熊本 産山村 井 信行さんのあか牛」(4 , 800円)。※お肉は部位により多少お値段は変わります。

 

↑生産者のみならず、内装、器、オブジェにいたるまで、白水シェフと佐々木さんのご友人だったり、2人が出向いて見つけた作家の手によるもの。「僕の唯一の才能は、人とのご縁に恵まれていること」というシェフ。唯一とは謙遜だが、その姿勢だからこそ料理へと“内なる表現”が向けられるのでしょう。

取材・文:木下 貴子
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プレイス情報PLACE

L’eau Blanche(ローブランシュ)

住所 福岡市中央区西中洲4-4 RIN FIRST 2F
TEL 092-752-2122
営業時間 18:00~OS翌1:00
定休日 日曜
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