グルメ

お客とともに進化する書店。予測不可能がおもしろい

2015年10月16日 18:00 by 木下 貴子

ネットの影響もあって町や街から書店が消えていくなか、その逆風に立ち向かうかのように昨今、個性が光る書店が台頭してきています。そんななか福岡にまた新たに、魅力に溢れた書店がオープンしました。今泉の三角公園すぐ側のビル2階。階段を上った入口、扉横の壁に綴られたショート・ストーリー。題名はずばり『注文の多い書店』。この時点で、只物ではない空気を感じとります。

予感は的中。扉を開けて一目で「いままでにない書店」であることが分かりました。まず店の造りがおもしろい。空間に合わせて有機的に設計・設置された本棚、中には観覧車の形の本棚もあります。ゆっくりくつろげるようカフェとしても機能し、その席も棚と同じく空間を生かした配置で、窓際にカウンター、奥にちょっと隠れたテーブル席、ソファ席もあれば、こたつ席まで! そして、本の配置がおもしろい。細かく見るとジャンル分けされていますが、大きなコーナー分けはされてなく、雑誌を見ていてふと隣の棚を見るとビジネス書が並んでいる、そんな感じです。週に6日入荷される新刊に至っては、あえて選別せずに「UN-SELECT」として積読スタイルで陳列し、先入観なしに新たな本との出会いが楽しめます。

箱も面白ければ、中身もユニーク。「細胞のようにお客様の要望に応えなら進化する書店です」と店長の嘉村佳奈さん。毎週日曜朝9時から本について熱く語る「ファナティック読書会」を開催したり、プロの講師による「部活動」も行っています(現在、「フォト部」「英語部」「健康部」が始動)。「読書会で紹介された本を店で新たに取り扱うようにしたり、部活動をはじめこちらに来られるお客様の要望に応えながら、進化していきたいと思っています」。2年前に東京・池袋に誕生した「東京天狼院」。今年9月に2号店が表参道にオープンし、福岡は3店舗目。「9月26日にオープンしてまだ2週間足らずですが(取材時)、すでに東京の2店舗とカラーが違ってきています」と早くも手ごたえを感じているそうです。

気になるカフェでは、天狼院のオリジナル・メニューがいただけます。パニーニ、焼きバナナフレンチトースト、ジャーパフェなど、カフェ単独で利用もしたくなるメニューが揃い、ドリンクもコーヒー類からソフトドリンク、アルコールまで充実。店内にある本の試し読みも出来るし、フリーWi-Fiもあるので仕事にも利用できます。(席を利用する場合は要1オーダー)。

本は開かなかったら単なるオブジェ。開けばそこから世界が広がるのが本の魅力ですが、この書店ではさらにその先の「体験」も提案したいと話します。本を通した出会い、広がる未来。わくわくを胸に、足しげく通いたくなる書店です。




【1】本にぐるりと囲まれる感じ。5000冊以上の品揃えだそうです。150インチの大スクリーンと最新のサウンドシステムドルビーアトモスもあり、映画の上映イベントなども開催されます
【2】こたつが年中置いてあるというのもユニーク。夏は「冷やしこたつ」になるそうですが、これからの季節はもちろんぽっかぽか。一度入るとなかなか抜けられなくなりそうです
【3】天狼院カフェの看板メニュー「パニーニ」。定番のBLT、チーズがとろ〜りのサラミとモッツッァレラ、自家製オーロラソースが決め手のえびとアボカドの3種類(各600円)。ポテトもチーズ、コンソメ、プレーンの3種を用意(350円)

取材・文:木下 貴子
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プレイス情報PLACE

天狼院書店「福岡天狼院」

住所 福岡市中央区今泉1丁目9−12 ハイツ三笠2F
TEL 092-518-7435
営業時間 10:00〜22:00
定休日 無休
URL http://tenro-in.com/category/fukuten
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