映画トピックス

【邦画部門】年末だから勝手にやっちゃいます!2015年「勝手にアカデミー賞!」

2015年12月30日 18:00 by 筒井あや

2015年もいよいよ終わりに近づいて参りました。この一年、公私ぜ〜んぶ引っくるめて、劇場で観た映画の数、214本。もちろん、私は評論家ではありませんので、100万人並みのフツーの感覚で観ております。

今回は、その“フツーの感覚”で、勝手にアカデミー賞を決めちゃおう!というものです。あくまでも、超個人的な趣味趣向が入っていることを考慮の上、心を広〜くして読んでいただけるとうれしい限りです。

【邦画部門】
今年の日本映画は、戦後70年の年で、戦争に関する作品や海外との合作も多くみられました。日本のVFXの技術がかなり発達しているので、スケール感の大きな作品や少女漫画というか、女性向け人気コミックの映画化、というのも目立ってましたね。俳優でいうと、渋い熟練の俳優が主役をつとめたり、反対に若手注目株!のスクリーンデビューもたくさんありました。日本映画、おもしろいじゃん!と思うものもいっぱいだったですね〜。

今回選ばせていただいたのは、ほんの一部。だって、ホントに悩んじゃったんですよ。極めて印象に残っている映画、ということで、色んな事を恐れずに(笑)発表します!
 


 

 

 

 

 

(C)2015「駆込み女と駆出し男」製作委員会


《作品賞》
『駆込み女と駆出し男』(2015年5月16日公開)

井上ひさしの小説『東慶寺花だより』を原案に、原田眞人監督が初めて手掛けた時代劇。主演は大泉洋。

もとより井上ひさしの人情喜劇が大好物なのです。何が好きなのかというと「そもそも人間っておかしな生き物でしょ」ということを前提に、人間のおかしみや滑稽さを台詞と俳優で魅せる、というのが井上作品。本だけ読んでもピンとこないけど、その役を、その台詞を言う俳優がピタリとハマると何十倍もおもしろくなる。だから巧い俳優でないとできないのです。この作品は、離縁したくてたまらない女たちが、幕府公認の駆込み寺・東慶寺に離縁を求めてやってくる。寺に入る前に御用宿である柏屋で聞き取り調査が行われる。その柏屋での様子を描いた物語。

主演の大泉洋を始め、戸田恵梨香、満島ひかり、樹木希林、堤真一、山崎努など、あらゆる世代の、実力派と言われる俳優たちが真剣におかしな芝居をしている。とにかく芝居が巧い!見事に下手な俳優は一人もいません。

何よりもテンポがいい。原作の長編を、うまく必要な部分を切り取り、人間の醜悪さ、浅はかさ、あたたかさ、やさしさ、おかしさを描き出している。ちょっと昔の言葉も出てくるので、難しい言い回しに聞こえる台詞もあるかもしれませんが、それはそれ。言葉を類推したり、後から調べたりすればいいだけのこと。

主演の大泉洋が、見習い医者で駆出しの戯作者という、これまた中途半端な役どころを、見事に大泉節でやりきっている。まさにはまり役ですね。素晴らしい。映画館の大きなスクリーンで観ると、江戸の風景に入り込んだかのように観られて気持ちよかった!

※山崎努さんの「崎」の字は《山へんに立・可》です。

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

(C)2015「駆込み女と駆出し男」製作委員会


《主演俳優賞》
大泉洋/『駆込み女と駆出し男』中村信次郎役

なんと言っても台詞回しが巧い!おかしみのある台詞をさらに上乗せするように、リズムとテンポで喋りまくる。“見習い”医者で“駆出し”の戯作者という、何にもなりきれていない男が、寺に駆け込む女たちの相手をしているうちに、少しずつ人間が成長していく微妙な姿も見事に演じきっていた。観ていて清々しい!

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

(C)2015「グラスホッパー」製作委員会


《助演俳優賞》
山田涼介/『グラスホッパー』蝉役(2015年11月7日公開)

Hey! Say! JUMPのかわいくってちょっとバカな山田涼介くん。という姿を、完全に封印。「ジャニーズは愛でているだけで、楽しいの」というファンの期待を大きく裏切った。山田涼介は、今年『映画 暗殺教室』(3月21日公開)で初主演を務めたが、実際に『グラスホッパー』の撮影が行われたのは、暗殺教室より前。事実上のスクリーンデビュー作。『グラスホッパー』では、驚異的な身体能力と華麗なナイフ捌きで、無情に人を殺めていく孤独な殺し屋・蝉役を演じている。映画後半の浅野忠信演じる自殺専門の殺し屋・鯨との対決シーンは圧巻。浅野とのアクションに加え、ナイフ捌きの達人の技も必要となるがスマートで無駄のない動き。加えてキレがある。劇中では、ほとんど笑うことはないし言葉も少ない。台詞がないのにどういう人物かを表現するのは、芝居としては難しいところ。蝉本人が持っているであろう心の奥底にある悲哀と、ひた隠しにするけど漏れてくる人間臭さを、過不足なく演じている。次にどんな役をやるのか、楽しみな俳優。

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

(C)2015映画「バクマン。」製作委員会


《視聴覚効果賞》
『バクマン。』(2015年10月3日公開)

大場つぐみ&小畑健による大人気コミックを大根仁監督が映画化。主演は佐藤健、神木隆之介。性格の違う高校生2人がタッグを組み「週刊少年ジャンプ」での連載を目指して日々奮闘する青春ドラマ。「漫画のコマと映像の融合」という演出で“新しい表現をスクリーンに持ち込んだ”という印象を受けた作品。プロジェクションマッピングを、そのまま撮影してスクリーンで見せるというのも驚いた。そして感動すら、してしまったのは、集英社「週刊少年ジャンプ」の編集部の再現(ほぼ、まんま再現したとか)や、佐藤健演じる真城最高のアトリエ。本棚には週刊少年ジャンプが創刊〜現在までがズラリと並ぶ。大根監督自らが細かくチェックして、私物を持ち込むほど気合いを入れて作ったアトリエは、ファンには垂涎のシーン。日本映画の新しい演出方法として、ぜひ観ておきたい一本。

 

取材・文:筒井あや
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